青春クロスロード
人の噂も七十五日⑪ ~敗者の涙と勝者の代償~
「よーし、今日はここまで。各自ストレッチをして上がってくれ!済まないが一年は片付け頼むな」
「ウィース」
男子バスケ部部長である中田尊が図太い声で練習終了の掛け声をすると、他の部員達がすっかり疲れた声で了解の返事をした。
片付けを一年に任せて早々に部室へ着替えに戻っていた二年の四人はこれまで気になっていた噂話の話題をあれこれと話していた。
「おい、二郎。お前一体あの祭りの日に何があったんだよ。さすがにお前の噂を聞いたときは信じられなかったぞ」
二郎に声を掛けた小野大和は自分の告白話だけがなぜか誰も噂をしないことに若干寂しく思いながらも、部内で一番恋愛事に無関係そうな二郎のスキャンダルに興味津々と言った様子で話し掛けた。
「あーあれか。マジであの噂のせいで忍はブチ切れるし、周りの女子からはゴミのように見られるし本当に散々だったわ。まぁ俺レベルの日陰者になればクラス女子の冷たい視線に若干心を痛めつつ、教室の端っこで一人存在感を消して時が過ぎるのをひたすら我慢する程度で済むから問題ないけどな。それに噂を流した奴は必ず見つけ出して、始末してやるつもりだから安心しな」
二郎が本音と冗談を混ぜこぜにしながら適当に返事をしていると尊が二郎に真剣な面持ちで問いかけた。
「おい一よ、こいつは大丈夫なのか、クラスでいじめらてないよな?さすがに冗談だと信じたいが。ところで二郎さ、お前本当に忍とは何もなかったのか」
真面目な尊が二郎の冗談を半信半疑で聞きながら、ずっと気になっていた事を思い切って問いかけた。
「何かあるわけないだろ。唯一あの日忍と会って話したのも5分くらいだったし、偶然会場で会ってちょっと話をしたくらいだぞ。何を心配してんだよ、お前は」
「そうなのか、噂じゃお前が三股していたって言うし、その一人が忍だって聞いて俺は気が気じゃなかったんだぞ」
二郎があしらうように答えると尊は再度確かめるように二郎の噂について言及したところで一が話に割って入った。
「尊も大和も二郎がそんな三股出来るような器用な奴に見えるか。その噂の相手だって凜先輩と忍だろ。あと年上のお姉さんってのは俺も聞きたいところだけど、とにかく二人はいつも二郎と仲の良い面子で今更驚くこともないだろ」
一は何を今更といった様子で二郎を援護するように言った。というのも尊も大和も二郎が生徒会の仕事をたまに手伝っていることを知ってり、その関係で凜に気に入られている事もある程度知っていたのであった。そのため一は三股なんて何も知らない奴が勝手に流した嘘の話だと断言するように言った。
「まぁ確かにそうだが、そのお姉さんってのは結局誰なんだよ、二郎」
一の話に納得しつつも、噂の真相がやはり気になる大和が最後に残された謎について二郎を問い詰めた。
「あぁそれは屋台の定員さんのことだよ。俺がパンを買ってお釣りだけもらってパンを持ってくるのを忘れたもんだから、それを届けてくれたんだわ。そのお礼に俺がラムネを奢ってあげて一緒にパンを食べながら花火をちょろっと見ただけだって。なんか文句あるか」
二郎は大和の質問に嘘偽りなくあの日の状況を説明した。確かに二郎は一つも嘘は言わなかった。四葉は間違いなく屋台の定員で、パンを受け取るのを忘れた二郎に四葉がパンを持ってきて、その後四葉のために買ったラムネを渡し、二人でラムネとパンを食べながら花火を見たのであった。あの日の二人の行動を説明するとすれば、それは全くその通りだった。
「なんだそりゃ。なんで店員さんと一緒に花火を見るんだよ」
尊が明らかにおかしな話の流れにツッコミを入れると二郎が間髪入れずに答えた。
「うるせーな。花火が始まって店も暇になるから、休憩がてら花火を見ようとしていたけど周りがカップルばかりで居づらそうにしていたから、それなら俺も一人だから一緒に見ますかってなったんだよ。俺だって急な話で正直驚いたわ!」
