人体強化人間の異世界旅路

鈴木颯手

襲来

「和人さん!大変です!」

 レオル帝国の勇者ナタリー・ダークネスの襲撃から数日たったある日ベアード砦の兵士と鍛錬しているところにレナードさんが慌てた様子でやってきた。

「どうしたんだ?そんなに慌てて」
「レオル帝国方面に向かわせた偵察隊から連絡が来たんです!一万の兵がこちらに向かってきていると!」
「そっか、予想より少なかったかな」
「か、和人さんはこの事を予想していたんですか!?」
「いや、勇者とは言え一人だけ送る方が可笑しいだろ。ナタリー・ダークネスは先陣で敵の混乱やかく乱が目的。そしてその次の主力で殲滅するなり制圧する」
「た、確かに……」

 レナードさんは俺の言葉に頷いているが暢気に話している場合ではない。敵が来るという事は想定していた。最悪の場合三万を予想していた。本気でサジタリア王国を狙うならそれくらいは必要だろうからな。
 因みにレナードさんから聞いた話ではサジタリア王国は常備兵二万を保有しているがレオル帝国は四万から五万を保有しているらしい。流石に徴収すれば数の差はなくなるらしいがそれでもこの差はとても大きい。レオル帝国との国境にあるベアード砦に二、三千しか配置されてないのも援軍が来ないのも常備兵が少ないせいだな。

「兎に角今は敵の襲撃に備えないと。兵糧はどのくらいあるんだ?」
「確か三か月分しか……」
「それで援軍が来るか敵を撤退させないとまずいか。だけど約五倍の兵を相手にするには……」

 圧倒的に不足している。願わくば敵の練度や士気が低い事を祈るしかないな。まぁ、流石にこの一万は常備兵だろうから士気も練度も高いだろうけどな。
 本当にどうするかな。弾薬も心もとないし最悪指揮官の長距離狙撃を試して見るか?行軍中の今ならワンチャン……。

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