婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
業務命令(2)
昼が終わる頃、小田さんからメッセージが届いていることに気がつく。
『里穂ちゃん、君のことを幸せにできるのは僕だけだ。ああいう男は金を持ってるだけで、女に不自由はしない。僕なら絶対に君を裏切らないよ。
だから諦めずに、ずっと待ってる』
メッセージが怖くなって、すぐにホーム画面に戻した。
今日もどこかで待たれていたらどうしよう……。
悩んでいる最中に、遥斗からのメッセージが届く。
『これからは、どんなに忙しくても必ず迎えに行く。仕事が終わったら連絡をよこせ』
しかし、ずっと遥斗に迷惑をかけるのは嫌だった。
とりあえず今日は万智とできるだけ一緒に帰るしかない。
遥斗のレジデンスは駅からすぐだし、人通りも多い。
レジデンス内はセキュリティも整っている。
なるべく自分で出来る限りの対処をしたかった。
『ありがとう。同僚の子が、一緒に帰ってくれることになったの。遥斗の部屋なら安心だし、何かあったらすぐ連絡する。だから、心配しないで大丈夫だよ。
ムリして迎えに来たら、すぐアパートに戻るからね』
今日は少し残業をして、途中まで万智と一緒に帰宅した。途中で一人になり、辺りを見回すが、今のところ小田さんらしき姿は見ていない。ホッとして最寄り駅で降り、レジデンスの部屋へ戻った。
念のため遥斗には、安全に到着できたとメッセージを入れておく。
果たしてこんな状況、いつまで続けられるんだろう。
この先のことを考えると、ため息が出てしまった。
遥斗は遅い帰宅だったが、私の姿を見て安心したようだ。
その日の夜、帰宅すると、作っておいたハヤシライスをおいしそうに食べてくれた。
* * *
翌朝、いきなり課長に呼び出される。
「部長がどうしてもバレンタイン企画で、ステージイベントをやってもらいたいと言いだして。小田君と二人で参加してもらいたいんだが。
彼にチョコを渡すパフォーマンスだけでも、どうかなぁ? 小田君の方は二つ返事で……」
「そ、そんな。絶対に無理です。私、課長にお話ししましたよね? 怖い想いをしてるんですよ。とても人前でチョコを渡せる状況じゃないです」
「そうかぁ……。それじゃ、他の女子に頼むしかないなぁ。鈴河さんと小田君が、アプリで出会って結婚するモデルとして、今後アピールしようかって、裏ではそんな話も出てるらしい。しかし、あの温厚そうな小田君がストーカーなんて……人事の方でも首を傾げてたよ」
課長の言葉に不信感を抱いた。
もしかして、私の言葉が信用されていないの?
まるで私の我儘で、仕事を拒否しているような言い様。
置かれた立場に目の前が暗くなってくる。
その日、なんとか仕事をこなしながら、会社に認めてもらえないことに段々憤りを覚えてきた。
「えぇっ!? 課長がそう言ったの?」
ランチタイムに万智に報告すると、驚きの声を上げた。
「うん……会社側は私の証言を信用してないみたい」
「そっか。わかった。なんとしてでも小田さんの正体を暴かないと」
このままでは、ずっと怯えて仕事を続けなくてはならない。
力強い万智の言葉に、勇気づけられた。
『里穂ちゃん、君のことを幸せにできるのは僕だけだ。ああいう男は金を持ってるだけで、女に不自由はしない。僕なら絶対に君を裏切らないよ。
だから諦めずに、ずっと待ってる』
メッセージが怖くなって、すぐにホーム画面に戻した。
今日もどこかで待たれていたらどうしよう……。
悩んでいる最中に、遥斗からのメッセージが届く。
『これからは、どんなに忙しくても必ず迎えに行く。仕事が終わったら連絡をよこせ』
しかし、ずっと遥斗に迷惑をかけるのは嫌だった。
とりあえず今日は万智とできるだけ一緒に帰るしかない。
遥斗のレジデンスは駅からすぐだし、人通りも多い。
レジデンス内はセキュリティも整っている。
なるべく自分で出来る限りの対処をしたかった。
『ありがとう。同僚の子が、一緒に帰ってくれることになったの。遥斗の部屋なら安心だし、何かあったらすぐ連絡する。だから、心配しないで大丈夫だよ。
ムリして迎えに来たら、すぐアパートに戻るからね』
今日は少し残業をして、途中まで万智と一緒に帰宅した。途中で一人になり、辺りを見回すが、今のところ小田さんらしき姿は見ていない。ホッとして最寄り駅で降り、レジデンスの部屋へ戻った。
念のため遥斗には、安全に到着できたとメッセージを入れておく。
果たしてこんな状況、いつまで続けられるんだろう。
この先のことを考えると、ため息が出てしまった。
遥斗は遅い帰宅だったが、私の姿を見て安心したようだ。
その日の夜、帰宅すると、作っておいたハヤシライスをおいしそうに食べてくれた。
* * *
翌朝、いきなり課長に呼び出される。
「部長がどうしてもバレンタイン企画で、ステージイベントをやってもらいたいと言いだして。小田君と二人で参加してもらいたいんだが。
彼にチョコを渡すパフォーマンスだけでも、どうかなぁ? 小田君の方は二つ返事で……」
「そ、そんな。絶対に無理です。私、課長にお話ししましたよね? 怖い想いをしてるんですよ。とても人前でチョコを渡せる状況じゃないです」
「そうかぁ……。それじゃ、他の女子に頼むしかないなぁ。鈴河さんと小田君が、アプリで出会って結婚するモデルとして、今後アピールしようかって、裏ではそんな話も出てるらしい。しかし、あの温厚そうな小田君がストーカーなんて……人事の方でも首を傾げてたよ」
課長の言葉に不信感を抱いた。
もしかして、私の言葉が信用されていないの?
まるで私の我儘で、仕事を拒否しているような言い様。
置かれた立場に目の前が暗くなってくる。
その日、なんとか仕事をこなしながら、会社に認めてもらえないことに段々憤りを覚えてきた。
「えぇっ!? 課長がそう言ったの?」
ランチタイムに万智に報告すると、驚きの声を上げた。
「うん……会社側は私の証言を信用してないみたい」
「そっか。わかった。なんとしてでも小田さんの正体を暴かないと」
このままでは、ずっと怯えて仕事を続けなくてはならない。
力強い万智の言葉に、勇気づけられた。
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