「何だかよく分からないけど、それはそれでなんかいいな。一夏の思い出って感じで悪くないね。それでその人は可愛かったのか、二郎」
二郎の説明に斜め上を行く感想を言った一は最後にその相手の容姿について質問した。
「うん、まぁその辺の女子とは比べものにならない美人だったけどよ」
「マジか、それは五組の馬場さんクラスか」
「忍より可愛いのか」
「二郎、凜先輩以上って事はないだろう」
大和、尊、一が食い付くように言うと二郎が今出た3人と四葉の顔を思い浮かべながら答えた。
「まぁあえて言うなら、別のジャンルだけど三佳クラス、忍以上、凜先輩よりちょっとだけ上くらいだな。まぁ人によりまちまちだと思うけど、顔面偏差値で言ったらそんな感じかな。お前らこの事は人には絶対言うなよ、特に一。凜先輩だけには絶対に黙っておいてくれよ、俺が殺されるから」
二郎の言葉に三人は唖然となり、一瞬の間があった後に二郎は三人にボコボコにされるのであった。
「お前ら何すんだよ、この野郎。ばか、脇腹をつくな大和やめろ。尊も首を絞めるなって、お前ら!」
「部長どうしましょうか、この三股男。プールにでも沈めますか」
「そうだな、ここまで人を愚弄する奴には天誅を加えなくてはならない。一部員はどう思う」
「確かに二郎のくせにちょっと良いことありすぎだな、たまにはお仕置きが必要なのは間違いないが、一応弁明だけは聞いておいていも良いんじゃないか」
「うーん、なるほど。大和部員、この意見をどう思う」
「確かにある程度の罰は加えましたし、プールに沈めるのは一先ずやめておきましょうか」
3人は嫉妬に狂いながら二郎をフルボッコにした後、謎のテンションに陥って意味不明な口調で後処理の相談を始めていたが、ある程度の冷静さを取り戻し、後ろで伸びている二郎に再び話しを聞くことにした。
「おーい二郎、起きろ。生きているか」
「お前ら・・・マジでいい加減にしろよ。・・別に女と花火を見るくらい・・お前らもやったことだろうが、何をそんなに怒っているんだよ」
一が二郎の生存確認をしたところ、息も絶え絶えと言った様子で二郎が言った。
「お前な、校内美人トップ3と比べて、馬場さんクラス、忍以上、二階堂先輩よりちょっと上って、そりゃもう天使みたいな超絶美人って事だろうが。そんな人と二人で花火を見ていたなんてどれだけ幸運だったのか自覚しろ馬鹿野郎。俺たちなんて葬式か墓場にいるかのような雰囲気の中で黙って花火を見たんだぞ。今まで生きてきた中であんなに悲しい思いで花火を見たのは初めてだったわ」
「そうだ、そうだ。なぁ一。お前も生徒会の場所取りで結局一人で寂しく花火を見たんだろ」
大和の悲惨な思い出に尊が共感するように合いの手をいれ、一にも同意を求めると一がなんとも歯切れが悪そうに答えた。
「お、おおう。そうだな。うん、確かにお前達の言う通りかもしれないな。うんうん」
一の曖昧なごまかしの言葉に反応した大和が疑いの眼差しで尊に言った。
「部長どうやら我らが同士にユダがおりますわ」
大和の視線を追って尊が一言告げた。
「ブルータス、お前もか」
大和と尊に睨まれた一はいつもの明るい表情とは真反対の渋い顔で二人の視線を受け止めるも数秒で耐えきれなくなり、観念するように言った。
「悪ぃ、俺も一人で花火見るなんて、そんな寂しいことはさすがにやらないわ。俺もちょっと予定外の相手と一悶着あってその子と一緒に花火見たわ。悪いな、二人とも」
一は笑いが堪えきれないといった表情で尊と大和をあっさりと裏切って勝ち組側の二郎の隣へ移動した。
「お前、裏切り者め!」
「くせ者だ、ひったてーい」
負け組二人が一に詰め寄ろうとしたところで、二人を落ち尽かせようと一が言葉を付け加えた。
