婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
お付き合い(3)
「せっかくだから、僕たちも写真を撮ろうよ」
スマートフォンを片手に私へ近寄ると、二人で並び、澄ました顔をカメラへと向けた。
その後、デザートに持って来たみかんを一緒に食べていると、小田さんは満足そうに足を延ばす。
「イベントの準備はどう? 順調に進んでる?」
「えぇ。一応の段取りは大体出来上がりました。参加者もだいぶ増えたみたいで、盛大なイベントになりそうです」
「広報宣伝部が主体のイベントだから、大変だよね」
「あの……実は、上司から提案があって、ステージ上でアプリの体験談を話すことになったんです。もしかして、小田さんのことを少しだけ話すかもしれません。もちろん偽名なので、誰なのかはバレませんけど」
「僕は構わないよ。というか、むしろみんなに紹介したいぐらいだよ」
「でも、まだそれは……。みんなに周知されると、社内で大騒ぎになるので」
気を遣ってくれる小田さんのことだから、いきなりバラしたりしないだろうけど。
もっと二人の関係が親しくなった頃に、改めてみんなに伝えればいいと思っていた。
「それにしても、夢みたいだな。里穂ちゃんが手作りしたお弁当を、こうやって一緒に食べれるなんて」
「そんなっ。大袈裟ですよ」
照れ笑いを浮かべるしかなかった。
面と向かって、オーバーに言われると困ってしまう。
私って、そんなに期待するほど、できた人間じゃないのに……。
小田さんに褒められるのは嬉しいけど、どこか自分とはかけ離れた存在に見られている気がして、なぜかリラックスできないでいた。
それに、どこまで素を出していいのか、よくわからない。
「里穂ちゃん、イベントの第2部にあるパーティーにはカップルで参加できないの?」
「ごめんなさい。その日はイベント進行に関わらないとなので、結局私は参加できないんです。申し訳ないですけど……」
「そっか。残念だけど、仕方がないのか」
私としては、社内の人間の前で小田さんとのやり取りを見られる方が恥ずかしかった。
実は一緒に参加できなくて、内心ホッとしている。
お弁当を食べ終え、少しのんびりと景色を見て回り、公園を後にした。
「少し早いけど、ここからちょっと歩いて、ゆっくりお酒が飲めるところへでも入ろうか?」
「いいですね」
明治神宮外苑を抜けて、銀杏並木を通り、青山方面へと歩く。
「あそこに行きつけのバーがあるんだ」
大通り沿いにあるオシャレなカフェバーを見つけ、指を差す。
店の前には、古い年代物の赤い自転車が目印で停めてあった。店内は木目調の家具が置かれ、所々に観葉植物が配置されている。高い天井にはシーリングファンがゆっくりと回っていた。
「ここって素敵なお店ですね」
「だろう? ここは僕が通うお気に入りの店で、マスターとも顔見知りなんだよ」
入店すると、小田さんは親し気にマスターと挨拶を交わした。
もしかして、私をここへ連れて来たかったのかな?
きっとデートプランを練って、このルートを計画してくれていたのかもしれない。
カクテルの注文を済ませると、マスターがアーモンドの入った小皿を差し出した。
「今日の子もスラっとして、可愛いね」
マスターのセリフに、私と小田さんは一斉に見上げた。
「嫌だなマスター。僕がいつも誰かを連れて来てるみたいな言い方」
「ほら、前の子も身長が高かったから」
スマートフォンを片手に私へ近寄ると、二人で並び、澄ました顔をカメラへと向けた。
その後、デザートに持って来たみかんを一緒に食べていると、小田さんは満足そうに足を延ばす。
「イベントの準備はどう? 順調に進んでる?」
「えぇ。一応の段取りは大体出来上がりました。参加者もだいぶ増えたみたいで、盛大なイベントになりそうです」
「広報宣伝部が主体のイベントだから、大変だよね」
「あの……実は、上司から提案があって、ステージ上でアプリの体験談を話すことになったんです。もしかして、小田さんのことを少しだけ話すかもしれません。もちろん偽名なので、誰なのかはバレませんけど」
「僕は構わないよ。というか、むしろみんなに紹介したいぐらいだよ」
「でも、まだそれは……。みんなに周知されると、社内で大騒ぎになるので」
気を遣ってくれる小田さんのことだから、いきなりバラしたりしないだろうけど。
もっと二人の関係が親しくなった頃に、改めてみんなに伝えればいいと思っていた。
「それにしても、夢みたいだな。里穂ちゃんが手作りしたお弁当を、こうやって一緒に食べれるなんて」
「そんなっ。大袈裟ですよ」
照れ笑いを浮かべるしかなかった。
面と向かって、オーバーに言われると困ってしまう。
私って、そんなに期待するほど、できた人間じゃないのに……。
小田さんに褒められるのは嬉しいけど、どこか自分とはかけ離れた存在に見られている気がして、なぜかリラックスできないでいた。
それに、どこまで素を出していいのか、よくわからない。
「里穂ちゃん、イベントの第2部にあるパーティーにはカップルで参加できないの?」
「ごめんなさい。その日はイベント進行に関わらないとなので、結局私は参加できないんです。申し訳ないですけど……」
「そっか。残念だけど、仕方がないのか」
私としては、社内の人間の前で小田さんとのやり取りを見られる方が恥ずかしかった。
実は一緒に参加できなくて、内心ホッとしている。
お弁当を食べ終え、少しのんびりと景色を見て回り、公園を後にした。
「少し早いけど、ここからちょっと歩いて、ゆっくりお酒が飲めるところへでも入ろうか?」
「いいですね」
明治神宮外苑を抜けて、銀杏並木を通り、青山方面へと歩く。
「あそこに行きつけのバーがあるんだ」
大通り沿いにあるオシャレなカフェバーを見つけ、指を差す。
店の前には、古い年代物の赤い自転車が目印で停めてあった。店内は木目調の家具が置かれ、所々に観葉植物が配置されている。高い天井にはシーリングファンがゆっくりと回っていた。
「ここって素敵なお店ですね」
「だろう? ここは僕が通うお気に入りの店で、マスターとも顔見知りなんだよ」
入店すると、小田さんは親し気にマスターと挨拶を交わした。
もしかして、私をここへ連れて来たかったのかな?
きっとデートプランを練って、このルートを計画してくれていたのかもしれない。
カクテルの注文を済ませると、マスターがアーモンドの入った小皿を差し出した。
「今日の子もスラっとして、可愛いね」
マスターのセリフに、私と小田さんは一斉に見上げた。
「嫌だなマスター。僕がいつも誰かを連れて来てるみたいな言い方」
「ほら、前の子も身長が高かったから」
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