青春クロスロード
すみれのダブルデート大作戦⑨ ~二郎、やらかす~
9月26日金曜日。2学期に入ってから一番平穏な一週間を過ごした二郎は、今週のイベント第一弾である四葉達との食事会をなんだかんだ楽しみにしており、授業が終わるとすぐに隣の教室の2年4組に顔を出して、生徒達の出入りでごちゃつく中ドア付近の座席にいるレベッカに向けて声を掛けた。
「お~い、レベッカ」
「あぁジロー」
「俺はこれから部活に行くから、終わったら連絡するよ。だからそれまで二人で待っていてくれ。二人は写真部にでもいるのか?」
二郎の言葉にレベッカが若干申し訳なさそうに言った。
「ジロー、ゴメンナサイ!実は今日はキャンセルデス!」
「なんだって?どういうことだ、レベッカ?」
「実は四葉ちゃんの都合がつかなくなったデス」
レベッカが単刀直入に説明すると、二郎の姿に気付いた四葉が近くに駆け寄り補足するように声を掛けた。
「二郎君、伝えるのが遅くなってしまってごめんね。実は春樹さんの用事が今日から日曜日にずれて、今日はバイトに出て欲しいって言われちゃって。断ることも出来ない事も無いけど、他のバイトの人は出てこられないようで、人が足りないみたいなの。だから私が行かなきゃダメかなと思って」
四葉が申し訳なさそうに理由を説明すると、二郎が納得しつつも腑に落ちない様子で問いかけた。
「いや、別に日程が変わるのは構わないさ。だけど、もっと早く分かっていたんじゃなの。もう少し先に教えてくれても良かったと思うけど。何か理由があるのかい」
「そうだよね、ごめんね」
四葉の言葉にレベッカを庇うように言った。
「四葉ちゃんは悪くないデス!私が待って欲しいとお願いしたデス。」
「そりゃどういうこった?」
レベッカの言い分に?マークを頭に浮かべながら二郎が言った。
「実は四葉ちゃんの予定が日曜日お休みなら、その日に遊びに行こうと考えたデス。それで折角だから食事会だけでなくて映画にも行きたいとなったんデス!」
「なに?映画?」
「そうデス!私のパパのフレンズに映画館で働いている人がいて、昨日チケットを3枚お願いしたら、見事ゲットしてくれたデス。さっきパパからメールが来たデス!もちろんジローと四葉ちゃんのチケットはパパからのプレゼントです!ですから3人で映画を見てその後にお好み焼きを食べに行きまショウ!!」
レベッカが満面の笑みで二郎へ日程変更の知らせが遅れた理由を話していると四葉が苦笑いしながら言った。
「実はそう言うことなの。なんかレベッカがやる気になっちゃって、二郎君を驚かせるために口止めされちゃってね。でもレベッカの言うとおり日曜なら私も一日空いているし、前に話していた『パイレーツオブカリビアン』だっけ。それを3人で見に行けたら良いねって私が言っていたのをレベッカが覚えていてくれたみたいで、それでパパさんに頼んでチケットを用意してくれたみたいなの。二郎君が嫌じゃなかったら日曜日どうかな?」
普段あまり感情や表情が見えにくい四葉でもこの時ばかりははっきりと期待の目を持って二郎を見つめているのを二郎は感じていた。またこの誘いにOKを出すと信じて疑わない無邪気なレベッカのウキウキ顔も二郎にとてつもないプレッシャーとなってのしかかっていた。なぜならば、その日は以前から予定していた忍達と行く映画デートがあったからだった。数瞬の中で二郎はやはりこれは事情を説明して断らなければいけないと結論を下し、躊躇うことなく答えた。
「あぁもちろん大丈夫だよ。俺も最近その映画のことがずっと気になっていたんだわ。レベッカ、グッジョブだ!!」
二郎は全力のグッドサインでレベッカに応え、四葉にも目線で了解を伝えた。
その言葉を聞いた四葉とレベッカは一安心といった様子で話していた。
「はぁ~レベッカ、良かったね。二郎君も喜んでくれて。予定を確認しないで勝手に決めちゃったから心配だったけどレベッカの言うとおりだったね」