「まぁまぁ落ち着け二人とも。確かに俺は女の子と花火を見たけど、二郎みたいに超絶美人と一緒って訳じゃないぞ。確かに普通にその辺の女子よりは100倍可愛いけど、三佳っちに比べれば言葉通り可愛いモノだよ。それにお前達だってお前の言う校内美人トップ3の三佳っちと忍と凜先輩、それに加えて巴ちゃんもいたんだろ。その面子と一緒に花火を見た事に比べれば俺なんて羨ましくも何でもないだろ。ただ普通に可愛い女子といただけなんだからさ」
一は状況証拠として十分相手を論破できる弁を述べる一方で、自分と花火を見た相手が可愛いと言うことを何度も強調しながら言った。
「バカヤロー、だから地獄だったんだよ。俺らだってあんな状況でなけりゃ高校生活最高の思い出が作れるはずだったんだぞ。くそ」
尊の泣き言に近い言葉に大和が戦友に言葉をかけるように言った。
「尊、俺たちは勝負に打って出て正々堂々戦って散ったんだ。今更泣き言なんて言ったら、俺たちのちっぽけなプライドまで捨てることになるぞ。さぁ顔を上げて前を向くんだ」
「・・そう、だったな。相棒。俺たちは全て分かった上で勝負に出たんだよな。俺が間違っていたよ。済まなかった二人とも。お前達は勝者だ。心から尊敬する。我ら男子バスケ部に栄光あれ!」
何かのスイッチが入ったのか、大和と尊は意味不明な言葉を交わした後でなぜか二郎と一に謝罪をするとこれまた意味不明の掛け声を上げ満足そうに余韻に浸るのであった。
「俺たちは何を見せられているんだ。これ」
「まぁとりあいず納得したならそれでいいんじゃねーか」
「そうだな。俺はさっさと帰るとするか。一はこのまままっすぐ帰るか」
「悪ぃ、ちょっと用事があって生徒会室に行かなきゃ行けないんだわ」
「マジかよ、もしかして凜先輩も来てんのか。俺は捕まる前に帰るとするわ。そんじゃお疲れさん」
「おう、お疲れさん」
二郎はそそくさと部室から退散すると一も身支度を調えて未だわーわー言っている二人に帰りの挨拶をして部室を出て行った。
「おーい、尊、大和、俺も帰るから、お先にな!二人は一年達が帰るまでちゃんと見ていけよ。それと戸締まりも忘れずにな、そんじゃお疲れ」
一は急ぎ足で部室から出ると慌てて携帯を取り出し、ある人物に部活が終わった知らせをするのであった。
「ウィース」
男子バスケ部部長である中田尊が図太い声で練習終了の掛け声をすると、他の部員達がすっかり疲れた声で了解の返事をした。
片付けを一年に任せて早々に部室へ着替えに戻っていた二年の四人はこれまで気になっていた噂話の話題をあれこれと話していた。
「おい、二郎。お前一体あの祭りの日に何があったんだよ。さすがにお前の噂を聞いたときは信じられなかったぞ」
二郎に声を掛けた小野大和は自分の告白話だけがなぜか誰も噂をしないことに若干寂しく思いながらも、部内で一番恋愛事に無関係そうな二郎のスキャンダルに興味津々と言った様子で話し掛けた。
「あーあれか。マジであの噂のせいで忍はブチ切れるし、周りの女子からはゴミのように見られるし本当に散々だったわ。まぁ俺レベルの日陰者になればクラス女子の冷たい視線に若干心を痛めつつ、教室の端っこで一人存在感を消して時が過ぎるのをひたすら我慢する程度で済むから問題ないけどな。それに噂を流した奴は必ず見つけ出して、始末してやるつもりだから安心しな」
二郎が本音と冗談を混ぜこぜにしながら適当に返事をしていると尊が二郎に真剣な面持ちで問いかけた。
「おい一よ、こいつは大丈夫なのか、クラスでいじめらてないよな?さすがに冗談だと信じたいが。ところで二郎さ、お前本当に忍とは何もなかったのか」
真面目な尊が二郎の冗談を半信半疑で聞きながら、ずっと気になっていた事を思い切って問いかけた。
「何かあるわけないだろ。唯一あの日忍と会って話したのも5分くらいだったし、偶然会場で会ってちょっと話をしたくらいだぞ。何を心配してんだよ、お前は」
「そうなのか、噂じゃお前が三股していたって言うし、その一人が忍だって聞いて俺は気が気じゃなかったんだぞ」
二郎があしらうように答えると尊は再度確かめるように二郎の噂について言及したところで一が話に割って入った。
