《完結》転生したら、火、だった件。迫害された魔術師ちゃんが、魔神さまと崇めてきます。神なら信者を作っちゃおうぜ!

執筆用bot E-021番 

幕間

 ロードリ公爵が治める都市――その聖火台。

 3つの人影があつまっていた。否。その姿は人に似ても、人にはあらず。背中から純白の翼を生やした者たちであった。《光神教》において3大神と呼ばれ崇められる者たちであった。


 3人ともヘルムをかぶっており、顔は晒していなかった。


「熱ッ」


 3大神がひとりエクスカエルは聖火台の火に触れようとして、その指を引っ込めた。


「どうした。お前らしくもない。この程度の火にヤケドでも負ったか?」


 挑発的な物言いをしたのもやはり3大神のひとり、グングニエルである。


「ならば、触れて見ると良い」


「この程度」
 と、グングニエルが聖火台の火を握りつぶそうと、その手を伸ばした。が、エクスカエルと同様に、手を引っ込めることとなった。


「直接握りつぶそうとするからダメなんじゃない。魔法で消しとばしてあげるわ」


 3大神の紅一点――アイギスフォンは青い魔法陣を天界した。聖火台に向かって水を射出した。


 聖火台に水が注ぎこまれる。


「おおっ、これならば」
 と、エクスカエルが満足ようにうなずいた。


「否。消えてはおらんぞ」
 と、グングニエルが険しい声音で言った。


 その言葉の通り、魔法で出された水はすべて蒸気となって霧散してしまった。


 まるで3大神のことを嘲笑うかのように、聖火台の火は燃えているのであった。


「へぇ。私の魔法を弾くほどの火なんて。すごいじゃん。これって魔力がすごいってことだよね」


「うむ。だろうな」
 と、エクスカエルが応じた。


術師の召喚したか。もしかしてさ、主神ティリリウスさまより、魔力がすごかったりして?」


「無礼な。そんなわけないだろう。ティリリウスさまを凌ぐ存在など、あってはならんのさ」


「しかし、我ら3大神のチカラが及ばぬほどとはな」


「私、欲しいなぁ。それだけの魔力を秘めたヤツなんて、神のなかでも、そんなにいないよ」


「バカを言うな。消すしかあるまい」


「でも勝てるのかしら? これほどの魔力を持った魔神だなんて」
 と、3大神は、聖火台を囲んで話し合っていた。


「やらねばならん。すでに権天使プリンシパリティーズが1人やられていると聞いている。それに、すでに信者もついているようだ。《紅蓮教団》と名乗っているとか」


「それが何よ?」


「いずれは《光神教》を凌ぐほどの宗教団体になるやもしれん。我ら神は、信者がいなくてはチカラを失ってしまうのだ。信じる気持ちで、我らの魔力は強くなる。このままでは魔神は我らをホントウに凌いでしまうぞ」


「魔術師め。やってくれる」


「魔術師は贖罪だとホザいているとか」


「人の生活のために欠かせぬ火を与えるというのは、たしかに贖罪かもしれん。しかし、これは神を逆なでする行為だ。罰せねばならん」


「誰から行く? 私から行っても良いかしら? 早く炎の魔神ちゃんに会ってみたいわ」


「そう急くな。アイギスフォン。返り討ちに合うかもしれんぞ」


「良いもん。むしろ、私よりも強かったら、惚れちゃうかもしんない」


「相談せねば」


「そうだ。相談せねばなるまい」


「じゃあ天界に戻る?」


「主神ティリリウスさまの意見を仰ぐのだ」


 どうやら相談がまとまったようだ。3大神は翼を広げると、空へと飛びあがった。


 厚く黒い雲を突きぬけて行く。その痕跡として雲には、3つの穴が開いた。が、片時の光すら許さぬというように、ふたたびその雲は閉ざされ、世界は闇に呑み込まれることになった。


 闇のなかで――。
 聖火台の炎は、神々を嘲笑うかのように揺らめいていた。


 あるいはそれは反撃の狼煙か……

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