凶悪勇者のパーティと王国から追放された結界の魔術師、追放条件クリアしたので魔王を滅ぼし世界を救ったが戻ってこいと凶悪勇者がうるさいのでボコして最凶最悪の魔王に転生して世界の変革を目指します
第2話 「国外追放」
ヒューゲルたちと別れてから三日後。
王国ミザールの国王陛下リューベルズ・エレルドと謁見していた。
「恥さらしが!」
怒声が王の間に響く。
短気で有名なので予想通りだ。
「いったい幾らの報奨金を貴様に払ったと思っているのだ! だというのにノコノコと帰ってきおって!」
「お言葉ですが陛下、私も支援には感謝しておりますがヒューゲル殿にいささか問題がございまして……報奨金は」
「他人のせいにするな! ヒューゲルは優秀な勇者じゃ! なのに貴様はなんじゃ!? 魔王の使い魔も逃がしおって! 脱退だと? こっちから願い下げだ!」
国王が足を踏み鳴らし、俺も体を震えさせた。
「二度と余の御前に出てくるな! この国からは永久追放だあああああ!!」
《⑤解放条件達成・国王からの永久追放》
王国にも追放された。
はやく国から出ないと打ち首にするまでと言われた。
馬車は金がないので徒歩での国境渡りしか手段がない。
ため息をこぼす。
いや、ヒューゲルから渡された金はあるが使うのは屈辱的なのでなんとか避けたい。
そうしながら考えていると、兵士服を着た三人組に呼び止められる。
「アルフォンスさーん! 待ってください!」
「君たちは」
依頼でたまに助っ人にきてくれていた三人組だ。
「国王陛下に追放を言い渡されてしまったんですよね?」
さわやかそうな青年が額に汗を流しながら聞いてきた。
「残念ながらね……ちょっぴり予想はしていたけど潮時も早いものだな」
「そんな、俺達まだアルフォンスさんの役に立っていないのに」
彼らは依頼先でなんども魔術で助かっていた。
他の勇者パーティとは違って尊敬していたのだ。
だから尊敬するものが追放を言い渡され、彼らも内心は心穏やかでないだろう。
「せめて、これを納めください。あなたには生きていて欲しいんです」
そういい女兵士が布袋をとりだした。
受け取ってその重量に驚く。
「……こんなに、いいのかい?」
「お世話になったぶんですよ。借りではない、恩返しです」
「そうか、ありがと」
遠慮をしていてはだめだ。
心よく受け取ってから感謝を口にする。
途端、三人が泣きだしそうになっていた。
「また会える日を待っています」
そして三人は王国リザールの敬礼をするのだった。
この日、俺だけの旅が始まった。
どう転ぶかは分からないが、気ままに生きよう。
人生の終わりまで、後悔しないように。
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