現実世界にダンジョン現る! ~アラサーフリーターは元聖女のスケルトンと一緒に成り上がります!~
報酬
ピッ。
『レベルアップ。スキルポイント20獲得しました。』
ダンジョンマスターの撃破を知らせるログが流れ終わると、
玉座の奥にある壁が、ズズッと音を立てて左右に開かれる。
ちょうど、自動ドアが開くような要領だ。
そこから地下へ続く、階段が見えた。
もしかすると、前回と同様に、あの真っ白な空間。
ダンジョン最深部へと、繋がっているのかもしれない。
「さすが、ご主人様。無事にダンジョンマスターを倒してしまいましたね」
「ああ、クリスティーナがかけてくれたバフ……いや、祝福のおかげだよ」
「わたしは、アレくらいしかお役に立てれないので……」
「助かったよ、ありがとう。クリスティーナ」
デュラハンが残した兜と、魔石をアイテムパックに回収して、
あらわれた階段を降りる、俺とクリスティーナ。
程なくして、白く柔らかい光が見えてきた。
やはり、この先にあるのは、 あの真っ白な空間で間違いないようだ。
「クリスティーナ、ちょっと待ってくれ」
「は、はいっ」
「これを」
アイテムパックに突っ込んでいた、ジャージを差し出す。
あの空間では、クリスティーナにかけられていた呪いが、一時的にせよ解けていた。
そして、今のクリスティーナは、前にプレゼントしたリボン以外は装備していない。
つまりアレだ、このまま入ってしまえば、またあの事故が起きてしまうというわけだ。
さすがに、それは色々とまずいだろ。
そう何度も、剥いてしまうわけにはいかない。
「ありがとうございますっ」
と言うと、嬉しそうにお礼を言うクリスティーナ。
手渡したジャージを、いそいそと着始める。
「お待たせしましたっ」
「じゃあ、行こう」
「はいっ」
階段の先には、【始まりの洞窟RE】と同じ、
石碑以外、何もない空間が広がっていた。
『境界の回廊、最深部へようこそ。』
 以前と同じ、優しげな女性の声が響く。
『境界の回廊 の、踏破者として、ヤマダタケシ、クリスティーナ・M・ブルーオーシャンを登録します。』
ふと、クリスティーナを確認すれば、スケルトンの姿から聖女様へと戻っている。
以前は、確信を持てなかったが、これでハッキリとした。
やはり、ここはバフ・デバフを打ち消してしまうような、セーフゾーンのようだ。
事前に、ジャージを渡しておいて正解だったな。
こんな美少女しているクリスティーナが、あられもない姿でいたら、とてもじゃないが平常心でいられる自信がない。
『クリア報酬をお選びください。』
と、声が聞こえたかと思うと。
目の前に、二つの光り輝く球体があらわれる。
今度の報酬は、選択制らしい。
洞窟のステータス情報のように、二つの球体にも情報がマスク表示されている。
【セリシアの息吹】
大森林と呼ばれる場所の奥深く、セリシアの大樹が50年に一度、生みだす息吹。
使用者のレベルを10アップさせる効果を持つ。
【アブダラの霊泉】
竜峰に湧くとされる霊泉。
使用者のあらゆる状態異常を消し去る効果を持つ。
……これは。
ついに、きちゃったか。
【アブダラの霊泉】を使えば、クリスティーナの呪いを解けるじゃないか。
レベルを10アップも確かに魅力的だけど、これを使わないと上がらないわけではない。
しかし、【アブダラの霊泉】に関しては、これを逃がしたらいつ手に入るかわからないし。
もしかしたら、二度と手に入らない可能性だってある。
もう、これは【アブダラの霊泉】一択しかないだろう。
「クリスティーナにも見えてるか?」
「はい、見えています。ご主人様、どうぞ、【セリシアの息吹】をお受けとりください。
使った者に大きな力を与えると、そう書いていますので、ご主人様に相応しいかと思います」
あれ? 見えている説明文が違うのか。
まぁ、いい。今はそんな場合じゃない。
「これじゃなくても、力はつけられる。だけど、呪いは違うだろ?」
「しっ、しかし……私は後をついて行くばかりで。ほとんどがご主人様の成果ではありませんか」
「俺がそうしたいんだ、クリスティーナは何も気にしなくていい」
と言うと、【アブダラの霊泉】の表示がされている球体に触れる。
すると、眩い程に光を放ち、液体の入ったガラス瓶に姿を変えた。
手の平大のガラス瓶に、澄んだ青色の液体が並々と入っている。
「ご、ごしゅじんさまぁ……ぐすっ、あ、あ、ありがとう……うっく、ございます」
振り向くと、真っ赤に目を腫らしたクリスティーナの姿が。
その宝石のような瞳から、ポロポロと涙が零れ落ちる。
「ごっ、ごめん。だ、大丈夫か……」
何で謝っているのかわからないが。
俺は、焦りながらも言葉を探す。
「ぐすっ、……い、いえ、うっく、……これは嬉し泣きですっ」
そう言うと、クリスティーナは、首を小さく傾げて笑顔を見せた。
そうやって見せた笑顔は、破壊力抜群だった。
童貞の俺としては、オーバーキルもいいところ。
最高にあたふたとしてしまうのが情けないわ。
ピッ。
『規定レベルに達しました。彼の地への滞在制限を解除します。』
ピッ――。
