《完結》転生したら、火、だった件。迫害された魔術師ちゃんが、魔神さまと崇めてきます。神なら信者を作っちゃおうぜ!
17-4.今後
「現状の説明はそんなところです。そしてここからは、今後の予定なのですが」
と、ディーネはハーブティで、唇を濡らした。
柑橘系の香りをオレも嗅覚で楽しんだ。食べ物ならその味を感じることが出来るが、液体を飲もうとは思わない。オレは火だし、消えたりしたら大変だ。
プロメテからは、
「決して消えない火」
だと言われている。
が、さすがに水とかかけられたら消えたりしちゃうんじゃないかと不安ではある。試してみようとも思わない。
幸いにもノドが渇くということもないし、ムリに飲料を飲む必要もない。
ディーネの話はすこし難しいのかもしれない。プロメテは長椅子に腰かけて、床にとどかぬ足をプラプラと、暇そうに持て余していた。
「今後の予定というのは、《紅蓮教》のことか?」
と、オレは確認した。
「ええ。宗教騎士団の設立を提案します」
「《聖白騎士団》のような?」
「私に何かあったときに、この修道院を守るチカラは必要でしょうから」
「ディーネに、もしものこと?」
ディーネは小さく微笑んで、その付けヒゲを指でつまんでいた。
「私はこう見えて、敵が多いのでね」
「らしくないことを言うじゃないか」
ディーネさん、とプロメテも心配そうな声をあげていた。
「むろん、私とてタダでやられるつもりはありません。しかし、ゼッタイとは言えませんからね」
「そうか。まぁ、その件はレイアやエイブラハングが、どうにかしてくれることだろう」
まだ、騎士団、と明確に決定づけられたわけではないが、修道士たちはすでに鍛錬に励んでいる。レイアやエイブラハングが剣術や馬術を教えているのだ。
レイアがそこいらの騎士よりも強いことは、オレも良く知っている。
1方でエイブラハングも、「S級黒狩人」と呼ばれるほどの人物だ。災厄級をたおすときに手を貸してもらっている。
コホンと敵払いをかまして、ディーネは神妙な表情になった。
「それに伴って、ひとつおふたりに質問があるのですが」
「ん?」
「タリスマンは作れないのでしょうか?」
「あぁ……あれか……」
ドワーフとソマ帝国が戦ったさいに、オレもこの目で見ている。《聖白騎士団》は魔法のようなチカラを使っていた。信仰のチカラ――ということらしいが、正直、オレからしてみれば、魔法みたいなもんだろうと思う。
「タリスマンは――あのチカラは、非常に大きな戦力アップにつながります」
「オレは良くわからんな。プロメテは何か知ってるか?」
プロメテは眉を「八」の字にして困ったような顔をしていた。
えっと……とその桜色の唇をひらいた。
「作れないことは、ないのですが……」
「ほお」
と、長椅子に腰かけているディーネが、前かがみになった。
「ただタリスマンを作るには、魔力が必要なのです。魔神さまとタリスマンをつなげるための魔力が……」
プロメテの、歯切れが悪かった。
まだ何か言葉がつづくのかと思ったのだが、プロメテはそれ以上は何も言わなかった。
「ふむ。そうですか。まぁ、考えておいてください。《紅蓮教》の宗教騎士団とタリスマンの件。今後、ソマ帝国と戦うさいには大きなチカラになるはずですから」
「はい」
「それでは私は一度、領主館のほうに戻ります」 と、ディーネは立ち上がった。
「もう帰ってしまうのです?」
「早く帰らないとタルルくんに、心配をかけてしまいますからね」
タルルというのは、たしかディーネの補佐官をしている少年だ。あまりハッキリとは覚えていないが、童顔だったように記憶している。
ディーネはプロメテの頭をナでた。
また来ますよ、とディーネはそう言い残すと礼拝堂を出て行った。
私に何かあったとき――か。
