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年下御曹司は白衣の花嫁と極夜の息子を今度こそ! 手放さない

ささゆき細雪

Chapter,3_06. 甘美な交歓と消えない泡沫

「よしの、身体は大丈夫か? ほんとうはずっと寝かせてあげたかったけど、夕方になったら西岡が来るから……」
「ん……そう、だね」

 朔はさりげなく淑乃にキスをして、起きたばかりの彼女を抱き上げる。
 すでに彼はシャワーを浴びてきたらしく、先ほどまでの服を着なおしている。そういえば今日は泊まりではないのだ。息子が帰りを待っている。きっと心配しているだろう。それとも朔とふたりきりにすることができて安心しているだろうか。

「無理させて、ごめん。やさしく甘やかしてあげるって言いながらけっきょく俺……」
「気にしないで、サクくん! めちゃくちゃにして、ってあたしが言ったんだもの……サクくんに激しく抱かれると、求められてるな、って思うし」
「よしの」
「で、でもやっぱりトシだからか、学生のときみたいに何度もはツライね」
「そうだな」

 お互い照れながら、顔を見合わせて、どちらからともなくキスをする。
 ベッドのうえから運ばれたのは、バルコニーにほど近い場所にある浴室だった。浴槽にお湯は張られておらず、朔がひとりシャワーをつかった痕跡だけが残されている。

「サクくん、もう大丈夫だよ。身体を清めるくらいあたしひとりでできる」
「いや、俺が洗うよ」
「でも、せっかく服着たのに」
「西岡があとで服を持ってくるから、いま着ているものがダメになっても平気だよ」
「ちょっ……」

 そう言ってシャワーのコックを捻られて、淑乃の反論を封じてしまう。けっきょく朔はワイシャツを着たままの状態で淑乃の身体を洗いはじめてしまった。椅子に座っているよう命じられた淑乃は彼によって泡の出るボディソープで全身をくまなく包み込まれ、そのまま抱きしめられて身動きを封じられてしまう。さきほどまでたっぷり愛された余韻で、彼女の身体はくすぐったさよりも気持ちよさを拾い上げていた。このまま蕩けて自分が泡になってしまいそうな錯覚に、淑乃はのぼせそうになってしまう。

「はふ……んっ」
「身体を洗っているだけなのに、気持ち良さそうだね」
「だ、だってサクくんが」
「ごめんごめん。よしのの反応がかわいいからつい……時間もないし今日はこのへんでやめておくね」
「……ン」

 浴室で身体を清められたはずなのに、淑乃の身体はいまもまだ朔にふれられたくて仕方がないと疼いている。さんざん甘やかされたはずなのに、まだ物足りないと訴える身体をひとまず無視して、淑乃は冷静になろうと排水口に視線を向けた。

「どうした?」
「……ぜんぶ、流れていくね」
「そうだな」

 勢いよく流されていく泡が、過去のしがらみを押し流していくように排水溝へ吸い込まれ、ふたりが見ている前でポコポコ音を立てながら消えていく。
 どこか名残惜しそうに見つめる淑乃の顎を掬い、朔は彼女の唇をやさしく奪う。

「サクく……?」
「もう、俺の前から消えないで……泡沫のように消えるのは人魚姫だけで充分だ」
「何言ってるの。悲劇のヒロインになんかならないって言ったじゃない。サクくんがいっぱい甘やかしてくれたから大丈夫。あたしはもう、消えないよ」
「ほんとう?」

 きょとんとする淑乃にふたたびキスをすれば、彼女がもっととおねだりするように舌を差し出してくる。彼の口腔内を彼女の舌がなぞっていく。あまりの気持ちよさに朔の方が喘いでしまう。

「はぅ……こら、よし、の……ッ!」
「さっき、のしかえしっ!」

 はぁはぁと顔を真っ赤にしながら淑乃が唇から銀糸を紡ぐ。艶っぽい彼女の仕返しに、朔は嬉しそうに言い返す。

「わかった。もっと仕返しされたいから、俺、このあともよしのにいやらしい悪戯たくさんする」
「……えっ」

 墓穴を掘ったと気づいても後の祭り。
 朔に軽々と抱きあげられ浴室をあとにした彼女はこのあとも彼の手でさんざん啼かされつづける羽目に陥るのだった。

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