「尊も大和も二郎がそんな三股出来るような器用な奴に見えるか。その噂の相手だって凜先輩と忍だろ。あと年上のお姉さんってのは俺も聞きたいところだけど、とにかく二人はいつも二郎と仲の良い面子で今更驚くこともないだろ」
一は何を今更といった様子で二郎を援護するように言った。というのも尊も大和も二郎が生徒会の仕事をたまに手伝っていることを知ってり、その関係で凜に気に入られている事もある程度知っていたのであった。そのため一は三股なんて何も知らない奴が勝手に流した嘘の話だと断言するように言った。
「まぁ確かにそうだが、そのお姉さんってのは結局誰なんだよ、二郎」
一の話に納得しつつも、噂の真相がやはり気になる大和が最後に残された謎について二郎を問い詰めた。
「あぁそれは屋台の定員さんのことだよ。俺がパンを買ってお釣りだけもらってパンを持ってくるのを忘れたもんだから、それを届けてくれたんだわ。そのお礼に俺がラムネを奢ってあげて一緒にパンを食べながら花火をちょろっと見ただけだって。なんか文句あるか」
二郎は大和の質問に嘘偽りなくあの日の状況を説明した。確かに二郎は一つも嘘は言わなかった。四葉は間違いなく屋台の定員で、パンを受け取るのを忘れた二郎に四葉がパンを持ってきて、その後四葉のために買ったラムネを渡し、二人でラムネとパンを食べながら花火を見たのであった。あの日の二人の行動を説明するとすれば、それは全くその通りだった。
「なんだそりゃ。なんで店員さんと一緒に花火を見るんだよ」
尊が明らかにおかしな話の流れにツッコミを入れると二郎が間髪入れずに答えた。
「うるせーな。花火が始まって店も暇になるから、休憩がてら花火を見ようとしていたけど周りがカップルばかりで居づらそうにしていたから、それなら俺も一人だから一緒に見ますかってなったんだよ。俺だって急な話で正直驚いたわ!」
「何だかよく分からないけど、それはそれでなんかいいな。一夏の思い出って感じで悪くないね。それでその人は可愛かったのか、二郎」
二郎の説明に斜め上を行く感想を言った一は最後にその相手の容姿について質問した。
「うん、まぁその辺の女子とは比べものにならない美人だったけどよ」
「マジか、それは五組の馬場さんクラスか」
「忍より可愛いのか」
「二郎、凜先輩以上って事はないだろう」
大和、尊、一が食い付くように言うと二郎が今出た3人と四葉の顔を思い浮かべながら答えた。
「まぁあえて言うなら、別のジャンルだけど三佳クラス、忍以上、凜先輩よりちょっとだけ上くらいだな。まぁ人によりまちまちだと思うけど、顔面偏差値で言ったらそんな感じかな。お前らこの事は人には絶対言うなよ、特に一。凜先輩だけには絶対に黙っておいてくれよ、俺が殺されるから」
二郎の言葉に三人は唖然となり、一瞬の間があった後に二郎は三人にボコボコにされるのであった。
「お前ら何すんだよ、この野郎。ばか、脇腹をつくな大和やめろ。尊も首を絞めるなって、お前ら!」
「部長どうしましょうか、この三股男。プールにでも沈めますか」
「そうだな、ここまで人を愚弄する奴には天誅を加えなくてはならない。一部員はどう思う」
「確かに二郎のくせにちょっと良いことありすぎだな、たまにはお仕置きが必要なのは間違いないが、一応弁明だけは聞いておいていも良いんじゃないか」
「うーん、なるほど。大和部員、この意見をどう思う」
「確かにある程度の罰は加えましたし、プールに沈めるのは一先ずやめておきましょうか」
3人は嫉妬に狂いながら二郎をフルボッコにした後、謎のテンションに陥って意味不明な口調で後処理の相談を始めていたが、ある程度の冷静さを取り戻し、後ろで伸びている二郎に再び話しを聞くことにした。
「おーい二郎、起きろ。生きているか」
「お前ら・・・マジでいい加減にしろよ。・・別に女と花火を見るくらい・・お前らもやったことだろうが、何をそんなに怒っているんだよ」
