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【第二部完結】アンタとはもう戦闘ってられんわ!

阿弥陀乃トンマージ

第21話(4)ザ・トルーパーズ全員集合!

「FtoVや!」

「来てくれんたんですね……!」

 隼子が興奮気味に叫び、いつきが安心したような声を上げる。

「えっと……誰だっけ?」

 修羅が不思議そうに首を傾げる。隼子が突っ込む。

「いや、なんでFtoV知らんねん!」

「どこかで見たことがあるような……」

「我々の恩人ですよ! 首里城での戦いをもう忘れたんですか?」

「ああ! あの時の! そういえばあのいふーなカラーリングのロボットか、思い出した」

「変なとか言わないで下さい! 私たちが子供のころから活躍しているロボットですよ!」

「その子供のころから~って言うのは、妙に引っかかるからやめてくれない?」

 巨大ロボの方から落ち着いた女性の声が聞こえてきた。その声に対しいつきは取り乱す。

「そ、その落ち着いた声は、FtoV左脚部担当、火東聖かとうせいさん! 私、子供のころから……」

「だから、その子供のころから~って言うのをやめてって!」

「火東さん、怒るとシワが増えるわよ~もう手遅れかしら?」

 火東をからかうもう一人の女性の声にもいつきは敏感に反応する。

「FtoV右脚部担当、殿水仁美とのみずひとみさん! チームの『不動のエース』!」

「良いこと言うわね。違いが分かっているわ、あの娘」

「……殿水が不動のエースならアタシは何なのよ?」

「えっと……『絶対的スター』ですかねえ?」

 火東の唐突な問いかけにいつきは戸惑いながら答える。

「絶対的スター……まあ、悪くはない響きね」

「って、火東さん、そんなんで喜ぶなんて流石にちょろ過ぎない?」

「うるさいわね。アンタにだけは言われたくないわよ」

「おい、下半身コンビ! だらだらくっちゃべってねえで、さっさと両脚を動かせ!」

 男のダミ声が周囲に響き渡る。火東と殿水が即座に言い返す。

「ちょっと、だからその言い方!」

「いい加減セクハラで訴えるよ!」

「うるせえ! 給料分はしっかりと働け!」

「毎度のことだけど、給料の配分を見直しなさいよ!」

「いざとなったら出るとこ出るわよ!」

「あ~あ~なんでも良いから、脚部ブースターを全開で噴かせ!」

 ダミ声の男がウンザリした様子で命じる。

「くそ……」

「今に見ていなさい……」

 頭部と首回りは赤色、右腕と右半身が青色、左腕と左半身が黄色、右脚が桃色、左脚が緑色という、やや、いや、大分奇妙奇天烈なカラーリングの『FtoV』と呼ばれたロボットが急加速し、百鬼夜行に迫る。オープン回線の為、大洋たちにもやりとりが聞こえてくる。

「よし! まずはミサイル発射で牽制だ、木片!」

「ZZZ……」

「ば、馬鹿野郎! だからこんなときに寝るなって言ってんだろ!」

「! ミ、ミサイル発射!」

 FtoVは左腕からミサイルを数発、発射する。ミサイルは全て百鬼夜行の黒い巨体に的確に命中する。百鬼夜行はFtoVにゆっくりと向き直る。

「和さん、奴はかろうじてだが人型を保っている。砲撃で眼を潰そうと思う、許可を求める」

 男の冷静な声が聞こえてくる。和さんと呼ばれたダミ声の男が答える。

「よし、任せるぞ! 土友!」

 FtoVが今度は右腕に付いた砲口から二発砲撃する。これが百鬼夜行の両眼と思われる部分を正確に射抜いた。百鬼夜行はその巨体をのけ反らせる。

「メインカメラを潰されて混乱しているはず。畳み掛けるならば今だ……」

「よし、上出来だ!」

 ダミ声の男が快哉を叫ぶ。

「あれ? ひょっとして5人で別々に操縦しているのか?」

 戦況を見つめながら修羅が疑問を口にする。何故だかいつきが誇らしげに答える。

「そうです! 『五色合身! フュージョントゥヴィクトリー』、通称FtoVがお馴染みとする戦闘スタイルですよ!」

「そういや、首里城での戦いの時も思ったけど……一見、てんでバラバラのようだけど、不思議と息が合っているんだよね~」

「それは歴戦の猛者、『ザ・トルーパーズ』だからこそ出来る芸当やろうな~」

 修羅の素直な感想に何故か隼子が偉そうに胸を張る。

「『ザ・トルーパーズ』?」

 首を傾げる修羅に対し、隼子はパネルを操作して、5人の男女の顔画像をシーサーウシュのモニターに表示させ、修羅に問いかける。

「これが老若男女に人気の5人組パイロット『ザ・トルーパーズ』や! どうや、かりゆしウェアの兄ちゃん? アンタにも見覚えないか?」

「こういうのは疎くてさ~あの戦いの後、俺は間抜けにも気を失ってしまったし……」

 尚も首を傾げる修羅を見て、いつきがモニターを指し示しながら説明を始める。

「まず、左脚部部分を担当するのは、ショートボブの髪型が特徴的な美人の火東聖さん。長年に渡り、グリーンフットの艦長を務めていらっしゃいます」

「グリーンフット?」

「あの緑色の潜水艦のことです」

「ああ、あれね」

「それで、右脚部部分、戦艦ピンクフットの艦長を務めているのが、綺麗なロングヘアーが印象的な殿水仁美さん。約7年前に前任者から引き継いで現職に就いています。この二人のコンビ、通称『下半身コンビ』が繰り出す見事な推進移動がFtoVのその大きな機体に似合わぬ機動性を大いに高めているんです」