ディーネの身に、何か起きるのではないだろうか、という胸騒ぎをオレは覚えずにはいられなかった。
と、ディーネはハーブティで、唇を濡らした。
柑橘系の香りをオレも嗅覚で楽しんだ。食べ物ならその味を感じることが出来るが、液体を飲もうとは思わない。オレは火だし、消えたりしたら大変だ。
プロメテからは、
「決して消えない火」
だと言われている。
が、さすがに水とかかけられたら消えたりしちゃうんじゃないかと不安ではある。試してみようとも思わない。
幸いにもノドが渇くということもないし、ムリに飲料を飲む必要もない。
ディーネの話はすこし難しいのかもしれない。プロメテは長椅子に腰かけて、床にとどかぬ足をプラプラと、暇そうに持て余していた。
「今後の予定というのは、《紅蓮教》のことか?」
と、オレは確認した。
「ええ。宗教騎士団の設立を提案します」
「《聖白騎士団》のような?」
「私に何かあったときに、この修道院を守るチカラは必要でしょうから」
「ディーネに、もしものこと?」
ディーネは小さく微笑んで、その付けヒゲを指でつまんでいた。
「私はこう見えて、敵が多いのでね」
「らしくないことを言うじゃないか」
ディーネさん、とプロメテも心配そうな声をあげていた。
「むろん、私とてタダでやられるつもりはありません。しかし、ゼッタイとは言えませんからね」
「そうか。まぁ、その件はレイアやエイブラハングが、どうにかしてくれることだろう」
まだ、騎士団、と明確に決定づけられたわけではないが、修道士たちはすでに鍛錬に励んでいる。レイアやエイブラハングが剣術や馬術を教えているのだ。
レイアがそこいらの騎士よりも強いことは、オレも良く知っている。
1方でエイブラハングも、「S級黒狩人」と呼ばれるほどの人物だ。災厄級をたおすときに手を貸してもらっている。
コホンと敵払いをかまして、ディーネは神妙な表情になった。
「それに伴って、ひとつおふたりに質問があるのですが」
「ん?」
「タリスマンは作れないのでしょうか?」
「あぁ……あれか……」
ドワーフとソマ帝国が戦ったさいに、オレもこの目で見ている。《聖白騎士団》は魔法のようなチカラを使っていた。信仰のチカラ――ということらしいが、正直、オレからしてみれば、魔法みたいなもんだろうと思う。
「タリスマンは――あのチカラは、非常に大きな戦力アップにつながります」
「オレは良くわからんな。プロメテは何か知ってるか?」
プロメテは眉を「八」の字にして困ったような顔をしていた。
えっと……とその桜色の唇をひらいた。
「作れないことは、ないのですが……」
「ほお」
と、長椅子に腰かけているディーネが、前かがみになった。
「ただタリスマンを作るには、魔力が必要なのです。魔神さまとタリスマンをつなげるための魔力が……」
プロメテの、歯切れが悪かった。
まだ何か言葉がつづくのかと思ったのだが、プロメテはそれ以上は何も言わなかった。
「ふむ。そうですか。まぁ、考えておいてください。《紅蓮教》の宗教騎士団とタリスマンの件。今後、ソマ帝国と戦うさいには大きなチカラになるはずですから」
「はい」
「それでは私は一度、領主館のほうに戻ります」 と、ディーネは立ち上がった。
「もう帰ってしまうのです?」
「早く帰らないとタルルくんに、心配をかけてしまいますからね」
タルルというのは、たしかディーネの補佐官をしている少年だ。あまりハッキリとは覚えていないが、童顔だったように記憶している。
ディーネはプロメテの頭をナでた。
また来ますよ、とディーネはそう言い残すと礼拝堂を出て行った。
私に何かあったとき――か。
ディーネの身に、何か起きるのではないだろうか、という胸騒ぎをオレは覚えずにはいられなかった。
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