詩とは言いきれない短文の呟き

SSKK

埃立ち、誇り散る

煙草の匂い染み付いた
ある繁華街の一角の
照明控えた店内に
キャンディーみたいな
香りを纏う
何人かの女の子

みんな揃ってスレンダー
……と言う訳でもないが
彼女達にはこの場所で
容姿、性格、更に言うなら
戸籍上の性別なんて何の意味もない
それらが最重要なのは

迎える側、ホストにある

加えて巧みな話術と洞察力で
瞬時にツーカーの仲へと誘う
相手の「つー」に
答えられてこその"プロ"だから

今夜も繰り広げられている
ナンバーを巡る熾烈な戦いが

「梅酒飲みたい」
"枝(初来店)梅酒入ります"
(割り材はどれだ)
お茶、お湯、ソーダか
まさかの「牛乳」

「お待たせしました」
運ばれる酒
氷が全く浮かんでない
真夏の夜の夢? 
湯気が見える

「ちょっと誰だよこれ作ったやつ」

ーーこんなの完全嫌がらせだ

「はいこれ、あったかいのでしょ」
「そうそう」
平然と受けとる女の子
当店超能力者おります模様……

本担(本命の担当)ゲットは
爽やかイケメン
心読めるとか敵うわけない
実際、ナンバーワンは
伊達じゃないって事

「職場の冷房キツくって」
「事務だからもう足パンパン」
ーーその格好で、事務なさったか
「ねえ。サブ担にアイツどう」
流し目をよこす、悪魔がそっと囁いた
……ついていきます"魔王様"

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