一が二郎の生存確認をしたところ、息も絶え絶えと言った様子で二郎が言った。
「お前な、校内美人トップ3と比べて、馬場さんクラス、忍以上、二階堂先輩よりちょっと上って、そりゃもう天使みたいな超絶美人って事だろうが。そんな人と二人で花火を見ていたなんてどれだけ幸運だったのか自覚しろ馬鹿野郎。俺たちなんて葬式か墓場にいるかのような雰囲気の中で黙って花火を見たんだぞ。今まで生きてきた中であんなに悲しい思いで花火を見たのは初めてだったわ」
「そうだ、そうだ。なぁ一。お前も生徒会の場所取りで結局一人で寂しく花火を見たんだろ」
大和の悲惨な思い出に尊が共感するように合いの手をいれ、一にも同意を求めると一がなんとも歯切れが悪そうに答えた。
「お、おおう。そうだな。うん、確かにお前達の言う通りかもしれないな。うんうん」
一の曖昧なごまかしの言葉に反応した大和が疑いの眼差しで尊に言った。
「部長どうやら我らが同士にユダがおりますわ」
大和の視線を追って尊が一言告げた。
「ブルータス、お前もか」
大和と尊に睨まれた一はいつもの明るい表情とは真反対の渋い顔で二人の視線を受け止めるも数秒で耐えきれなくなり、観念するように言った。
「悪ぃ、俺も一人で花火見るなんて、そんな寂しいことはさすがにやらないわ。俺もちょっと予定外の相手と一悶着あってその子と一緒に花火見たわ。悪いな、二人とも」
一は笑いが堪えきれないといった表情で尊と大和をあっさりと裏切って勝ち組側の二郎の隣へ移動した。
「お前、裏切り者め!」
「くせ者だ、ひったてーい」
負け組二人が一に詰め寄ろうとしたところで、二人を落ち尽かせようと一が言葉を付け加えた。
「まぁまぁ落ち着け二人とも。確かに俺は女の子と花火を見たけど、二郎みたいに超絶美人と一緒って訳じゃないぞ。確かに普通にその辺の女子よりは100倍可愛いけど、三佳っちに比べれば言葉通り可愛いモノだよ。それにお前達だってお前の言う校内美人トップ3の三佳っちと忍と凜先輩、それに加えて巴ちゃんもいたんだろ。その面子と一緒に花火を見た事に比べれば俺なんて羨ましくも何でもないだろ。ただ普通に可愛い女子といただけなんだからさ」
一は状況証拠として十分相手を論破できる弁を述べる一方で、自分と花火を見た相手が可愛いと言うことを何度も強調しながら言った。
「バカヤロー、だから地獄だったんだよ。俺らだってあんな状況でなけりゃ高校生活最高の思い出が作れるはずだったんだぞ。くそ」
尊の泣き言に近い言葉に大和が戦友に言葉をかけるように言った。
「尊、俺たちは勝負に打って出て正々堂々戦って散ったんだ。今更泣き言なんて言ったら、俺たちのちっぽけなプライドまで捨てることになるぞ。さぁ顔を上げて前を向くんだ」
「・・そう、だったな。相棒。俺たちは全て分かった上で勝負に出たんだよな。俺が間違っていたよ。済まなかった二人とも。お前達は勝者だ。心から尊敬する。我ら男子バスケ部に栄光あれ!」
何かのスイッチが入ったのか、大和と尊は意味不明な言葉を交わした後でなぜか二郎と一に謝罪をするとこれまた意味不明の掛け声を上げ満足そうに余韻に浸るのであった。
「俺たちは何を見せられているんだ。これ」
「まぁとりあいず納得したならそれでいいんじゃねーか」
「そうだな。俺はさっさと帰るとするか。一はこのまままっすぐ帰るか」
「悪ぃ、ちょっと用事があって生徒会室に行かなきゃ行けないんだわ」
「マジかよ、もしかして凜先輩も来てんのか。俺は捕まる前に帰るとするわ。そんじゃお疲れさん」
「おう、お疲れさん」
二郎はそそくさと部室から退散すると一も身支度を調えて未だわーわー言っている二人に帰りの挨拶をして部室を出て行った。
「おーい、尊、大和、俺も帰るから、お先にな!二人は一年達が帰るまでちゃんと見ていけよ。それと戸締まりも忘れずにな、そんじゃお疲れ」
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