誘惑の延長線上、君を囲う。
誘惑の延長線上、君を囲う。【3】
「おはよう、琴葉」
「お、おはよう……」
日下部君に沢山愛されて、疲労感があって身体がダルい。昨日は裸のままで寝てしまったみたいだ。赤い蕾が身体中に散らばっている。日下部君は先に起きて着替えを済ませたようだった。ベッドの上で、スマホゲームをしている。
「風呂のお湯を入れといたから、朝風呂入って来たら?」
「ありがとう。じゃあ、入って来るね」
サイドテーブルに畳んで置かれていたガウンを羽織り、バスルームで再び脱いだ。全身を洗って、ついでに歯磨きもする。「ふぁぁっ」と大きな欠伸が出て、身体はまだ眠り足りないみたい。
湯船につかり、ジャクジーのボタンを押すとポコポコと泡が沢山出てきた。朝から贅沢な感じだなぁ……と思い、深めに座って眠気を覚ますようにリラックスしながら入っているとドアの開く音がした。
「く、日下部君?」
「せっかくだから、広々とした風呂に琴葉と一緒に入りたい」
「昨日も一緒に入ったでしょ!」
日下部君は聞いてないふりをして、シャワーで身体を流した後に湯船の中に入ってきた。イレギュラーな出来事に身を縮こまらせて、隅に寄る。
「琴葉と一緒に入る朝風呂、癒される。そうだ、今度、温泉に泊まりに行くか?出張の日は金曜日だから、そのまま宮城に泊まろう」
「もう、何でも勝手に決めちゃうんだから!」
出張は一月中旬で確かに金曜日だ。新しく出来た店舗の視察に行く目的だが、基本は直帰なので泊まっても問題は無い。
「ようやく正式に付き合ったんだし、別にいいだろ。もう誰にも隠さなくて良いし、恋人生活を満喫する」
湯船の中で日下部君の方に抱き寄せられ、隣同士にくっついて座る。日下部君は静かに入りたかったのか、ジャグジーのスイッチを消した。
「じゃあさ、結婚したらどうするの?新婚生活は満喫しないの?……と言うか、もうさ、ごぢゃ混ぜじゃない?私達の生活」
「うるさいな、新婚生活は新婚生活でやる事あるでしょ!」
「やる事?新婚旅行とか?」
「それもあるけど……、子作りだよ」
「こづ……、ん、」
日下部君の濡れた前髪が私の額に触れて、水滴が冷たい。口を日下部君の唇で塞がれて、口内の粘膜が合わさる音がバスルームに響く。
「琴葉は子供は何人欲しい?」
「……二人、は欲しいかな」
「同感。俺も二人は欲しいけど、籍入れてからにしような」
「うん、……って、ちょっと、あっ、まっ、……ってってば。言ってる事とやって、る事、違っ、……からっ!」
バッグハグした状態から胸に触れてきて、指で突起を弾くように弄る。
「今は純粋に琴葉を抱きたいだけ。もう躊躇も遠慮もなく抱けると思うと、頭の中から他の男の存在を消してやりたい」
日下部君はこんなにも独占欲が強かったのだと知る。
「抱き潰してやりたい」
切れ長の瞳が私を捉えて、目線が外せない。濡れた髪が艶っぽさの加担をして、色気が増している。囚われたら最後、逃れる事は出来ない。
「朝から、や、だ……」
私の懇願など日下部君の耳には届かない。会った事もない伊能さんに今だにヤキモチを妬いているのか、理解不能だが日下部君は私を快楽へと誘う。
昨日の夜も二回したのに、これで三回目だ。本当にどうしちゃったのだろう、日下部君は?
「……お腹空いた。朝から運動したからかな?」
備え付けてあるスティックコーヒーをコーヒーカップに入れながら、呟いた日下部君。
「日下部君のバカッ!朝は嫌だって言ったのに!」
暴走した当の本人は聞こえないフリをして、コーヒーカップにお湯を注いでいる。私の分も淹れてくれて、ベッドまで運んできた。
昨日といい、今日の朝といい、流されるままに時間は過ぎてしまい、気付けば昼過ぎだった。バスルームからベッドに連れてこられた私は行為の後、またもや寝てしまったらしい。
「だって、琴葉が可愛かったから仕方ない」
「そ、そんな事を言っても信憑性に欠けるからね。もう!」
私はコーヒーを飲んだ後、そそくさと帰る準備をする。システムがよく分からないが、もう昼過ぎだし延長料金とか取られるんじゃないのかな?
