あの瞬間キミに恋した

桜川椿

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「お父さんお母さん・・・」




「紗羅ちゃん・・・」とおじさんが驚いたように言う。




「紗羅来てたのか・・・」とお父さんも少し驚いたように言った。






なに・・・なんなの?




なんか嫌な空気だよ?


もしかして私、出てくるべきじゃなかったのかな?






「どうしてここにいるの?」お父さんとお母さんに聞いた。




父・母「・・・・・」






なんで何にも答えてくれないの?






「渋谷さん私から説明してもよろしいですか?」とお父さんとお母さんに聞くおじさん。




「はい・・・」とだけ言うお父さん。






「では大広間でお話しましょう」










そして私達は大広間へと向かった。


そして大広間・・・。










あれから5分が経った。






だけど・・・おじさんはまだ話してくれない・・・。






そんなに話しにくいことなのかな?




それにしても・・・もっと気になるのはお父さんとお母さんだ・・・。




さっきから一言も喋らない・・・。調子狂っちゃうよ・・・。






思い切って聞いてみた「あの・・・おじさんお話があるんじゃ?」


「ああ・・・そうだったね・・・。何から話せばいいのか・・・」


「愛野さん、やっぱり私が話します」とお父さんはおじさんに言った。


「そうですか。分かりました」


「紗羅落ち着いて聞いてくれ・・・」とお父さんは辛そうな顔で言った。


「うん」


「紗羅は・・・父さんと母さんの本当の子供じゃないんだ」






え?どういうこと?








もしかして・・・血が繋がってないとか言うんじゃないよね?






「私はお父さんとお母さんの子じゃないの?」


「ああ。昔施設にいた紗羅を養子にしたんだ」




そうなんだ・・・。




やっぱり私はお父さんとお母さんと血が繋がってないんだね・・・。






「どうして養子にしたの?」


「母さんと結婚してからしばらく経ったある日、母さんは子供が出来ない体と言うことを医者から告げられた。医者には5%の確立も無いと言われて父さんと母さんは苦しい思いをした。そして母さんと話し合って養子をもらうことにしたんだ」


「そうなのよ紗羅・・・驚かせてごめんね・・・。紗羅と初めて会った日の事は今でも忘れられないわ。私達はドキドキしながら施設に行き、施設の方に子供達を順番に紹介されたの。で、紗羅が1番最後だった。


あなたはまだ4歳で小さかった。「こんにちは紗羅ちゃん」と私達は紗羅に言ったの。そしてあなたは『こんにちは♪』と笑顔で私達に答えてくれた。その瞬間に、私の子供はあなたしかいないって思った。そしてそのことをお父さんに言ったら、お父さんも私と同じこと思ってたらしいの。本当にびっくりしたわ。そしてあなたは私達の子供になったの」


「そうだったんだ・・・。お父さんお母さんありがとう。育ててくれて」と言った瞬間に涙が溢れてきた。

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