人体強化人間の異世界旅路
目覚めと襲撃
俺を包み込んだ光が消えると同時に俺は意識を失った。そして気付いた時、俺は横になっている事が分かった。目は上手く開けられないが周囲の感触からベッドに寝かされているのが分かる。
「(ナタリーが看病してくれたのか?)」
俺がどれ程眠っていたのか分からないが少なくとも数日は経過しているだろう。いや、体の不自由さから一月は確実に経過している。目が開けられないのもそのせいだろう。目以外にも体を上手く動かせないからな。
「(取り敢えず周囲の確認をしないと……、ん?)」
周囲の気配を探っていると、こちらに向かってくる足跡が聞こえてくる。それも複数だ。一瞬ナタリーか?と感じたが明らかに違う。数は3、全員が成人男性のような体格をしているのだろう。響く足跡や気配がそうだ。そして何より、それらは明確に殺気を放っている。本人たちは隠しているつもりなのだろうが駄々洩れだ。
扉の前にでも来たのか、それらは立ち止まると覚悟を決める気配をして扉を開けた。素早く部屋?に入ると俺を囲むように周囲に立つ。確定だな。こいつらは敵だが残念ながら体を動かす事は出来ない。どうするかと悩んでいるとそれらが話し始めた。
「お、おい。こいつだよな?」
「ああ、間違いない。我らが主を殺した憎き男だ……!」
「よせ、殺すのは不味い。勇者の女の前で殺す必要があるからな」
「(何だと……?)」
俺が眠っていると思っているからだろう。男たちは何やら話し始めたのだがその内容が衝撃的なものだった。どうやら男たちは俺が殺した誰かの部下で、復讐をしに来たって事でしかも俺の大切なナタリーの目の前で殺すつもりらしい。大切なナタリーを傷つけるような事をしようとしている事で殺気を出しそうになったが何とか堪えて考える。
気配の感じからして人型なのは分かる。だが確実に魔王軍の配下だろうな。そして俺が倒したのはクレイナスとヴァープと言う吸血鬼だ。両方人の姿をしていたが状況的に吸血鬼だろうな。まさか返り討ちにしただけなのに復讐されるとは思わなかったがこれはある意味幸運だったな。覚醒していなければこいつらの思惑通りになっていたのだから。
「さっさと縛るぞ。勇者がすぐにでも戻って来る可能性があるからな」
「な、なぁ? 腕一つぐらい切り落としてもいいよな? どうせ殺すんだし」
男たちが俺を縛ろうと動き始めた時、ふと一人がそんな事を言いだした。それだけ俺を恨んでいるという事だがこちらからすればたまったもんじゃない。何とかして体を動かそうとするがまるで固められているかのように体が動かない。いや、正確には筋力が落ちていて動けないって感じだが。
「……確かに。どうせなら四肢を切り落とすか。それなら縛る必要もなくなる」
「それなら止血は火で焼けばいいよな? 勇者の前で殺せればいいんだから」
何か、何かないのか? このままじゃ俺はダルマになってしまう。せっかく神の試練をクリアして様々な力を手に入れたのに……、ん? 力?
「まずは何処からいく?」
「右腕から行こうぜ。主を殺した腕だ。真っ先に切り落とそう」
「よし、最初に右腕、次に左腕だ。我らの主と仲間たちの無念を込めて切り落とすぞ」
そうだよ! 身体強化の魔法を使えばいいんじゃないか? それなら筋力を何倍にも増大させて力を発揮できる!
「なっ!? なんだ!?」
「青い、光!? これは……!」
身体強化の魔法を発動すると同時に体中に沸き上がる力。俺はそれを確認する間もなく目を勢いよく開けるとベッドから飛び上がった。
「(ナタリーが看病してくれたのか?)」
俺がどれ程眠っていたのか分からないが少なくとも数日は経過しているだろう。いや、体の不自由さから一月は確実に経過している。目が開けられないのもそのせいだろう。目以外にも体を上手く動かせないからな。
「(取り敢えず周囲の確認をしないと……、ん?)」
周囲の気配を探っていると、こちらに向かってくる足跡が聞こえてくる。それも複数だ。一瞬ナタリーか?と感じたが明らかに違う。数は3、全員が成人男性のような体格をしているのだろう。響く足跡や気配がそうだ。そして何より、それらは明確に殺気を放っている。本人たちは隠しているつもりなのだろうが駄々洩れだ。
扉の前にでも来たのか、それらは立ち止まると覚悟を決める気配をして扉を開けた。素早く部屋?に入ると俺を囲むように周囲に立つ。確定だな。こいつらは敵だが残念ながら体を動かす事は出来ない。どうするかと悩んでいるとそれらが話し始めた。
「お、おい。こいつだよな?」
「ああ、間違いない。我らが主を殺した憎き男だ……!」
「よせ、殺すのは不味い。勇者の女の前で殺す必要があるからな」
「(何だと……?)」
俺が眠っていると思っているからだろう。男たちは何やら話し始めたのだがその内容が衝撃的なものだった。どうやら男たちは俺が殺した誰かの部下で、復讐をしに来たって事でしかも俺の大切なナタリーの目の前で殺すつもりらしい。大切なナタリーを傷つけるような事をしようとしている事で殺気を出しそうになったが何とか堪えて考える。
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「さっさと縛るぞ。勇者がすぐにでも戻って来る可能性があるからな」
「な、なぁ? 腕一つぐらい切り落としてもいいよな? どうせ殺すんだし」
男たちが俺を縛ろうと動き始めた時、ふと一人がそんな事を言いだした。それだけ俺を恨んでいるという事だがこちらからすればたまったもんじゃない。何とかして体を動かそうとするがまるで固められているかのように体が動かない。いや、正確には筋力が落ちていて動けないって感じだが。
「……確かに。どうせなら四肢を切り落とすか。それなら縛る必要もなくなる」
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