「あー!」
鏡を見たら首筋にまで跡がついていた。マフラーで隠すしかないが、生憎、マフラーは持ち合わせて無かった。
「どうした?」
「どうしたもこうしたも無いでしょ!首にまで跡がついてるし、隠せないし……!どうしよう……!」
私の声を聞いて、傍に寄って来た日下部君。
「琴葉は俺のモノだって証なんだから、気にするな」
妖艶な笑みを浮かべて、赤い蕾の痕をなぞる様に首筋に唇を触れさせた。日下部君が近付く度に鼓動が早くなる。
「バカッ……!日下部君にも恥ずかしい思いをさせてやる!」
「出来るならどうぞ、はい、いいよ、して」
斜め上から見下ろされ、首筋を私にアピールしてくる日下部君が憎たらしい。
「二人共、痕をつけてたら余計に恥ずかしいでしょ!」
「何だ、残念……!」
焦っている私に対して、クスクスと余裕たっぷりに笑う日下部君。日下部君は私をからかっては面白がっている。
その後はコンビニで朝昼兼用のご飯を買って、帰宅した。ショートボブにしてしまったので、髪の毛をおろして隠すわけにもいかない。困り果てた私を見て、日下部君は通りすがったショップでボリューミーな大判マフラーを買ってくれた。好みの色で、青系がグラデーションになっている。通勤やお出かけにも沢山使おうと思う。
ご飯をもぐもぐと食べていると、日下部君のスマホが鳴った。
「琴葉、有澄がパーティーしようって言ってるんだけど……行く?」
「あ、うん。行ってみたい!」
詳しい内容は分からないが、きっと秋葉さん達も来るだろう。約束した女子会もまだ出来てないから、いつやるのかも決めなきゃ。
秋葉さんに会っても、もう後ろめたくはないから。大丈夫、気分を盛り上げて行こう!
電話を切った後、日下部君は夕方から出かけると言った。いざ、出かける事になって洋服を選んでいると……背後から、「それを着て行くの?」と聞かれた。
そうだった、首元隠さなきゃいけないからハイネックとかにしなきゃいけないんだった!相変わらず、私を見てはからかって楽しんでいるので、いつか仕返ししてやろうと心に誓った。
「お、おはよう……」
日下部君に沢山愛されて、疲労感があって身体がダルい。昨日は裸のままで寝てしまったみたいだ。赤い蕾が身体中に散らばっている。日下部君は先に起きて着替えを済ませたようだった。ベッドの上で、スマホゲームをしている。
「風呂のお湯を入れといたから、朝風呂入って来たら?」
「ありがとう。じゃあ、入って来るね」
サイドテーブルに畳んで置かれていたガウンを羽織り、バスルームで再び脱いだ。全身を洗って、ついでに歯磨きもする。「ふぁぁっ」と大きな欠伸が出て、身体はまだ眠り足りないみたい。
湯船につかり、ジャクジーのボタンを押すとポコポコと泡が沢山出てきた。朝から贅沢な感じだなぁ……と思い、深めに座って眠気を覚ますようにリラックスしながら入っているとドアの開く音がした。
「く、日下部君?」
「せっかくだから、広々とした風呂に琴葉と一緒に入りたい」
「昨日も一緒に入ったでしょ!」
日下部君は聞いてないふりをして、シャワーで身体を流した後に湯船の中に入ってきた。イレギュラーな出来事に身を縮こまらせて、隅に寄る。
「琴葉と一緒に入る朝風呂、癒される。そうだ、今度、温泉に泊まりに行くか?出張の日は金曜日だから、そのまま宮城に泊まろう」
「もう、何でも勝手に決めちゃうんだから!」
出張は一月中旬で確かに金曜日だ。新しく出来た店舗の視察に行く目的だが、基本は直帰なので泊まっても問題は無い。
「ようやく正式に付き合ったんだし、別にいいだろ。もう誰にも隠さなくて良いし、恋人生活を満喫する」
湯船の中で日下部君の方に抱き寄せられ、隣同士にくっついて座る。日下部君は静かに入りたかったのか、ジャグジーのスイッチを消した。
「じゃあさ、結婚したらどうするの?新婚生活は満喫しないの?……と言うか、もうさ、ごぢゃ混ぜじゃない?私達の生活」
「うるさいな、新婚生活は新婚生活でやる事あるでしょ!」
「やる事?新婚旅行とか?」
