現実世界にダンジョン現る! ~アラサーフリーターは元聖女のスケルトンと一緒に成り上がります!~
ダンジョン再び2
次の階層へ向かう道中は、和やかな雰囲気だった。
それもそのはず、ニコライさんの話によれば、この階層は殆ど魔物が出てこないらしい。
出たとしてもレベルの低い魔物で、新米冒険者でも倒せしまうとのこと。
ゾロゾロと冒険者達に紛れて、広い洞窟のような通路を進む。
「ヤマダ君、あの石碑が何だか知っているかい?」
ニコライさんが指差す先に、
大理石のような、ツルツルとした石材で造られた石碑が見えた。
「なんでしょう、記念碑か何かですか?」
「あれはね、『レコード』と呼ばれるものだよ」
「レコードですか?」
「ダンジョンを踏破したらね、あの石碑に攻略した者の名前が刻まれるんだよ」
そう言われてみれば、最初のダンジョンを踏破したときに、登録どうこう言われた気がする。
「へぇ、そうなんですね」
「レコードに名が刻まれた者は英雄と呼ばれ、冒険者の憧れだよ。自分もいつかは、と思うのだけど。何分、年齢が年齢だけにね」
「冒険に、年齢は関係ありませんよ。大事なのは、ここでしょ?」
と言い、自分の胸を親指で指す。
少しばかり、恥ずかしいことを言ってしまっただろうか。
きっと、ダンジョンのせいだろうな。そうに違いない。
「あはははっ、そうだね。その通りだよ」
ニコライさんが、嬉しそうに笑う。
「そういえば最近、幻のダンジョンと呼ばれていたものが、攻略されたのを知っているかい?」
「いえ、初耳です」
幻のダンジョンか、心躍るネーミングだな。
「えっと……正式名称は『始まりの洞窟』だったかな。その踏破者の名前が、ヤマダ君と同じ名前だったはずだ。ここらでは珍しい名前だからね、親戚だったりするのかな?」
……マジかよ。
あのダンジョン、レアだったのか。
確かに、言われてみると思い当たるフシが。
名称にREがついていたし、それにスライムが沢山いたのも納得がいく。
もしかして、報酬で貰った『始まりの剣』も、レアイテムだったりするのだろうか。
「ここら辺では、珍しい名前ですが。俺の国では、よくある名前ですよ」
用紙記入の、見本になるくらいだからな。
曰く、山田太郎さんに、山田花子さん。
あれで、どれだけのヘイトが、全国の山田さんに集まったことか。
「そうなんだね。そろそろ、見えてきたアレが次の層への入り口だよ」
ゴツゴツとした地面に現われたのは、白っぽい石材で組まれた階段。
その幅は、大人が十人横に並んでも余裕がありそうなもの。
行きに通ってきた、地下祭壇に似た階層だ。
「ヤマダ君、ここからは魔物が出るから気をつけてね」
「はい、わかりました」
バットを握り直して、ゆっくりと階段を下りていく。
和やかな空気も消えうせ、少し張り詰めた空気が流れ始める。
良く見れば、まわりの冒険者達も、各々の武器を用意し始めていた。
「あと、知っていれば余計なお世話だけど。魔物の横殴りはマナー違反になるからね」
なるほど、これはネトゲでも経験したことがあるからわかる。
ファーストアタックしたプレイヤーに、権利がつくアレだろう。
42時間、張りついて沸かしたレアモブを、横取りされた時は腹が立ったものだ。
「勉強になりました。ありがとうございます」
階段を降りきったとき、ざわざわと周囲の冒険者が騒がしくなる。
「ニコライさん、ちょっと様子がおかしいですね」
「そうだね、魔物でも出たのかな」
先頭を進む、集団に目を向けると。
なにやら、必死に叫んでいるようだ。
「トレインだっ、トレインがおきたぞっ!」
トレインってあれか、大量の敵を引き連れて逃げている状態のことだろ。
ネトゲでトレイン受けて、何度も全滅した経験あるわ。
