人体強化人間の異世界旅路

鈴木颯手

対決!レオル帝国 前編

 俺がこのベアード砦に滞在するようになってから数日が過ぎた。その間に俺はレナードさんにこの世界の事を教えてもらっていた。この世界独特の常識や文化があった場合前の世界を基準に考えて失敗する、何て事が起こらないとも限らないからね。
 それと並行するように騎士団の面々との交流も行った。お世話になっている身なので食事や選択の手伝いも積極的に行いある程度の信頼を得られるようになった。最初こそレナードさんについてきた俺を不審に思う者もいたがこの数日間の俺の態度を見て信頼は出来ると判断してくれたようだ。
 そんな感じでベアード砦で過ごしていると取り出ないが慌ただしくなった。俺は与えられた部屋から廊下に出る。騎士団は鎧を着こみ武器を持って外へと向かっている。どうやら何かあったようだ。俺も外に出るとレナードさんが周囲に指示を出していた。

「レナードさん、何かあったのか?」
「カズトさん!実はレオル帝国も思われる軍勢がここに迫ってきていまして……」
「成程、この慌ただしさはそう言う訳か」
「はい、今は迎え撃つ準備をしているところです」

 レナードさんによると相手は5000の軍勢で攻城兵器などを多数持っている様だった。ベアード砦は国境を守る砦だけあって強固な作りだが確実に守りきれる保証はないらしい。流石に三代に渡り愚帝続きとはいえ軍もそれで腐っているという訳ではなさそうだな。となると俺はどうするべきか、だが……。そんなものは決まっている。

「レナードさん、俺も戦いに参加させてくれ」
「え?私達としては戦力が増えるのは嬉しいですが……」
「お世話になったのに一人逃げる訳にも行かないし何より知人が目の前で死ぬのは辛いからさ」
「……分かりました。お願いします」
「ああ、任せてくれ」

 俺は笑みを浮かべて余裕そうに返事をする。……この世界の軍隊がどれほど強いのかは分からないがこの騎士団の強さは訓練や模擬戦で十分に分かっている。それを基準に相手を見定めながら戦わないとな。
 対軍戦という事で俺は刀とマシンガンを取りに部屋に戻る。この世界に来る際に俺は意識を失う直前に持っていた武器を持ってきていた。その中にはマシンガンやスナイパーライフル、自動式拳銃などもあった。この世界に銃火器があるのかは分からない為無計画に打てる代物ではないが今回は仕方ないだろう。今後は刀による近接先頭をメインにしないとな。
 そして全ての準備を終えて外に出たと同時に帝国軍襲来の声が砦中に響き渡った。

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