《完結》転生したら、火、だった件。迫害された魔術師ちゃんが、魔神さまと崇めてきます。神なら信者を作っちゃおうぜ!
幕間
ロードリ公爵が治める都市――その聖火台。
3つの人影があつまっていた。否。その姿は人に似ても、人にはあらず。背中から純白の翼を生やした者たちであった。《光神教》において3大神と呼ばれ崇められる者たちであった。
3人ともヘルムをかぶっており、顔は晒していなかった。
「熱ッ」
3大神がひとりエクスカエルは聖火台の火に触れようとして、その指を引っ込めた。
「どうした。お前らしくもない。この程度の火にヤケドでも負ったか?」
挑発的な物言いをしたのもやはり3大神のひとり、グングニエルである。
「ならば、触れて見ると良い」
「この程度」
と、グングニエルが聖火台の火を握りつぶそうと、その手を伸ばした。が、エクスカエルと同様に、手を引っ込めることとなった。
「直接握りつぶそうとするからダメなんじゃない。魔法で消しとばしてあげるわ」
3大神の紅一点――アイギスフォンは青い魔法陣を天界した。聖火台に向かって水を射出した。
聖火台に水が注ぎこまれる。
「おおっ、これならば」
と、エクスカエルが満足ようにうなずいた。
「否。消えてはおらんぞ」
と、グングニエルが険しい声音で言った。
その言葉の通り、魔法で出された水はすべて蒸気となって霧散してしまった。
まるで3大神のことを嘲笑うかのように、聖火台の火は燃えているのであった。
「へぇ。私の魔法を弾くほどの火なんて。すごいじゃん。これって魔力がすごいってことだよね」
「うむ。だろうな」
と、エクスカエルが応じた。
「魔術師の召喚した神か。もしかしてさ、主神ティリリウスさまより、魔力がすごかったりして?」
「無礼な。そんなわけないだろう。ティリリウスさまを凌ぐ存在など、あってはならんのさ」
「しかし、我ら3大神のチカラが及ばぬほどとはな」
「私、欲しいなぁ。それだけの魔力を秘めたヤツなんて、神のなかでも、そんなにいないよ」
「バカを言うな。消すしかあるまい」
「でも勝てるのかしら? これほどの魔力を持った魔神だなんて」
と、3大神は、聖火台を囲んで話し合っていた。
「やらねばならん。すでに権天使が1人やられていると聞いている。それに、すでに信者もついているようだ。《紅蓮教団》と名乗っているとか」
「それが何よ?」
「いずれは《光神教》を凌ぐほどの宗教団体になるやもしれん。我ら神は、信者がいなくてはチカラを失ってしまうのだ。信じる気持ちで、我らの魔力は強くなる。このままでは魔神は我らをホントウに凌いでしまうぞ」
「魔術師め。やってくれる」
「魔術師は贖罪だとホザいているとか」
「人の生活のために欠かせぬ火を与えるというのは、たしかに贖罪かもしれん。しかし、これは神を逆なでする行為だ。罰せねばならん」
「誰から行く? 私から行っても良いかしら? 早く炎の魔神ちゃんに会ってみたいわ」
「そう急くな。アイギスフォン。返り討ちに合うかもしれんぞ」
「良いもん。むしろ、私よりも強かったら、惚れちゃうかもしんない」
「相談せねば」
「そうだ。相談せねばなるまい」
「じゃあ天界に戻る?」
「主神ティリリウスさまの意見を仰ぐのだ」
どうやら相談がまとまったようだ。3大神は翼を広げると、空へと飛びあがった。
厚く黒い雲を突きぬけて行く。その痕跡として雲には、3つの穴が開いた。が、片時の光すら許さぬというように、ふたたびその雲は閉ざされ、世界は闇に呑み込まれることになった。
闇のなかで――。
聖火台の炎は、神々を嘲笑うかのように揺らめいていた。
あるいはそれは反撃の狼煙か……
3つの人影があつまっていた。否。その姿は人に似ても、人にはあらず。背中から純白の翼を生やした者たちであった。《光神教》において3大神と呼ばれ崇められる者たちであった。
3人ともヘルムをかぶっており、顔は晒していなかった。
「熱ッ」
3大神がひとりエクスカエルは聖火台の火に触れようとして、その指を引っ込めた。
「どうした。お前らしくもない。この程度の火にヤケドでも負ったか?」
挑発的な物言いをしたのもやはり3大神のひとり、グングニエルである。
「ならば、触れて見ると良い」
「この程度」
と、グングニエルが聖火台の火を握りつぶそうと、その手を伸ばした。が、エクスカエルと同様に、手を引っ込めることとなった。
「直接握りつぶそうとするからダメなんじゃない。魔法で消しとばしてあげるわ」
3大神の紅一点――アイギスフォンは青い魔法陣を天界した。聖火台に向かって水を射出した。
聖火台に水が注ぎこまれる。
「おおっ、これならば」
と、エクスカエルが満足ようにうなずいた。
「否。消えてはおらんぞ」
と、グングニエルが険しい声音で言った。
その言葉の通り、魔法で出された水はすべて蒸気となって霧散してしまった。
まるで3大神のことを嘲笑うかのように、聖火台の火は燃えているのであった。
「へぇ。私の魔法を弾くほどの火なんて。すごいじゃん。これって魔力がすごいってことだよね」
「うむ。だろうな」
と、エクスカエルが応じた。
「魔術師の召喚した神か。もしかしてさ、主神ティリリウスさまより、魔力がすごかったりして?」
「無礼な。そんなわけないだろう。ティリリウスさまを凌ぐ存在など、あってはならんのさ」
「しかし、我ら3大神のチカラが及ばぬほどとはな」
「私、欲しいなぁ。それだけの魔力を秘めたヤツなんて、神のなかでも、そんなにいないよ」
「バカを言うな。消すしかあるまい」
「でも勝てるのかしら? これほどの魔力を持った魔神だなんて」
と、3大神は、聖火台を囲んで話し合っていた。
「やらねばならん。すでに権天使が1人やられていると聞いている。それに、すでに信者もついているようだ。《紅蓮教団》と名乗っているとか」
「それが何よ?」
「いずれは《光神教》を凌ぐほどの宗教団体になるやもしれん。我ら神は、信者がいなくてはチカラを失ってしまうのだ。信じる気持ちで、我らの魔力は強くなる。このままでは魔神は我らをホントウに凌いでしまうぞ」
「魔術師め。やってくれる」
「魔術師は贖罪だとホザいているとか」
「人の生活のために欠かせぬ火を与えるというのは、たしかに贖罪かもしれん。しかし、これは神を逆なでする行為だ。罰せねばならん」
「誰から行く? 私から行っても良いかしら? 早く炎の魔神ちゃんに会ってみたいわ」
「そう急くな。アイギスフォン。返り討ちに合うかもしれんぞ」
「良いもん。むしろ、私よりも強かったら、惚れちゃうかもしんない」
「相談せねば」
「そうだ。相談せねばなるまい」
「じゃあ天界に戻る?」
「主神ティリリウスさまの意見を仰ぐのだ」
どうやら相談がまとまったようだ。3大神は翼を広げると、空へと飛びあがった。
厚く黒い雲を突きぬけて行く。その痕跡として雲には、3つの穴が開いた。が、片時の光すら許さぬというように、ふたたびその雲は閉ざされ、世界は闇に呑み込まれることになった。
闇のなかで――。
聖火台の炎は、神々を嘲笑うかのように揺らめいていた。
あるいはそれは反撃の狼煙か……
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