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【第二部完結】アンタとはもう戦闘ってられんわ!

阿弥陀乃トンマージ

第9話(1)ヒマなので作戦会議してみた

「作戦会議? とっくに終了したわよ」

「い、いや、ちょっと待って下さい! 我々は何も聞いておりませんが 」

 殿水の素っ気ない返答に隼子は慌てる。

「そりゃあ会議に貴女たちは呼ばれていなかったからね」

「な、何故ですか? 頼りにさせてもらうっておっしゃっていたやないですか 」

「そんなこと言ったかしら?」

「言いましたよ!」

 詰め寄る隼子を片手で制しながら殿水が答える。

「貴女たちはそうね……いわば秘密兵器なの!」

「ひ、秘密兵器ですか……?」

「そう、相手の虚をつくようなタイミングでの出撃が求められる。故にこの迎撃作戦には積極的に参加しなくても良いの」

「そ、それで大丈夫なんですか 」

「……敵を欺くにはまず味方からって言うでしょ? 指定のポジションは追って伝えられると思うから、後はそこで別命あるまで待機をしておいて頂戴」

 ポンポンと隼子の肩を叩き、殿水は去っていった。

「た、待機言うてもなあ……?」

 隼子が首を傾げながら、(有)二辺工業に用意されたテントに向かう。テントの幕をくぐった隼子に大洋が問いかける。

「どうだった、隼子?」

「いや……どうだったって言われてもなあ?」

 椅子に座っていた閃が背もたれにもたれかかりながら、呆れ気味に呟く。

「どうせ、作戦会議には混ぜてもらえず、別命あるまで待機……とかそんなところでしょ?」

「よ、よう分かったな」

「大体分かるよ~」

「しかし、作戦会議にも参加させてもらえんとは……」

 大洋が腕を組んで不満気な表情を浮かべる。

「目下、電光石火は潜在能力こそあるようだが、経験も実績も圧倒的に不足している三世代前も前のロボットに過ぎないからね。それを作戦行動の中心に据えて計算するほど上の連中も愚かでは無いってことだよ」

 閃はそう言って上を指差す。

「上の連中?」

「GofEたい」

 作業を終えた大松がテントに入ってきた。大洋が尋ねる。

「GofE?」

「何ね、大洋? GofEくらい覚えちょるじゃろう?」

 コーヒーを注いだ大松が振り返って、大洋にコーヒーカップを突きつけるが、大洋は首を捻るばかりであった。大松は片手で頭を抑える。

「おい隼子、説明してやれ」

「……大洋、GofEってのはな、Guardians of the Earthの略称で、地球圏連合傘下の治安維持部隊のことや」

「そう言われると聞き覚えがなんとなくある様な……」

「記憶喪失もなかなか大変たいね」

 大松が同情するように呟く。

「あのミュージック&ファクトリーもその部隊所属なのか?」

「フュージョントゥヴィクトリーな。……ュージとクトリーしか合うてへんやないか」

「……当てずっぽうで言った割には良い線いっただろ」

「そんなこと当てずっぽうで言うな! アンタな、あんまりいい加減なこと言うてたらザ・トルーパーズのリーダー、小金谷さんにぶっ飛ばされんで?」

「あのダミ声の主か」

「ダミ声とかも言うたらアカンねん!」

「分かった、気を付けよう」

「……頼むでホンマ」

「それでGofEというのは、要は地球圏全体の防衛軍か?」

「まあまあ、概ねその認識でええわ」

 隼子は大洋の言葉に頷き、閃の方を向いて尋ねる。

「とはいえ、このまま黙って待機っちゅうわけにもいかんやろ?」

「と言うと?」

「い、いやウチらの方でも対策を練る必要はあるやろ。備えあればなんとやらや」

「……それもそうだね、どうせヒマだし」

 閃が端末を操作すると、机の上に立体上の映像が映し出された。大洋が問いかける。

「これは?」

「今回侵攻してくるであろう古代文明人の一派“ヴァールア”の主戦兵器だよ」

「ヴァ―ルア?」

「ポリネシア語で“魂”とか、そういう意味あいの言葉だよ」

「そうか。これはロボットなのか? 大きい魚のように見えるが……」

「連中は海棲生物を模したロボットを多く用いているんだよ。このデカい魚型ロボットはイアと呼ばれている。色々機種はあるようだけど、基本的にはこの青い機体が多く運用されているようだね」

「そうか……」

「やっぱり海中戦がメインになると考えた方がエエんか?」

 隼子の問いに閃が頬杖を突きながら答える。

「向こうの狙いがイマイチ不透明なんだけど、海深くでの戦闘はこちらに分が悪い。ある程度引きつけて、深度の浅い場所、もしくは海上で迎撃するって考えだと思うんだよね」

「俺たちに課せられるミッションはなんだと思う?」

「まだまだ分析が不十分なところがあるけど、電光石火は海中での戦闘には基本不向きだ。それはお偉いさんたちも承知している。大方宇宙センターと周辺施設の防衛に当たれって言われるんじゃないかな」

 大洋の質問に答えると、閃の端末にメッセージの通知が入る。

「何のメッセージや?」

「……これはプライベートなメッセージだね」

「なんやそら、仕事用の端末になんでそんなん来るねん?」

「私は仕事とプライベートの区別が実に曖昧なんだ」

「いや、そこはキッチリしろや!」

 胸を張る閃に対して隼子が大声を上げる。再びメッセージの通知が入る。

「今度はなんや?」

「……いわゆる迷惑メールだね」

「フィルターかけろや!」

「乱暴に言ってしまえば私にとってはほとんどのメールが迷惑メールみたいなもんだよ」

「乱暴過ぎるやろ!」

 そこに三度通知が入った。

「はあ……また迷惑メールか?」

「いや、GofEからの連絡だね。ある意味迷惑だけど」

「今一番重要なものや!」

 興奮気味の隼子を落ち着かせながら大洋が閃に問う。

「内容は?」

「ふむ……待機位置の指定だね。作戦開始、というか相手の侵攻が明け方頃になると予想されるってさ。もう準備に入った方が良さそうだね」

 閃が大松に目配せする。大松は力強く頷くと、テントの外に出て行った。

「了解した。五分で準備すると」

「実戦か……」

「どうしたの、ジュンジュン? 何か心配事?」

「いや、アンタら怖くないんか? 敵勢力とはいえ、人間相手やで?」

「私は寝過ごさないか心配だよ。徹夜は苦手なんだよね~」

「俺はフンドシ姿が禁止されないかが心配だ」

「……同意を求めたウチがアホやったわ」

 五分後、大洋たちは機体へと乗り込んだ。

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