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【第二部完結】アンタとはもう戦闘ってられんわ!

阿弥陀乃トンマージ

第24話(4)平和な明日の為に、トライ・スレイヤー参上!

「叡山方面からの狙撃が止んだな……愛賀はん、やられたか?」

 機法師改を操縦する鳳凰院胤翔が呟く。

「……まあええ、ある程度は戦線をかき乱してくれたからな……後はなんとでもなる」

 鳳凰院は自らの機体の前を進む、多くの機妖を見て頷く。

「志渡布はんは多くの機妖を拙僧に預けてくれた。さらに特殊な機妖まで……」

 鳳凰院が視線を移すと、他とは違う三体の機妖が機法師改を囲むように移動している。

「飛行タイプが『機妖・甲型こうがた』、素早いタイプが『機妖・乙型おつがた』、一回りサイズが大きいのが『機妖・丙型へいがた』やったかな? まあ、なんでもええわ……ここが主力部隊っちゅうこっちゃ」

 鳳凰院は笑みを浮かべる。

「一番厄介なFtoVは傭兵の姉ちゃんたちが抑えてくれる言うてたしな。正直勝てるとは思えんのやが、裏の世界ではそれなりに名の知れた『極悪なお姉さん』たちや。多少の足止めくらいはしてくれるやろ……となると、拙僧はさっさとここを突破するだけや…… 」

 前を進む機妖の集団が次々と消滅していく。前方に煙が巻き起こり、視界が不良になる。

「な、なんや 」

 鳳凰院の耳に女性たちの会話が聞こえてくる。

「白い頭部に、黒い胴体の機体……あれは?」

「他とは違うでござるな……」

「あれはロボチャン奈良代表の機法師改よ! 真大和国側についたの!」

「詳しいね~未来」

「頼りになるでござる」

「ってか、明日香姉も次代姉もそれくらいの情報、しっかり頭に入れておきなさいよ!」

 女性たちの会話を聞き、鳳凰院が声を上げる。

「明日香、次代、未来……大毛利三姉妹! 『フリートゥモロークラブ』か 」

「……名乗る前に名前言われちゃったよ」

「いまひとつ恰好がつかないでござるな」

「そんなのどうでも良いから! ほら! さっさと片付けるわよ!」

 煙が晴れ、紅色主体の巨大ロボットがその姿を現す。鳳凰院が舌打ちする。

「トライ・スレイヤー! FtoVと並び日本防衛の要! こないなとこで会うとは……」

「ふむ……データによると、お坊さんみたいだね?」

 トライ・スレイヤーから声がする。答える義務もないが、鳳凰院が応じる。

「……それがどないしたんや?」

「おっ、対話の意志あり?」

「高名なフリートゥモロークラブのリーダー、大毛利明日香はんとお話し出来る機会もそうそうないからな」

「いや~高名って、そんな本当のことを言われても……」

「そうやってすぐ調子に乗らない!」

「……で、なにか拙僧に用かいな」

「えっと……なんだっけ?」

 明日香の間の抜けた様子に未来がため息をつく。

「はあ……もういいわ、私が代わりに尋ねる。鳳凰院胤翔、貴方は何故に真大和国、志渡布雨暗に与するの?」

「……おもろそうやからかな」

「は?」

「志渡布はんの国盗りに興味が湧いたんや」

「そ、そんな理由で、お坊さんが騒乱に加担するというの?」

「坊主いうても筋金入りの不良坊主やからな」

 鳳凰院が自嘲気味に笑う。

「だ、だからといって!」

「若いころはそれなりの志を持って、修行に励んだもんや……せやけど、明るい展望がさっぱり抱けなくてな……虚しくなって、寺を飛び出した。なんとなく寺に戻って、ロボチャンに参加してみたら、こういうことになった……これも定めというやつやな」

「な、何を言っているの 」

「特に意味は無いで、単なる時間稼ぎや」

「 」

「……いつの間にか囲まれたでござるな」

 次代の言葉通りトライ・スレイヤーの周囲を無数の機妖が包囲している。鳳凰院が笑う。

「他の地点にいた機妖を一気にこの地点に集結させた! この数はなんぼトライ・スレイヤーでも難儀するやろ!」

「くっ……真面目に話を聞いて損したわ!」

「無駄に長い話をするのは得意やねん! さあ、やってしまえ、機妖ども!」

「ちっ! 明日香姉!」

「ん? やってもいいのか?」

「いいわよ!」

「そらっ!」

「なっ 」

 トライ・スレイヤーの振るった薙刀が無数の機妖を文字通り薙ぎ倒していく。

「その調子よ! このままあの不良坊主も懲らしめてやって!」

「くっ! 任せたで!」

「むっ 」

 鳳凰院の指示に従った三機の特殊な機妖がトライ・スレイヤーの進撃を止める。

「どうやら力・速度など、他の有象無象とは一味違うようでござるな!」

「気付いたところでもう遅い! 丙型! パワーで圧倒や!」

「うおっ!」

 トライ・スレイヤーの巨体がひっくり返される。明日香が呟く。

「う~ん、未来にバトンタッチ~」

 トライ・スレイヤーのカラーリングが水色主体になる。鳳凰院が声を上げる。

「『スレイヤー・マーレ』か! 海中戦に長けた形態! 陸地ではかえって不利やろ!」

「……ご心配頂いてありがとう、でも、ちょうどいいハンデよ! 『海割』!」

 スレイヤー・マーレの放った拳が丙型の機体を貫く。

「ぐっ  乙型、スピード勝負や!」

「……次代姉、任せた。バトンタッチよ」

 トライ・スレイヤーのカラーリングが橙色主体になる。次代が淡々と謎の口上を述べる。

「……別に恨みなどはないが、希望とあらば確かに仕留める、成敗アワーの時間がやって参りました……『空蝉』!」

「! 乙型が真っ二つに……『スレイヤー・テッラ』……なんちゅう剣速や」

「終わりでござるかな?」

「まだや! 甲型! 空から仕留めろ!」

「飛行型でござるか。姉上、頼みます。バトンタッチでござる」

 トライ・スレイヤーのカラーリングが紅色主体に戻る。

「空はむしろこっちの庭よ……『鎌鼬』!」

「! 『スレイヤー・カエルム』……空中戦が得意な形態やったか、迂闊やったわ……」

「さて……もう終わりでいいかしらね?」

「アホ抜かせ! まだ拙僧がおるわ!」

「でもその機体、空飛べないでしょ?」

「やりようなんていくらでもあるわ! 『光輪波』!」

「おっと 」

 機法師改の持つ錫杖の先端からレーザーが放たれ、スレイヤー・カエルムの肩部に当たる。

「デカい図体しとるから当てやすいわ! どんどんいくで!」

「レーザーか、厄介だな……『鎌鼬乱撃』!」

「ぬおっ 」

 スレイヤー・カエルムが薙刀を振り回し、衝撃波を多数発生させる。機法師改は受け止めきれず、その場に崩れ落ちるが、地面に広がった黒い穴に吸い込まれていく。

「あ、逃がした? まあいいか、え~と……悪はアタシたちトライスレイヤーが無事倒しました……それじゃあ、平和な明日、また来てくれるかな~? ……そんなことはないか!」

「決め台詞勝手に叫んで、自分で否定しないでよ! ……とにかく味方と合流しましょう」

 トライ・スレイヤーは機体を反転させ、京都の中心部に戻る。

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