 モニターには続いて、大柄ではあるが、太り気味な男性の姿と、眼鏡を掛けた細身の男性の姿が映し出される。

「このふくよかな体格の方が、左腕部部分、大型トレーラーイエローアームのドライバーを務めてはる木片義一このかたぎいちさん。戦闘中に居眠りをするなど、やや間の抜けた行動をとるのが玉に瑕ですが、ムードメーカーとしては必要不可欠な御方! そして、右腕部部分、戦車ブルーアームに搭乗しているのが、眼鏡がクールに決まった土友孝智つちともこうちさん。常に冷静沈着で個性的なチームの中で参謀の様な役割も果たしている! 文字通りチームの右腕!」

 最後にモニターにさほど大柄ではないが、ガッシリとした体格の男性が映し出される。

「この御方が『ザ・トルーパーズ』のリーダーにして、頭部と胸部部分、戦闘機レッドブレインのパイロット並びに、FtoVのメインパイロットである小金谷和久こがねやかずひささん!」

「そ、そうか、う~ん、またなんというか……」

「……なんやねん?」

「わりとベテラン感が漂う5人だね~?」

 修羅の率直な発言に隼子は少し慌てる。

「な、何を言うてるんや、さっきもそっちのお姉ちゃんが言うたやろ、うちらが子供の頃から第一線に立って活躍されてきはったんや、そりゃあ年季も違ってくるってもんやわ」

「FtoVという機体も第1世代特有の要素を各所に残しつつも、第2世代の技術を贅沢に盛り込んだ、なんとも興味深い機体です」

「そう! エエこと言うわ~お姉ちゃん」

 いつきの発言に隼子が膝を打つ。修羅が隼子といつきのやりとりに肩を竦める

「物は言い様な気もするけどね……」

「おい見ろ、戦況が動くぞ!」

 大洋の言葉通り、頭部を撃たれた百鬼夜行はその動きを止めていたが、やがて落ち着きを取り戻し始めたかのように動き出す。それを見て小金谷が叫ぶ。

「よし、とどめをさすぞ!」

 FtoVが背中から巨大な剣を取り出す。

「奴の得体は知れん! 報告通り、鳥取県代表のロボットであるならば、確認の為にも行動不能にする! その為にはこの剣が必要だ! 5人の意志を一つにしなければ、このビッグソードの力も十二分には引き出すことは出来ない! 分かっているな!」

「だからそれは何百回も聞いたっての……」

「おい、火東!」

「あ、はい!」

「ギャラさえ上げてくれれば意志でもなんでも合わせるっつうの……」

「いいな、殿水!」

「はいはい!」

「ZZZ……」

「だからこんな時に寝るな! 木片!」

「! は、はい!」

「美味しいところを自分で持って行って、その分ギャラも一人だけ大目に貰うと……」

「土友! 聞こえているぞ! こんな時に余計なことは言わんで宜しい!」

「はい!」

「……それでは行くぞ! 喰らえ! 『ビクトリービッグソード 』」

 FtoVが大剣を勢い良く振り下ろすと百鬼夜行は成す術もなく、仰向けに転がる。その様子を見下ろしながら、小金谷が威勢よく叫ぶ。

「悪は俺たちFtoVが倒した……平和へむけたビクトリーロード、またも一歩前進! 次回もまた一所懸命頑張ります! ごきげんよう!」

「出たで! 決め台詞!」

 隼子は興奮気味にモニター越しに拍手を送る。閃はやや呆れ気味に大洋の方、さらにモニターを見ると、大洋と幸村がそれぞれ深刻な表情を浮かべている。

「大洋、ツインテールちゃんもどうしたの……?」

「……ああいう決め台詞、やっぱり俺らも欲しいな」

「同感でごわす……カッコいいでごわす」

 全然深刻ではない会話に閃はガクッと俯く。そこに土友の声が響く。

「待った! 百鬼夜行が消えるぞ 」

「 」

 全員が視線を向けると、百鬼夜行の倒れた地面に大きな黒い穴が開き、百鬼夜行がそこにゆっくりと吸い込まれて行く。小金谷が声を上げる。

「逃がすか! ぐっ 」

 百鬼夜行を追撃しようとしたFtoVだったが、そこにTPOグラッスィーズの正確な射撃が当たり、動きを止めてしまう。金と銀の話し声が聞こえてくる。

「FtoVが来るのは計算外だったが……何体かはこちらに引き込むことが出来た」

「それは上出来だ。計画を次の段階に進めるとしよう……」

 TPOグラッスィーズの二機も黒い穴の中に消え、すぐさま黒い穴は閉じる。

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