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誘惑の延長線上、君を囲う。

桜井 響華

恋人みたいな過ごし方【3】

日下部君がシャワーを先に浴びている間に簡単なおつまみとグラスを用意する。コンビニにしか寄れなかったから、在りきたりの物だけれど。冷凍の枝豆とか乾き物とか、手軽な物しかない。チューハイの缶を見てたら先に飲みたくなるけれど、我慢がまん……!

「佐藤、シャワーどうぞ」

「ありがとう。行って来るね」

バスタオルを肩にかけて、完全に乾かしていない髪でバスルームから出てきた日下部君にドキリ、とときめいた。昨日もそんな姿は見ているくせに、中々慣れないもんだ。

日下部君の後にシャワーを浴びてリビングに戻って来たら、私は我慢して待ってたのに先に缶チューハイを飲んでいた。テレビを見ながら缶チューハイを飲んでいた日下部君は既に一本を飲み干していた。

「私は待っててあげたのになぁ……」

冷蔵庫から缶チューハイを取り出し、ソファーに腰掛けてからグラスに注ぐ。

「何となく、待ちきれなかった。佐藤、シャワーから上がるの遅いし」

「私も一応、女性だからね。スキンケアとか肝要なの」

むにっ。頬を人差し指でつんつんと触れられた。

「スッピン?肌がモチモチしてる」

「……スッピンだよ。日下部君はノーメイクの高校時代の私を知ってるから、良いかな?と思って、実は昨日からお風呂上がりはスッピンでごめんなさい」

以前は彼氏が寝てから化粧落として寝てたりしたけれど、アレって結局は朝起きた時に見られているから意味がないよね?スッピンを見られて嫌われたなら、縁がなかったと思うしかない……。

「何で謝るの?スッピンでも、これだけ綺麗なら上等だよ」

「日下部君、酔ってるでしょ?」

「缶チューハイ一本では酔いません!」

綺麗だなんて、お世辞でも嬉しい。ほんのりと赤みを帯びた頬をお酒のせいだと誤魔化す為にゴクゴクと飲む。お互いの購入した缶チューハイはどちらも強めの9%の物だから、一気に飲むと頭がクラクラするような気がする。

「佐藤、……ココ、まだ消えないな。流石に一日じゃ消えないか?」

日下部君は自分の首筋をトントンと指差し、私にアピールをした。

「バカッ!思い出させないで!」

その流れからか、日下部君は笑いながら、
「今日は俺の服は着ないの?」
と言った。

「ちゃんと自分のルームウェアを持って来たから、着ないよ」

私のルームウェアを見ては、ガッツリした様子だった。わざと可愛くもないTシャツにハーフパンツにした。自宅で着てるのはもっと別な物で、自分の視覚と心が満足する為だけの可愛いデザインのルームウェア。年甲斐もなくと言われるかもしれないが……、トップスは白地に今流行りの夢かわ色の三色ボーダーのパーカー、アンダーはお揃いの生地の半ズボンタイプ。下が短すぎて持って来られなかったのもある。足が露出し過ぎになってしまうから……。

「袖も丈も長くて、あんなに可愛かったのにな」

「可愛いも何も、アレしか着るのがなかったんだからしょうがな……」

チュッ。突然として額にキスをされた。思わず、言いかけた言葉を飲み込んでしまった。

「酒飲みながら、頬をピンクにしながら歯向かう佐藤も本当に可愛い」

真剣な眼差しで見られると私は目を逸らすしかない。私はグラスを持ったまま硬直しているが、手の内からさっとグラスを取られてテーブルの上に戻される。

心拍数が跳ね上がり、ドキドキが止まらない。そんな私の事など、お構いなしに顔を近付けて来たので、咄嗟に日下部君の唇を左手で塞いだ。

「あ、明日の朝、起きられないし……、今日はお酒飲むだけにしよ?」

「ん?佐藤、もしかして昨日の事を思い出して期待しちゃってる?」

日下部君はニヤニヤしながら私の手を跳ね除けて、ソファーに押し倒した。

「どっちにしろ、昼寝?夜寝?とにかく、……夜に寝ちゃったからな、お互いに早くは寝られないから運動した位で丁度良いよ」

私はまた日下部君に流されてしまいそうになる。昨日の今日で身体からはダルさが抜けきれてはいないのに、私の身体の中の欲が疼き出す。

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