「もちろんデス!ジローの予定のことは私に任せてクダサイ!ジローは部活がなければ大体暇なんデス。忍ちゃんに日曜日はバスケット部が休みのことを聞いていたので間違いないデス」
「さすがレベッカ、二郎君と付き合いが長いだけはあるね。あ、私そろそろバイト行くね。人が少ないから早めに行って仕込みも手伝って欲しいと言われちゃったから行かないと。それじゃ二郎君、日曜日楽しみにしているからね。レベッカもバイバイ!!」
「ハーイ!お仕事頑張ってくださいネ~♪私も部室に行きますネ。ジローも部活頑張ってくだサイ!」
「お、おう。じゃまた・・・」
二郎はそう言って去りゆく四葉とレベッカを見送って変な汗を体中にかいていることを感じていた。なぜなら、目の前の二人の雰囲気に飲まれた二郎は思わずOKを出してしまい、いわゆるダブルブッキングをする事になったからだった。
(何を言ってるんだ俺は!バカなのか、どうーすんだこれ?え、日曜日に映画?誰と行くんだ?忍と一とすみれ、それに四葉さんとレベッカ。あー皆で仲良く映画鑑賞すれば良いのか、そうだな、それで行こう!・・・・・な事出来るかい!!まぁ無理だわ。そりゃ無理だわ。どうして忍の機嫌取りの為のダブルデートに四葉さんを同席させることが出来るんだよ!気まずくて想像するだけでも寒気がするわ。あ~どうする。今更予定を変えてくれとも言いづらいし、そもそも見る映画も違うし、どうしろって言うんだよ。う~~~~ん、何にも思いつかんわ。よし、部活で汗でもかいて気分を変えよう。うん、そうしよう!)
二郎はこの状況をどう乗り切るのかをしばらく一人考えていたが、とうとうその答えに辿り着くことは不可能だと思い至り、とにかく一端忘れようと現実逃避をするようにこの日珍しく部活に真剣に取り組むのであった。またそんなバカな状況が進行している事など知らない忍は、そんな二郎の姿を見て、自分とのデートのことでテンションが上がっているのだと勘違いをして一人ニヤニヤが止まらないのであった。
「お~い、レベッカ」
「あぁジロー」
「俺はこれから部活に行くから、終わったら連絡するよ。だからそれまで二人で待っていてくれ。二人は写真部にでもいるのか?」
二郎の言葉にレベッカが若干申し訳なさそうに言った。
「ジロー、ゴメンナサイ!実は今日はキャンセルデス!」
「なんだって?どういうことだ、レベッカ?」
「実は四葉ちゃんの都合がつかなくなったデス」
レベッカが単刀直入に説明すると、二郎の姿に気付いた四葉が近くに駆け寄り補足するように声を掛けた。
「二郎君、伝えるのが遅くなってしまってごめんね。実は春樹さんの用事が今日から日曜日にずれて、今日はバイトに出て欲しいって言われちゃって。断ることも出来ない事も無いけど、他のバイトの人は出てこられないようで、人が足りないみたいなの。だから私が行かなきゃダメかなと思って」
四葉が申し訳なさそうに理由を説明すると、二郎が納得しつつも腑に落ちない様子で問いかけた。
「いや、別に日程が変わるのは構わないさ。だけど、もっと早く分かっていたんじゃなの。もう少し先に教えてくれても良かったと思うけど。何か理由があるのかい」
「そうだよね、ごめんね」
四葉の言葉にレベッカを庇うように言った。
「四葉ちゃんは悪くないデス!私が待って欲しいとお願いしたデス。」
「そりゃどういうこった?」
レベッカの言い分に?マークを頭に浮かべながら二郎が言った。
「実は四葉ちゃんの予定が日曜日お休みなら、その日に遊びに行こうと考えたデス。それで折角だから食事会だけでなくて映画にも行きたいとなったんデス!」
「なに?映画?」
「そうデス!私のパパのフレンズに映画館で働いている人がいて、昨日チケットを3枚お願いしたら、見事ゲットしてくれたデス。さっきパパからメールが来たデス!もちろんジローと四葉ちゃんのチケットはパパからのプレゼントです!ですから3人で映画を見てその後にお好み焼きを食べに行きまショウ!!」
