【ショートショート】コントSS

Yazy

【ショートショート】「ヒゲ」


生徒指導教員
「おい、日気山。その顔はなんだ?」

日気山
「え?顔ですか…?」

生徒指導教員
「ヒゲが生えている。どうして剃ってこなかった?校則でヒゲを生やすのは禁止されていること、まさか知らなかった訳じゃないよな?」

日気山
「えぇ…と、すみません。これには深い事情があるんです」

生徒指導教員
「なんだ?その深い事情とやらは?(まさか親御さんが関係しているのか?親にヒゲを生やすように言われているとか…)

日気山
「実は…すごく言いにくいことなんですが…」

生徒指導教員
「…ゴクッ」

日気山
「すごく…すごく…」

生徒指導教員
「う、うむ」

日気山
「面倒なんです」

生徒指導教員
「…はぁ?」

日気山
「面倒なんです。毎日ヒゲを剃るのが。剃っても剃っても剃ってもヒゲは毎日数ミリ伸びてくる。あんな奴らのために毎日貴重な1分を捧げていると考えると、面倒で面倒で仕方ないんです」

生徒指導教員
「そ、それが理由か?」

日気山
「はい!!!」

生徒指導教員
「なるほどな、よし、明日から剃ってこい」

日気山
「先生!!!?僕の話を聞いてました!?面倒なんですよ!!!ヒゲを剃るのが!!」

生徒指導教員
「うん、あのな、日気山くん。ヒゲは男の人なら誰でも生える。だけど人前に立つ時、ヒゲが生えていると清潔感がないと判断されるんだ。そうすると色々不利に働くことが多い。

そうだな…例えば就活の時、ヒゲを見て清潔感がないと判断されて落とされてしまうこともある。

それに、今こうしてヒゲを剃る・剃らないの話をしているのだって、面倒だし、無駄だろう?そういうことにならないように、ヒゲを剃ってくるのは案外大事なことなんだ」

日気山
「先生!清潔感がないかどうかはともかく、ヒゲについて議論が発生してしまうのは先生が許容してくれればいいだけの話じゃないですか!!」

生徒指導教員
「確かにな。でも俺にも立場がある。それに、日気山だけヒゲを生えているのを許したらどうする?それも面倒だから、を理由で。他の生徒に示しがつかないだろう?」

日気山
「変えましょう!校則を!!」

生徒指導教員
「うん、もっと面倒なことになってるな」

日気山
「僕が変えます!まずは生徒会に入って生徒会長になり、ヒゲを許容できる学校にしてみせます!」

生徒指導教員
「うむ、生徒会に入る目的はアレだけど、志は立派だ。立派な感じがする。

まぁ、それはそれで、明日でいいからヒゲを剃るように…」

日気山
「僕はやってやりますから、見ててくださいね!それでは!!」

生徒指導教員
「おぉーい、日気山。日気山くん?あ…行っちゃったか…」






こうして、日気山は生徒会に入った。そして生徒会に入って生徒会長になり、ヒゲが生えてても良いように校則を変えた。

途中、ヒゲが伸びすぎて邪魔に感じたので、ヒゲは剃った。あとクラスの女子から「ヒゲ男」とあだ名つけられたため、毎日ヒゲは剃った。


生徒指導教員
「…結局、剃るんだ」

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品