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誘惑の延長線上、君を囲う。

桜井 響華

恋人みたいな過ごし方【4】

Tシャツの上から、ふにっと胸を触られる。

「佐藤は着痩せするよな。脱がせると胸はボリュームあるもんな」

Tシャツを捲りあげられ、ブラジャーのホックを外された。露わになった肌に日下部君の指が滑り出す。人差し指でツーッと胸の下からお臍の上までなぞられる。

「ウェストも引き締まっているし、全身のバランスがすっごくエロい身体だな」

「ば、馬鹿っ!日下部君のエロオヤジッ!」

私は捲りあげられたTシャツを下に無理矢理に引っ張っろうとしたが、日下部君に妨害をされた。

「佐藤は敏感だから、すぐ身体が高揚するよな。そーゆーとこも可愛い。グッスリ寝られるように、沢山感じさせてやるよ」

抵抗する術もなく、快楽の波に溺れさせられた。日下部君と肌を合わせるのはとても気持ちが良くて、我を忘れてしまう程。自我を捨てて、欲を解禁する。案の定、私はぐったりとしてしまい、シャワーを再び浴びた後にベッドに横たわる。

「本当にベッドで寝ても良いの?」

「何を今更、言ってるんだよ。ほら、おいで」

日下部君は後からベッドに来て、寝転がった後に私を引き寄せる。

「腕枕……、腕辛くない?」

抱きしめられながら、腕枕をしてくれた。日下部君の吐息がかかる距離で心臓の音も聞こえる。

「大丈夫、辛くなったらどけるし。あっ、ヨダレ垂らすなよ!」

「もうっ、うるさいなぁ!……日下部君に一生言われそうでヤダ」

ぷうっと膨れ顔をすると日下部君に頬をムギュっと摘まれた。目が会うとお互いに笑ってしまう。恋人みたいで恋人ではない、距離感。日下部君の気持ちがこの場所になくても、今だけはその事を忘れていたい。

おやすみのキスをされ、眠りについた。幸せをめいいっぱいに感じながら明日を迎える。

───翌日、目が覚めたら、昼を過ぎていた。

「おはよう」

「お、おはよう。ごめんね、寝過ぎちゃった……」

「仕方ないよ、連日、沢山イチャイチャしたからな」

「朝から、その話題止めて……!」

日下部君は先に起きて、コーヒーを飲みながらタブレットのゲームをしていた。日下部君もゲームするんだなぁ……と思いながら、洗面所に向かおうとするとお腹がぎゅるる…と大きく鳴り響いた。

「ご、ごめんね、……き、聞かなかった事にして!」

「ははっ、朝飯抜きだから腹減ったよな。昼飯、食べに行こう」

恥ずかしい、恥ずかしい!ヨダレの次はお腹の音!日下部君に笑われた。まるで子供みたいじゃない!私の中の完璧主義者の委員長はどこに行ったの?と言う位に、日下部君と再開してからは駄目な部分ばかりが浮き彫りになる。

洗面所で己の落ち度を反省するようにバシャバシャと顔を洗う。日下部君の前では堕落したくないのにな、どこからか綻びが出てきてしまう。

「今日も雨は降らないらしい。何したい?」

「天気が持つなら、散歩をしたりしたいな。電車で行かない?そしたら、帰りは日下部君も飲めるよ」

「佐藤は本当に酒好きだな。分かった、電車で行こう」

私が慌ただしく出かける支度をしていると、急に声をかけてきた。先程のお腹の音が恥ずかしいから顔を見る事はしなかったが、日下部君は微笑を浮かべながら私の頭をポンポンと軽く叩いた。

日下部君の行動が甘すぎてヤバイ。時折見せる艶やかな表情に完全にノックアウトされる。イケメンだからこそ為せる技なんだな、と感心してしまう。そんな日下部君を独り占めしている私は何て贅沢なのでしょう。いつの日か、関係が崩れる日が来るかもしれないから、今だけは(仮の)恋人として隣に居させてね。

私達は駅まで歩き、駅前のカフェで昼食を軽く取る事にした。

「日下部君、渓谷行ってみたい!お散歩コースとかあるんだって。都内だし、自然に囲まれてるよ」

アイスカフェラテとサンドイッチを注文した。食べながら、スマホで良さげな目的地を探している。

「渓谷?渋いの選ぶな」

「自然に癒されたくない?」

日頃の疲れを癒すべき、自然に囲まれたい。日下部君は苦笑いをしていたが、承諾してくれた。いざ行ってみると身近で見られる小さな古墳などがあり、日下部君の方が楽しんでいたように思った。

帰りがけに見つけた縁結びの不動産に御参りをして、私は日下部君と末永く一緒に居られるように願った。日下部君は私ではない誰かとの縁を願ったのだろうか?聞けないままにその場所を後にした。

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