レベッカが満面の笑みで二郎へ日程変更の知らせが遅れた理由を話していると四葉が苦笑いしながら言った。
「実はそう言うことなの。なんかレベッカがやる気になっちゃって、二郎君を驚かせるために口止めされちゃってね。でもレベッカの言うとおり日曜なら私も一日空いているし、前に話していた『パイレーツオブカリビアン』だっけ。それを3人で見に行けたら良いねって私が言っていたのをレベッカが覚えていてくれたみたいで、それでパパさんに頼んでチケットを用意してくれたみたいなの。二郎君が嫌じゃなかったら日曜日どうかな?」
普段あまり感情や表情が見えにくい四葉でもこの時ばかりははっきりと期待の目を持って二郎を見つめているのを二郎は感じていた。またこの誘いにOKを出すと信じて疑わない無邪気なレベッカのウキウキ顔も二郎にとてつもないプレッシャーとなってのしかかっていた。なぜならば、その日は以前から予定していた忍達と行く映画デートがあったからだった。数瞬の中で二郎はやはりこれは事情を説明して断らなければいけないと結論を下し、躊躇うことなく答えた。
「あぁもちろん大丈夫だよ。俺も最近その映画のことがずっと気になっていたんだわ。レベッカ、グッジョブだ!!」
二郎は全力のグッドサインでレベッカに応え、四葉にも目線で了解を伝えた。
その言葉を聞いた四葉とレベッカは一安心といった様子で話していた。
「はぁ~レベッカ、良かったね。二郎君も喜んでくれて。予定を確認しないで勝手に決めちゃったから心配だったけどレベッカの言うとおりだったね」
「もちろんデス!ジローの予定のことは私に任せてクダサイ!ジローは部活がなければ大体暇なんデス。忍ちゃんに日曜日はバスケット部が休みのことを聞いていたので間違いないデス」
「さすがレベッカ、二郎君と付き合いが長いだけはあるね。あ、私そろそろバイト行くね。人が少ないから早めに行って仕込みも手伝って欲しいと言われちゃったから行かないと。それじゃ二郎君、日曜日楽しみにしているからね。レベッカもバイバイ!!」
「ハーイ!お仕事頑張ってくださいネ~♪私も部室に行きますネ。ジローも部活頑張ってくだサイ!」
「お、おう。じゃまた・・・」
二郎はそう言って去りゆく四葉とレベッカを見送って変な汗を体中にかいていることを感じていた。なぜなら、目の前の二人の雰囲気に飲まれた二郎は思わずOKを出してしまい、いわゆるダブルブッキングをする事になったからだった。
(何を言ってるんだ俺は!バカなのか、どうーすんだこれ?え、日曜日に映画?誰と行くんだ?忍と一とすみれ、それに四葉さんとレベッカ。あー皆で仲良く映画鑑賞すれば良いのか、そうだな、それで行こう!・・・・・な事出来るかい!!まぁ無理だわ。そりゃ無理だわ。どうして忍の機嫌取りの為のダブルデートに四葉さんを同席させることが出来るんだよ!気まずくて想像するだけでも寒気がするわ。あ~どうする。今更予定を変えてくれとも言いづらいし、そもそも見る映画も違うし、どうしろって言うんだよ。う~~~~ん、何にも思いつかんわ。よし、部活で汗でもかいて気分を変えよう。うん、そうしよう!)
二郎はこの状況をどう乗り切るのかをしばらく一人考えていたが、とうとうその答えに辿り着くことは不可能だと思い至り、とにかく一端忘れようと現実逃避をするようにこの日珍しく部活に真剣に取り組むのであった。またそんなバカな状況が進行している事など知らない忍は、そんな二郎の姿を見て、自分とのデートのことでテンションが上がっているのだと勘違いをして一人ニヤニヤが止まらないのであった。
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