人体強化人間の異世界旅路
到着
ナタリーは同意こそしたものの、和人が心配なことに変わりはない。それゆえに、すぐに終わらせるべく準備を手早く済ますとその日のうちにケラースを出発した。アロ村の位置を教えてもらったナタリーは普段の旅のようにゆっくりと歩くのではなく、身体強化魔法を使って一気に駆け抜けた。風のごとき速さで動くナタリーは決して道を間違えたり早いうえの制御が効かないなどの失態を侵さずにアロ村へとたどり着いた。
助祭が言っていた魔物の襲来があるせいだろう。アロ村は外からでもわかるほど暗く、荒廃していた。2メートル近くある土壁に村を囲うように掘られた堀。それらが本来の姿であったのだろう。しかし、壁は崩され堀は埋まり、その周囲には魔物や人間の死体が放置されていた。必死の抵抗が行われていることがありありとうかがい知れた。
この様子だけを見るのならば村はすでに全滅したと思われてもおかしくはないだろう。しかし、そうならない要素として唯一原型を留める物見やぐらには若い男が周囲を見張っていた。ほかにも壊れた壁から歩いている女性や子供の姿が見える。生存者がいるということでナタリーは近づいていく。
「っ!? 誰だ!」
すぐにナタリーの姿に気づいたらしいやぐらの男が手にしていた弓を向けてくる。その声は怒声ともいえる声量でありその声に気付いた村の中の生存者が一気に臨戦態勢に入った。しかし、ナタリーは動じることなく言った。
「ケラース教会から来た」
「教会……?」
物見やぐらの男は一瞬困惑するもナタリーの姿を見て納得する。今のナタリーはシスター服を着ている。教会から来たという言葉に信ぴょう性を持たせる服装だった。
「き、教会の人間が一体何の用だ!」
「ここにいる魔物を討伐しに来た」
「はぁっ!?」
ナタリーの言葉は物見やぐらの男を驚かせるには十分すぎた。ナタリーは今年で15だが見た目はそれよりも幼い印象を抱かせる。そんな子供ともとれる少女が魔物を討伐しに来たというのだから驚くなという方が無理だろう。状況が悪くなければ妄言ともとられかねない発言であった。
しかし、それはナタリーの実力を知らないが故の驚きである。それゆえに、手っ取り早く信じてもらうためにナタリーは身体強化の魔法を全身にかけると物見やぐらの男の所に向かって一気に跳躍した。物見やぐらは3メートルは確実にあり、普通の人間ではまず届かない距離にある。そこまで飛べるというだけでも戦闘能力はともかく討伐しに来たという言葉をいうだけの事はあると判断出来るだろう。
「お前みたいな子供に何が……うわぁっ!?」
「ほっ」
ナタリーは弧を描く軌道で男の目の前に着地する。まさかいきなり飛んでくると思わなかった男は大げさな悲鳴を上げてしりもちをつく。まるでこの世のものではない生物をみるような目でナタリーを見る男に対して当の本人は特に気にも留めてない様子で言った。
「……これで信じた?」
ナタリーの何とも無さげな声に対して男は何度もこくこくと頷く事しかできなかった。
助祭が言っていた魔物の襲来があるせいだろう。アロ村は外からでもわかるほど暗く、荒廃していた。2メートル近くある土壁に村を囲うように掘られた堀。それらが本来の姿であったのだろう。しかし、壁は崩され堀は埋まり、その周囲には魔物や人間の死体が放置されていた。必死の抵抗が行われていることがありありとうかがい知れた。
この様子だけを見るのならば村はすでに全滅したと思われてもおかしくはないだろう。しかし、そうならない要素として唯一原型を留める物見やぐらには若い男が周囲を見張っていた。ほかにも壊れた壁から歩いている女性や子供の姿が見える。生存者がいるということでナタリーは近づいていく。
「っ!? 誰だ!」
すぐにナタリーの姿に気づいたらしいやぐらの男が手にしていた弓を向けてくる。その声は怒声ともいえる声量でありその声に気付いた村の中の生存者が一気に臨戦態勢に入った。しかし、ナタリーは動じることなく言った。
「ケラース教会から来た」
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物見やぐらの男は一瞬困惑するもナタリーの姿を見て納得する。今のナタリーはシスター服を着ている。教会から来たという言葉に信ぴょう性を持たせる服装だった。
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「はぁっ!?」
ナタリーの言葉は物見やぐらの男を驚かせるには十分すぎた。ナタリーは今年で15だが見た目はそれよりも幼い印象を抱かせる。そんな子供ともとれる少女が魔物を討伐しに来たというのだから驚くなという方が無理だろう。状況が悪くなければ妄言ともとられかねない発言であった。
しかし、それはナタリーの実力を知らないが故の驚きである。それゆえに、手っ取り早く信じてもらうためにナタリーは身体強化の魔法を全身にかけると物見やぐらの男の所に向かって一気に跳躍した。物見やぐらは3メートルは確実にあり、普通の人間ではまず届かない距離にある。そこまで飛べるというだけでも戦闘能力はともかく討伐しに来たという言葉をいうだけの事はあると判断出来るだろう。
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