『レベルアップ。スキルポイント20獲得しました。』
ダンジョンマスターの撃破を知らせるログが流れ終わると、
玉座の奥にある壁が、ズズッと音を立てて左右に開かれる。
ちょうど、自動ドアが開くような要領だ。
そこから地下へ続く、階段が見えた。
もしかすると、前回と同様に、あの真っ白な空間。
ダンジョン最深部へと、繋がっているのかもしれない。
「さすが、ご主人様。無事にダンジョンマスターを倒してしまいましたね」
「ああ、クリスティーナがかけてくれたバフ……いや、祝福のおかげだよ」
「わたしは、アレくらいしかお役に立てれないので……」
「助かったよ、ありがとう。クリスティーナ」
デュラハンが残した兜と、魔石をアイテムパックに回収して、
あらわれた階段を降りる、俺とクリスティーナ。
程なくして、白く柔らかい光が見えてきた。
やはり、この先にあるのは、 あの真っ白な空間で間違いないようだ。
「クリスティーナ、ちょっと待ってくれ」
「は、はいっ」
「これを」
アイテムパックに突っ込んでいた、ジャージを差し出す。
あの空間では、クリスティーナにかけられていた呪いが、一時的にせよ解けていた。
そして、今のクリスティーナは、前にプレゼントしたリボン以外は装備していない。
つまりアレだ、このまま入ってしまえば、またあの事故が起きてしまうというわけだ。
さすがに、それは色々とまずいだろ。
そう何度も、剥いてしまうわけにはいかない。
「ありがとうございますっ」
と言うと、嬉しそうにお礼を言うクリスティーナ。
手渡したジャージを、いそいそと着始める。
「お待たせしましたっ」
「じゃあ、行こう」
「はいっ」
階段の先には、【始まりの洞窟RE】と同じ、
石碑以外、何もない空間が広がっていた。
『境界の回廊、最深部へようこそ。』
 以前と同じ、優しげな女性の声が響く。
『境界の回廊 の、踏破者として、ヤマダタケシ、クリスティーナ・M・ブルーオーシャンを登録します。』
ふと、クリスティーナを確認すれば、スケルトンの姿から聖女様へと戻っている。
以前は、確信を持てなかったが、これでハッキリとした。
やはり、ここはバフ・デバフを打ち消してしまうような、セーフゾーンのようだ。
事前に、ジャージを渡しておいて正解だったな。
こんな美少女しているクリスティーナが、あられもない姿でいたら、とてもじゃないが平常心でいられる自信がない。
『クリア報酬をお選びください。』
と、声が聞こえたかと思うと。
目の前に、二つの光り輝く球体があらわれる。
今度の報酬は、選択制らしい。
洞窟のステータス情報のように、二つの球体にも情報がマスク表示されている。
【セリシアの息吹】
大森林と呼ばれる場所の奥深く、セリシアの大樹が50年に一度、生みだす息吹。
使用者のレベルを10アップさせる効果を持つ。
【アブダラの霊泉】
竜峰に湧くとされる霊泉。
使用者のあらゆる状態異常を消し去る効果を持つ。
……これは。
ついに、きちゃったか。
【アブダラの霊泉】を使えば、クリスティーナの呪いを解けるじゃないか。
レベルを10アップも確かに魅力的だけど、これを使わないと上がらないわけではない。
しかし、【アブダラの霊泉】に関しては、これを逃がしたらいつ手に入るかわからないし。
もしかしたら、二度と手に入らない可能性だってある。
もう、これは【アブダラの霊泉】一択しかないだろう。
「クリスティーナにも見えてるか?」
「はい、見えています。ご主人様、どうぞ、【セリシアの息吹】をお受けとりください。
使った者に大きな力を与えると、そう書いていますので、ご主人様に相応しいかと思います」
あれ? 見えている説明文が違うのか。
まぁ、いい。今はそんな場合じゃない。
「これじゃなくても、力はつけられる。だけど、呪いは違うだろ?」
「しっ、しかし……私は後をついて行くばかりで。ほとんどがご主人様の成果ではありませんか」
「俺がそうしたいんだ、クリスティーナは何も気にしなくていい」
と言うと、【アブダラの霊泉】の表示がされている球体に触れる。
すると、眩い程に光を放ち、液体の入ったガラス瓶に姿を変えた。
手の平大のガラス瓶に、澄んだ青色の液体が並々と入っている。
「ご、ごしゅじんさまぁ……ぐすっ、あ、あ、ありがとう……うっく、ございます」
振り向くと、真っ赤に目を腫らしたクリスティーナの姿が。
その宝石のような瞳から、ポロポロと涙が零れ落ちる。
「ごっ、ごめん。だ、大丈夫か……」
何で謝っているのかわからないが。
俺は、焦りながらも言葉を探す。
「ぐすっ、……い、いえ、うっく、……これは嬉し泣きですっ」
そう言うと、クリスティーナは、首を小さく傾げて笑顔を見せた。
そうやって見せた笑顔は、破壊力抜群だった。
童貞の俺としては、オーバーキルもいいところ。
最高にあたふたとしてしまうのが情けないわ。
ピッ。
『規定レベルに達しました。彼の地への滞在制限を解除します。』
ピッ――。
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