僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿心刃

第七話・8

なんだかすごく疲れた。
今日は色々ありすぎて、とにかく疲れた。
女子校内では女装させられ、僕の家に帰ってきたらエッチなことを要求されたりと、とにかく香奈姉ちゃんには振り回されっぱなしだ。
その香奈姉ちゃんは今、裸で僕のベッドで寝ている。
さすがに疲れたんだろう。香奈姉ちゃんはスースーと寝息を立てている。

「う…ん……。楓……」

さすがに裸で寝るのは、ちょっとどうかと思うんだけど……。
恥ずかしくないのかな?
兄の前では、絶対にそんな姿で寝ないよね。
それで、僕は何をしているかって?
僕は、床に敷いた布団の中に入って、香奈姉ちゃんとのことを考えていたんだけど……。
僕の部屋に戻ってきた時に香奈姉ちゃんとやったエッチなことを思い出し、よく眠れずにいた。
この手で弄ったんだよな。香奈姉ちゃんの大事な箇所に……。
今は、香奈姉ちゃんのことを考えただけでドキドキする。
いくら文化祭の終わりにするカップルの恒例行事だからって、いきなりエッチなことを要求してくるのはどうかと思うな。
これじゃ、下手に他の女の子に話しかけることもできないじゃないか。
まぁ、奈緒さんや美沙さん、理恵さんくらいしか話す相手はいないからいいんだけど。
しばらく眠れずにいると、香奈姉ちゃんが寝ているベッドで動きがあった。
香奈姉ちゃんが突然ベッドから起き上がり、全裸のまま僕の部屋を後にしたのだ。

「え……。香奈姉ちゃん ︎」

僕は、慌てて布団から起き上がり、近くにあった香奈姉ちゃんの寝間着を持って、その後を追いかけていく。
たぶんトイレだろうと思うんだけど、まさか全裸のまま行くとは思わなかったのだ。
万が一、兄や母に見られたら最悪だ。

「香奈姉ちゃん!」

僕は、階段を降りている最中の香奈姉ちゃんに声をかけた。

「ん……。楓? …どうしたの?」

香奈姉ちゃんは、僕に声をかけられて目が覚めたのか、僕の顔を見て思案げな表情になる。

「『どうしたの?』じゃないよ。僕の部屋を出る時くらい、寝間着を着てよ」
「ああ、そっか。…すっかり忘れていたよ」

香奈姉ちゃんは、そう言って苦笑いをした。
全裸で、しかも胸や大事な箇所も隠さずにそう言えるってのは、逆にすごいことだと思うけどな。
なんだか香奈姉ちゃんの裸を見ていると、またさっきのアレをしたくてムラムラしてきた。そこは、我慢かな。
とりあえず、今は注意はしておかないと。

「裸で寝るのは構わないけど、ここは香奈姉ちゃんの家じゃないからね。頼むから、その辺だけはわかってほしい」
「うん。…なんだかごめんね」
「わかってくれたんなら、それでいいんだ」

僕は、微笑を浮かべてそう言った。
香奈姉ちゃんは、僕が持っていた香奈姉ちゃんの寝間着を受け取り、その場で着用する。

「下着がないから、ちょっと違和感あるけど……。仕方ないよね」

香奈姉ちゃんは、微妙な表情を浮かべてそう言う。
そんなこと言われてもなぁ……。
下着を忘れてしまったのは、僕が急いでいたからだ。
その辺だけは勘弁してほしい。

「うん。とりあえず、それで大丈夫だと思うよ」
「ありがとう、楓。それじゃ、お手洗いに行ってくるね」
「うん、いってらっしゃい」

僕は、お手洗いに向かっていく香奈姉ちゃんをそこで見送った。

部屋に戻ってくると香奈姉ちゃんは、僕の目の前で寝間着を脱ぎ出す。

「やっぱり、裸じゃないと眠れないの?」
「うん。寝間着を着て寝ている時は、大抵よく眠れていない状態なんだよね」
「そっか」

僕は、そう言って相槌をうつ。
あまりまじまじと見つめているとスケベな人に見られてしまうので、僕はすぐに香奈姉ちゃんから視線を逸らす。
すると香奈姉ちゃんが裸で迫ってくる。

「どうしたの、楓? 私の裸を見るのは、そんなに嫌なのかな?」
「いや……。そんなことはない…けど……」
「だったら、もっと堂々とした態度で私の裸を見ないと」
「どうして香奈姉ちゃんの裸を見なきゃいけないの?」
「楓が、あまりにもそういうことに無頓着だからだよ。それに──」
「それに?」

