青春クロスロード

Ryosuke

人の噂も七十五日㉘ ~新事実の発覚~

 エリカはノートに書かれた時系列を改めて見返していると明らかにおかしな点を見つけそれを指摘した。

「三佳、確認だけど二人が告白を受けたのはここに書いたとおり7時頃で間違いない」

「そのはずだよ。二郎君と剛君が会場に来たのが6時45分くらいだったのはよく覚えているんだ。二郎君が花火の始まる一時間前に来るなんて思わなかったって小野君が驚いていたから。それから少し話をした後にすぐに二人で別の場所に移動して告白を受けたから、誤差があっても5分程度だと思うよ」

 三佳は当日の事を改めて思い出しながら確信を思って言った。

「そう言うことなら間違いないだろうね。そうなるとやっぱり変だよ」

「変って何がおかしいの」

「だって考えてみてよ。二人は全く違う場所で突発的に偶然告白を同じ時間に受けたんだよ。それをどうやって同時に犯人が知ることが出来たのよ。あんな人混みが沢山居る中で、しかもそこら中男女のカップルも多く居る中で二組を見つけ出すのは絶対に無理だよ」

「確かにそう言われてみればそうだけど、実際に噂は出回っていて両方とも実際にあったことなんだよ。犯人が適当な嘘を言っているならまだしも本当の事だし、どういうことなんだろう」

 エリカとすみれが推理を進めていると、三佳がぽそっとつぶやいた。

「だったらそれぞれの現場を別の人間が見たって事でしょ」

「えっ、別の人間?」

 エリカの疑問に三佳が付け加えるように言った。

「だって、別の場所で同じ時間に一人の犯人がそれを見ることが出来ないなら、私と忍の告白現場を見たのは別の人間って事なんじゃないの」

「そっか、今まで勝手に犯人は一人だって思っていたから気付かなかったけど、犯人が一人とは限らないわけだよね」

 エリカが三佳の話を肯定すると、すみれも別の出来事について言及した。

「という事はこっちの二つも別々の人が目撃したって事だよね」

 すみれは7時半前後に起きた一の一悶着と二郎の三股現場と書かれたノートを指さして言った。

「きっとそう言うことなんだわ。4つの噂の内2つずつが同時刻に起きていたから違和感があったんだけど、三佳の指摘が当たっていれば問題無く4つの現場を押さえることが出来るはずよ」

 エリカの言葉にすみれと三佳が続けて言った。

「つまり私達が追い詰めるべき犯人は」

「少なくとも2人は居るってことね」

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