「それもあるけど……、子作りだよ」
「こづ……、ん、」
日下部君の濡れた前髪が私の額に触れて、水滴が冷たい。口を日下部君の唇で塞がれて、口内の粘膜が合わさる音がバスルームに響く。
「琴葉は子供は何人欲しい?」
「……二人、は欲しいかな」
「同感。俺も二人は欲しいけど、籍入れてからにしような」
「うん、……って、ちょっと、あっ、まっ、……ってってば。言ってる事とやって、る事、違っ、……からっ!」
バッグハグした状態から胸に触れてきて、指で突起を弾くように弄る。
「今は純粋に琴葉を抱きたいだけ。もう躊躇も遠慮もなく抱けると思うと、頭の中から他の男の存在を消してやりたい」
日下部君はこんなにも独占欲が強かったのだと知る。
「抱き潰してやりたい」
切れ長の瞳が私を捉えて、目線が外せない。濡れた髪が艶っぽさの加担をして、色気が増している。囚われたら最後、逃れる事は出来ない。
「朝から、や、だ……」
私の懇願など日下部君の耳には届かない。会った事もない伊能さんに今だにヤキモチを妬いているのか、理解不能だが日下部君は私を快楽へと誘う。
昨日の夜も二回したのに、これで三回目だ。本当にどうしちゃったのだろう、日下部君は?
「……お腹空いた。朝から運動したからかな?」
備え付けてあるスティックコーヒーをコーヒーカップに入れながら、呟いた日下部君。
「日下部君のバカッ!朝は嫌だって言ったのに!」
暴走した当の本人は聞こえないフリをして、コーヒーカップにお湯を注いでいる。私の分も淹れてくれて、ベッドまで運んできた。
昨日といい、今日の朝といい、流されるままに時間は過ぎてしまい、気付けば昼過ぎだった。バスルームからベッドに連れてこられた私は行為の後、またもや寝てしまったらしい。
「だって、琴葉が可愛かったから仕方ない」
「そ、そんな事を言っても信憑性に欠けるからね。もう!」
私はコーヒーを飲んだ後、そそくさと帰る準備をする。システムがよく分からないが、もう昼過ぎだし延長料金とか取られるんじゃないのかな?
「あー!」
鏡を見たら首筋にまで跡がついていた。マフラーで隠すしかないが、生憎、マフラーは持ち合わせて無かった。
「どうした?」
「どうしたもこうしたも無いでしょ!首にまで跡がついてるし、隠せないし……!どうしよう……!」
私の声を聞いて、傍に寄って来た日下部君。
「琴葉は俺のモノだって証なんだから、気にするな」
妖艶な笑みを浮かべて、赤い蕾の痕をなぞる様に首筋に唇を触れさせた。日下部君が近付く度に鼓動が早くなる。
「バカッ……!日下部君にも恥ずかしい思いをさせてやる!」
「出来るならどうぞ、はい、いいよ、して」
斜め上から見下ろされ、首筋を私にアピールしてくる日下部君が憎たらしい。
「二人共、痕をつけてたら余計に恥ずかしいでしょ!」
「何だ、残念……!」
焦っている私に対して、クスクスと余裕たっぷりに笑う日下部君。日下部君は私をからかっては面白がっている。
その後はコンビニで朝昼兼用のご飯を買って、帰宅した。ショートボブにしてしまったので、髪の毛をおろして隠すわけにもいかない。困り果てた私を見て、日下部君は通りすがったショップでボリューミーな大判マフラーを買ってくれた。好みの色で、青系がグラデーションになっている。通勤やお出かけにも沢山使おうと思う。
ご飯をもぐもぐと食べていると、日下部君のスマホが鳴った。
「琴葉、有澄がパーティーしようって言ってるんだけど……行く?」
「あ、うん。行ってみたい!」
詳しい内容は分からないが、きっと秋葉さん達も来るだろう。約束した女子会もまだ出来てないから、いつやるのかも決めなきゃ。
秋葉さんに会っても、もう後ろめたくはないから。大丈夫、気分を盛り上げて行こう!
電話を切った後、日下部君は夕方から出かけると言った。いざ、出かける事になって洋服を選んでいると……背後から、「それを着て行くの?」と聞かれた。
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