僕が首を傾げると、香奈姉ちゃんは頬を赤く染める。

「またエッチなことをしたいと思ったんでしょ?」
「っ…… ︎」

この言葉には、僕まで顔が真っ赤になった。

「ほら。その顔は図星だね」
「いや、でも……。さっきやったばっかりだし……」
「さっきは、全然足りなかったんだよね。私の身体は、楓の手じゃなくて、身体を要求しているんだよ」

香奈姉ちゃんは、そう言って薄いゴムを僕に見せてくる。

「え……。これって、まさか……」

僕は、それを見て呆然となった。
まさかエッチって、それをやるのか ︎
まだ高校生だよ。僕たち──。

「楓は、私とやりたくないのかな?」
「いや……。それをやったら、取り返しがつかなくなってしまうような……」
「大丈夫だよ。私は、楓以外の人とエッチなことをするつもりはないから」

そう言いながら、香奈姉ちゃんは僕の寝間着のズボンを下げ始める。
無理無理。
これ以上は、無理。
僕は、咄嗟に目を閉じる。
すると香奈姉ちゃんの動きが止まった。

「楓。ちゃんと目を開けてよ」
「え?」

僕は、恐る恐る目を開ける。
香奈姉ちゃんは、僕の顔を見ると微笑を浮かべ、薄いゴムを僕に手渡し、言った。

「やっぱり、エッチをするタイミングは、楓に任せようかな」
「ええ! 僕に ︎ …どうして?」
「楓なら、なんとなく空気を読んでくれそうな気がしてね。──それに、ひょっとしたら、私とのエッチは楓がリードしたいのかなって思ってね」
「そんなことは……。ていうか、まだそれをする関係にはなっていないような気がするんだけど……」

それ以前に、まだ成人してないし。

「そうかな~。恋人同士なら当たり前なことだと思うんだけどなぁ」

香奈姉ちゃんは、強請るような仕草でそう言った。
僕が気難しく考えすぎなのかな。

「女子校の女の子って、みんなそうなの?」
「うん。だいたいの彼氏持ちの女の子は、そんな感じだよ」
「…なるほど」

ということは、香奈姉ちゃんの行動は何もおかしくはないのか。

「そういうことだから、今回は楓にすべてを任せるよ」

香奈姉ちゃんは、そう言って僕が寝ている布団の中に入ってくる。
そんなことされても、エッチなことはしないつもりだし。

「あの……。えっと……」
「今日は特別な夜なんだからね。楓も遠慮しなくていいんだよ」

エッチはしないって決めてるのに……。
裸でそんな風に来られたら、やらなきゃいけないじゃないか。
でも敷布団の方でやるのは、どうにも気分が盛り上がらないと思う。

「エッチをするなら、ベッドの上はどうかな?」
「楓がそうしたいのなら、私は別に構わないよ」

香奈姉ちゃんは布団から出て、先にベッドの上に移動する。
そして、ベッドの上に横になり、両手を広げて僕を誘ってきた。

「──ほら、早く来て」

これは寝間着を着ていても着ていなくても、乗らない男の人はいないと思う。
かくいう僕も、香奈姉ちゃんの誘いに乗っていたのだから。

「うん。行くよ」

僕は、寝間着を着たまま香奈姉ちゃんの上に被さった。
香奈姉ちゃんは不満を漏らすことなく、微笑を浮かべ僕を抱きしめてくる。
さすがに、不純異性交友はまだ早いと思うけど。
香奈姉ちゃんのおっぱいを触ることくらいは、いいよね。
よく見たら、大きいし。
そう思い香奈姉ちゃんの胸に手を触れると、香奈姉ちゃんは、微笑を浮かべたまま言った。

「やっぱり、男の子だね。楓は──」
「え……。それって、どういう──」
「私の大事な箇所じゃなくて、おっぱいに手を触れてくるなんて……。私に母性でも感じちゃってるのかな?」
「そんなことは……」
「そんなことはない…と言いたいのかな。まぁ、それでもいいよ。どちらにしても、楓は私の身体に夢中になってくれているのは確かだからね」

香奈姉ちゃんは、そう言って隠していた胸の部分をオープンにする。
どこまで見せるつもりなんだ。香奈姉ちゃんは──
そう思って香奈姉ちゃんの顔を見ていると、香奈姉ちゃんは、さらに言った。