これは、ちょっとマズイのでは、ないのだろうか。
それもそのはず、ニコライさんの話によれば、この階層は殆ど魔物が出てこないらしい。
出たとしてもレベルの低い魔物で、新米冒険者でも倒せしまうとのこと。
ゾロゾロと冒険者達に紛れて、広い洞窟のような通路を進む。
「ヤマダ君、あの石碑が何だか知っているかい?」
ニコライさんが指差す先に、
大理石のような、ツルツルとした石材で造られた石碑が見えた。
「なんでしょう、記念碑か何かですか?」
「あれはね、『レコード』と呼ばれるものだよ」
「レコードですか?」
「ダンジョンを踏破したらね、あの石碑に攻略した者の名前が刻まれるんだよ」
そう言われてみれば、最初のダンジョンを踏破したときに、登録どうこう言われた気がする。
「へぇ、そうなんですね」
「レコードに名が刻まれた者は英雄と呼ばれ、冒険者の憧れだよ。自分もいつかは、と思うのだけど。何分、年齢が年齢だけにね」
「冒険に、年齢は関係ありませんよ。大事なのは、ここでしょ?」
と言い、自分の胸を親指で指す。
少しばかり、恥ずかしいことを言ってしまっただろうか。
きっと、ダンジョンのせいだろうな。そうに違いない。
「あはははっ、そうだね。その通りだよ」
ニコライさんが、嬉しそうに笑う。
「そういえば最近、幻のダンジョンと呼ばれていたものが、攻略されたのを知っているかい?」
「いえ、初耳です」
幻のダンジョンか、心躍るネーミングだな。
「えっと……正式名称は『始まりの洞窟』だったかな。その踏破者の名前が、ヤマダ君と同じ名前だったはずだ。ここらでは珍しい名前だからね、親戚だったりするのかな?」
……マジかよ。
あのダンジョン、レアだったのか。
確かに、言われてみると思い当たるフシが。
名称にREがついていたし、それにスライムが沢山いたのも納得がいく。
もしかして、報酬で貰った『始まりの剣』も、レアイテムだったりするのだろうか。
「ここら辺では、珍しい名前ですが。俺の国では、よくある名前ですよ」
用紙記入の、見本になるくらいだからな。
曰く、山田太郎さんに、山田花子さん。
あれで、どれだけのヘイトが、全国の山田さんに集まったことか。
「そうなんだね。そろそろ、見えてきたアレが次の層への入り口だよ」
ゴツゴツとした地面に現われたのは、白っぽい石材で組まれた階段。
その幅は、大人が十人横に並んでも余裕がありそうなもの。
行きに通ってきた、地下祭壇に似た階層だ。
「ヤマダ君、ここからは魔物が出るから気をつけてね」
「はい、わかりました」
バットを握り直して、ゆっくりと階段を下りていく。
和やかな空気も消えうせ、少し張り詰めた空気が流れ始める。
良く見れば、まわりの冒険者達も、各々の武器を用意し始めていた。
「あと、知っていれば余計なお世話だけど。魔物の横殴りはマナー違反になるからね」
なるほど、これはネトゲでも経験したことがあるからわかる。
ファーストアタックしたプレイヤーに、権利がつくアレだろう。
42時間、張りついて沸かしたレアモブを、横取りされた時は腹が立ったものだ。
「勉強になりました。ありがとうございます」
階段を降りきったとき、ざわざわと周囲の冒険者が騒がしくなる。
「ニコライさん、ちょっと様子がおかしいですね」
「そうだね、魔物でも出たのかな」
先頭を進む、集団に目を向けると。
なにやら、必死に叫んでいるようだ。
「トレインだっ、トレインがおきたぞっ!」
トレインってあれか、大量の敵を引き連れて逃げている状態のことだろ。
ネトゲでトレイン受けて、何度も全滅した経験あるわ。
これは、ちょっとマズイのでは、ないのだろうか。
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