婚活アプリで出会う恋~幼馴染との再会で赤い糸を見失いました~
婚活アプリに強制登録(1)
9月になっても夏は終わらず、うだるような暑さが続いていた。私、鈴河 里穂は、朝からけだるいまま朝礼に参加している。
終了して席に戻りかけると、八の字眉の山野課長が、部署内を見渡し声を張り上げた。
「昨日のメールを確認して、参加希望者は僕まで連絡してください。わが広報宣伝部は、ほぼ強制登録ですので。既婚者か、特別な事情が無い限りはお願いします!」
全社員へ一斉配信されたメールには、こう書かれていた。
『社内の独身者は、わが社で開発している婚活アプリ《Mプロミス》を利用して、積極的にカップリングし、自社で行うクリスマスイベントに、なるべく参加すること。
カップリングに成功し、二人でイベントに参加した者には、ミニボーナスを検討する。』
宣伝部の独身者は男性6名、女性2名の合計8名。デスク越しにお互い顔を見合わせて、みんな戸惑っていた。
私の勤めるラングルでは、WEBコンテンツやアプリ開発が主体の会社で、今一番の稼ぎ頭がこの婚活アプリだ。
AIプログラムが独自の解析を行い、登録者の中で成婚率が高い相手を自動的に計算し、提示してくれる。
アプリを利用し、12月21日のクリスマスイベントに二人で出席すれば、カップルになったお祝いに臨時ボーナスが出るという出血大サービスぶり。
上場を意識している会社側は、どうしても年末までに利用率を上げたいらしい。
突然アプリを使ってカップリングしろだなんて、ちょっと無茶な話にも聞こえる。
「里穂は、もちろん参加するよね?」
同じ部署で同期の園田 万智は、私の席まで来ると、そっと尋ねてきた。
「う、うん。仕事だからね……一応、登録はするけど」
「そっか、仕事だもんね。私も登録してみよっかな」
「万智は彼がいるでしょうがっ!」
学生時代からの彼氏がいる万智は、どこか他人事でいる。
「課長、残念ながら彼氏がいるんですけど。サクラで参加してもいいですか?」
万智の大きな声に、少し離れたデスクに座る山野課長が、人差し指を口元に立て遮った。
「園田さん、そういう言葉は慎んで。それじゃ女性は鈴河さんにお願いするから」
小柄な万智は私を見上げると、先に声を上げた。
「鈴河さんなら大丈夫ですよ! もう5年もいないので」
「万智っ。それを今言わなくても……」
「だって、最近は紹介すら断るから」
もはや何も反論ができない。
「それじゃあ鈴河さん、よろしくね」
「――はい」
仕方なく返事をした。
まさか自分が宣伝するアプリに、仕事で登録するとは思わなかった……。
「里穂~、ついに会社から強制指導が入ったね。いい傾向だよ」
万智が上から目線でつぶやく。
終了して席に戻りかけると、八の字眉の山野課長が、部署内を見渡し声を張り上げた。
「昨日のメールを確認して、参加希望者は僕まで連絡してください。わが広報宣伝部は、ほぼ強制登録ですので。既婚者か、特別な事情が無い限りはお願いします!」
全社員へ一斉配信されたメールには、こう書かれていた。
『社内の独身者は、わが社で開発している婚活アプリ《Mプロミス》を利用して、積極的にカップリングし、自社で行うクリスマスイベントに、なるべく参加すること。
カップリングに成功し、二人でイベントに参加した者には、ミニボーナスを検討する。』
宣伝部の独身者は男性6名、女性2名の合計8名。デスク越しにお互い顔を見合わせて、みんな戸惑っていた。
私の勤めるラングルでは、WEBコンテンツやアプリ開発が主体の会社で、今一番の稼ぎ頭がこの婚活アプリだ。
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アプリを利用し、12月21日のクリスマスイベントに二人で出席すれば、カップルになったお祝いに臨時ボーナスが出るという出血大サービスぶり。
上場を意識している会社側は、どうしても年末までに利用率を上げたいらしい。
突然アプリを使ってカップリングしろだなんて、ちょっと無茶な話にも聞こえる。
「里穂は、もちろん参加するよね?」
同じ部署で同期の園田 万智は、私の席まで来ると、そっと尋ねてきた。
「う、うん。仕事だからね……一応、登録はするけど」
「そっか、仕事だもんね。私も登録してみよっかな」
「万智は彼がいるでしょうがっ!」
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万智の大きな声に、少し離れたデスクに座る山野課長が、人差し指を口元に立て遮った。
「園田さん、そういう言葉は慎んで。それじゃ女性は鈴河さんにお願いするから」
小柄な万智は私を見上げると、先に声を上げた。
「鈴河さんなら大丈夫ですよ! もう5年もいないので」
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