「今、どこまで見せるつもりなのかって、思ったでしょ?」
「え?」

どうして、僕の心の声までわかるんだろう。
ひょっとして、読心術でもあるんじゃないか。

「そんな顔したって無駄だよ。楓の考えていることくらい、お見通しなんだから」
「香奈姉ちゃん……」
「さぁ、楓。触るんなら、ちゃんと触りなさい。…揉みしだいたりしてもいいから」

この時の香奈姉ちゃんは、あまりにも堂々としていて、僕の方が萎縮してしまうくらいだった。
ここまで言われたら、触らないっていうのが逆に失礼だ。

「…では、いきます」
「うん。どうぞ……」

香奈姉ちゃんは、そう言って目を閉じる。
僕は、香奈姉ちゃんの胸を弄るように触った。

「あ……」

すると香奈姉ちゃんは紅潮し、身体がビクンとなる。

「大丈夫? ごめん、痛かった?」

僕は、咄嗟に手を離す。

「ん……。大丈夫だよ。ちょっと箇所を触られて敏感になっただけ……」
「それって、ここの事?」

そう言って、僕は香奈姉ちゃんの胸の先端部分を指で摘んだ。

「あっ ︎」

香奈姉ちゃんは、艶っぽい声をあげ、再び身体がビクンとなる。
悪戯っぽく触ったから、すこし強めだったかな?

「あ……。ごめん」
「だから大丈夫だって、言ってるでしょ。楓が心配するようなことは何もないよ」
「ホントに?」

そう言って、僕はさらに胸を揉みしだく。
香奈姉ちゃんの胸は、少し大きい。
そんな大きめな胸を揉むのは、クセになりそうだ。
フニュフニュとした柔らかい感触が、僕の手に反発して返ってくる。

「ん……」

それに対して香奈姉ちゃんは、一切抵抗することなく、ただ僕を見つめていた。
まるで、僕にそうされるのを待ちわびたかのように。
僕は、香奈姉ちゃんの胸を堪能した後、香奈姉ちゃんに聞いていた。

「香奈姉ちゃん」
「どうしたの、楓?」
「香奈姉ちゃんはさ。いいの?」
「何が?」
「僕に胸や大事な箇所を弄られて平気なの?」
「ん~。『平気なのか?』って聞かれたら、平気じゃないかもね」

香奈姉ちゃんは、そう答える。
平気じゃないのなら、どうして僕の前で裸になるんだ?

「それなら、どうして?」
「大好きな人に振り向いてほしいから…かな」
「大好きな人?」
「うん、大好きな人。普通に考えて、男の子の前で裸になるのって、すごく恥ずかしいことだからね。普通に文化祭の後にも、やらないと思うし……」

香奈姉ちゃんは、恥ずかしそうにそう言った。
今さらな感が否めないんだけど。
『大好きな人』の前だからか。兄の前でも絶対にしない、全裸の格好でいるのは。

「そっか。香奈姉ちゃんにとって、僕は『大好きな人』になるのか」
「そうだよ。私にとって、楓は私のすべてなんだよ。前に何度も言ったでしょ。『楓は、私以外の女の子を好きになったらダメなんだよ』って──」
「うん。たしかにそう言ったね」
「その言葉は、私なりの精一杯の告白のつもりだったんだけどな」
「そうなんだ。…全然気づかなかった」

僕はてっきり、姉的存在としてのアピールかと思ったんだけど、香奈姉ちゃんからしたら違ったみたいだ。
香奈姉ちゃんは、僕にキスをしてきて

「だったら、これからはすぐに気付いてよ。…じゃなきゃ、承知しないんだからね」

そう言った。
また触りたくなった僕は、香奈姉ちゃんの身体に手を触れて言葉を返す。

「うん。わかった」

香奈姉ちゃんの身体は全体的に柔らかくて、また触りたいという衝動に駆られるな。
と、香奈姉ちゃんの身体を堪能していると、香奈姉ちゃんは無理な提案をしてくる。

「──ということだから、今度は、楓が裸になって!」
「ええ ︎ それはちょっと無理が……」
「無理じゃないよ。私だけ裸っていうのも、おかしいでしょ」

まぁ、たしかに香奈姉ちゃんだけ裸っていうのは、おかしな話だけど……。
だからって、僕まで裸になるのはどうかと思う。

「お互いに裸になって、何するの?」
「そうだなぁ。そのままエッチをするっていうのもいいんだけど、それだとなんだかつまらないんだよね」

香奈姉ちゃんはそう言って、神妙な表情になる。
全裸でそんな顔されてもさ。
香奈姉ちゃんは、何を考えているんだろうか。
僕には、よくわからない。

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