婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~

春乃未果

すれ違いと本当の心~二人のafterstory~(6)

 それから数日間、仕事が忙しくなった里穂は今日も残業になってしまった。

 まずい……今日は遥斗と、お取り寄せのお肉があるから一緒食べようって約束していた日だ。早めにメッセージを送っておかないと……。

 事前に連絡を入れておかないと大変なことになる。メッセージを送ると、遥斗からすぐに返信がきた。

《今夜は残業ないって話だろ! 何時に戻る?》

《わからないから、食事は先に食べて。お肉は、週末に一緒に食べよ~》

 そう連絡したものの、既読にもならず反応もない。かといって、遥斗のご機嫌をうかがっているヒマもないので、仕事に集中することにした。

 二時間後、仕事は意外とすんなり終了した。片付けを万智にお願いして、宣伝部の部屋を出る。エレベーターに乗り込み、メッセージを確認した。

《一時間前から具合が悪くなってきた。いつ頃帰れそう?》

 そのメッセージを見て、慌てて電話する。呼び出し音を鳴らしても、出てくれない。
 どうしたんだろ……。

 心配になって、タクシーを止めて急いで乗り込んだ。

「あの、急いでください。急病かもしれないので……」

 そうはいっても、都心の夜は渋滞がつきもの。途中何度も電話を入れるが、連絡がつかない。
 ようやく車がレジデンス前に到着し、支払いをすませると、慌てて降りて走り出した。
ドアを開けると、目の前に遥斗が立っている。

「……え。ど、どういうこと……?」

「腹が減りすぎて具合が悪くなっただけだ。たまには、このくらい本気で早く帰ってきてくれよ」

「なっ……何言ってるの。もうっ! ものすごい心配したんだからね。信じられない」

「おい。里穂!」

 いくら遥斗だからって、いい加減腹が立つ。そのまま背を向けると、レジデンスのエントランスを飛び出した。怒りに任せて、そのまま地下鉄の駅へ降りていく。
 バックの中でスマホが鳴り出した。ディスプレイには桂木雅とある。

「あ、里穂ちゃん? 無事についた? こっちはなんてことなかったわ。ただの脱臼」

「雅さん! もう我慢できません!!」

 私はつい雅さんへ感情をぶちまけてしまった。
 湾岸沿いにあるタワーマンションの一室に到着する。雅さんの住むマンションは私たちが住むレジデンスからそう遠くない場所に位置している。地下鉄で数駅乗れば到着できた。
 玄関を開けてもらうと、部屋着姿の雅さんが出迎えてくれた。

「子どもたちは夫が寝かしつけてるから。今夜はゆっくり話を聞いてあげるわよ」
 
 そう言って雅さんはニッコリと微笑んだ。

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