詩とは言いきれない短文の呟き

SSKK

今が靄の晴れ渡るとき

「綺麗だねぇ青空」

病室の窓から外を見て
眩しそうに 嬉しそうに
晴れを喜んでいる姉に

「珍しくないし」

そんなのは取るに足らない
当たり前だと主張する弟
ーー精一杯の強がりだ

姉の手術が、近づいていた。

"まるで健康が服着てる"
常にそう言われてきて
病気らしいものも
怪我らしいそれにも
無縁の一家に衝撃が走った

姉に、病気が見つかって。

よく転ぶとは思ってたけど
(まさかこんなに重いとは)

冷静沈着 品行方正
頭が良くてちょっとドジ
……どこぞの漫画のヒロインか
"愛嬌"だとしたそのドジが
病気によるものだったなんて

"ちゃんと、戻って来いよ"

ベッドで移動の道すがら
心で念じて約定を交わす
ーーこくり。
力強く頷いたのは部屋の奥
決意に満ちた担当医

(ああ……姉さんは大丈夫だ)

ヒロインがいれば自ずと
ヒーロー、現れるんだったよ。

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