雨音

不知火

彼と僕1

次の日は久しぶりの快晴だった。これまで雨が多く、雨が降らない日でも大抵は曇の日だった。
しかし特にこれといった出来事もなく、休み時間になり、いつも通り数少ない友人との他愛のない話をしていた。
すると
「ねえ、ちょっといい?」僕の友人には絶対出せない陽気なオーラを纏わせた声が僕に向けられた。
「えっと、僕?」
「そうそう、ちょっと話があって。」
何事だろうか。この学校は進学校だからいじめといういじめはない。だから僕のような人間でもある程度友人ができた。
しかしここにもカーストはあって、そのカーストを超えた交流はない。彼は人気グループの中心で、僕らのようなものには興味がないと思っていた。
友人はというと動揺を隠せていない。言葉にならない声を出してその場から離れていった。
「なんかごめんね、話遮っちゃって。でもすぐ終わるから。」
意外と腰が低い。もしかして良い人か。
「ここじゃ人目についちゃうから旧校舎にでもいこう。」
前言撤回とはこのことだろう。人目についてはいけないことをするつもりか。

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