条件付きスキル「スキル吸収」を駆使し、冒険者から成り上がれ

ノベルバユーザー538903

14話 プレゼント

部屋に戻り、ベットの横にカーペット敷き、その上に毛布を敷いた。

「ハクはその上で寝るんだよ。トイレは教えた場所でするようにね」

「ワォン」

ハクはベットに寄り添うようにアスランと一緒に眠るのであった。





朝起きるとそこにはメイドがハクを撫でていた。

「そこで何をしているの?」

「アスラン様を起こしにきたついでにハク様を撫でていました」



「………。」

「僕、起こされてないよね?むしろ僕がついでだよね」



メイドは慌てた様子で、

「と、とんでもありません。起こす時間に余裕を持って来ましたので、そろそろ起こそうと考えていたところです」

「ふ~ん。まあいいけど。ハク行くよ」

「ワォン」



ご主人様が起きて、よほど嬉しいのか尻尾を振って後ろをついて行く。

メイドや執事に可愛がられながら、朝食を食べるハクは幸せそうだ。その様子を見てアスランは、本当に助けてよかったと思ったのであった。





時間は過ぎ、アンシャンテ先生の授業の時間となり、ハクを紹介する。

「アンシャンテ先生おはようございます。隣にいるのがホワイトウルフのハクです」

「子爵様には聞いていましたが、本当になついているのですね」

「ハクは賢いですから。ハク大きくなって」

「ワォン」



ハクが大きくなると先生は驚きながら

「これほどまでとは…。」

「先生、ハクの為にも何処か一緒に走れる場所はないですか?体を鍛えることにも繋がりますので」

「そうですね。街の防壁の周りを走るのが一番ですね」

「有り難うございいます」



突然閃いたかのように

「アスラン君、今日の授業は走りながら魔法の練習をしましょう」

「え、走りながらですか?」

「そう、走りながら。魔法のイメージをして詠唱を唱える練習です。普通はなかなかできませんので、早めに練習しましょう」

「解りました。宜しくお願い致します」



街の防壁の周りを走りながら魔法を唱える。



1時間後、再度走りながら魔法を唱える。



3時間後、再度走りながら魔法を唱える。



「先生、もう走れません」

休み休み走っていたが、さすがに体力の限界であった。



アンシャンテ先生は安心した様子で、

「流石のアスラン君でも、これは難しかったみたいですね」

「走りながらだと集中力が途切れて、上手く魔法を行使できませんでした」

「そうですね。走る余裕と体力がつかないとイメージが途切れると思いますから、これからはこの練習も追加しましょう」

「はい。お願いします」



その隣にいるハクは余裕そうで、尻尾を振って喜んでいる。

そして授業が終わると

「アスラン君、触っても大丈夫かしら?」

「先生。大丈夫ですよ。ハク、おいで」



そして、アンシャンテ先生もモフモフの虜になったのであった。





街の城壁を走るようになって、アスランとハクは街の人からも人気者となっていたので、メイドを連れてなら街を自由に行く許可をいただいた。



そして、月日は経ち、もうすぐ5歳になろうとする時

父様は夕食の時に尋ねてきた。

「アスラン、何かほしいものはあるか?」



リベリア王国では一般的に5歳と10歳の時にプレゼントを渡す習慣があり、11歳から大人の仲間入りとなるのであった。戦争や魔物のせいで死亡する人が多いので、大人の人数を維持するためにも11歳からとなっている。



「5歳の誕生日のプレゼントですか?」

「そうだ」



アスランは考えていた。

この一年で、お小遣いを貯め、そのお金で調味料や食材をアイテムBOXの中に入れていたのであった。また、回復薬や余ったお金も今後のために溜めていたのである。



「希望を言ってもいいのですか?」

「普通は聞かずにプレゼントするのだが、アスランの場合はアイテムBOXがあるからな。アドリーヌと相談した結果聞くことにしたのだ」

「父様、有り難うございます」



アスランは再度考え

「正直に言えば、二つあるので、どちらかをいただけると嬉しいです」

「気にせず言ってみなさい」

「はい。一つ目は剣です。そろそろ剣の練習もしたいと考えていましたので。二つ目は6歳の年に王都の学校に行くので、王都の屋敷でお世話をしてくれる子供を雇ってくだされば助かります」



「一つ目はわかるが、二つ目はメイドでいいではないか?」

「ハクがいますので、学校に行っている間の世話や料理の準備など考えると専属でいると我が儘も言い易いので」

「なるほどな。それだと年の近い方がよかろう。それだと…、奴隷を購入してはどうだ?」



アスランはイヤそうな顔をしながら

「奴隷ですか?」

「そう、嫌な顔をするな。アスランによっては、奴隷と言っても貧困で売られた者を助けることにもなるのだぞ」



「助けるですか?」

「そうだ。アスランが買わなくても誰かが奴隷を買う。その者が酷い扱いをしたらどうなる?その奴隷は幸せか?」



「なるほどですね。まだ僕の方が奴隷を大切に扱う可能性が高いと言うことですね」

「そうだ。物は考えようだ。別に嫌なら専属のメイドを雇えばいいが、せっかく鑑定を持っているのであれば奴隷でもいいとは思うぞ」



「そうですね、屋敷で働いている中の奴隷も笑顔が多い気がしますしね。奴隷を考えてみたいと思います。しかし、選ぶ時間は半年ほどいただけないですか?」

「よかろう。奴隷にも良し悪しがあるだろうからな」



満足そうなアデールの横で、アドリーヌが

「それでは、私が剣をプレゼントしますわ」

「え、奴隷で決まったのではなかったのですか?」

「両親は二人ですわよ。ふふふ。いいですね」



有無も言わさずにいるアドリーヌを見て

「母様、有り難うございます」



こうして、アスランの誕生日プレゼントが決まったのであった。

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