オーストラリア!自由気ままにぐるっとバイク旅

ノベルバユーザー526355

第34話:安息日

11月22日 晴 362キロ
→crocodile farm→katherine gorge(CP)
ダーウィンでしばし休息。ちょっとした都市になると、必ずたいていは博物館・美術館それに戦争記念碑があるのもので、僕は町をぶらつくとき必ずそれらに立ち寄るようにしている。オーストラリアの観光と言えば、ビーチ・自然の景観・テーマパーク(アボリジニ以外に歴史の浅い国ゆえに遺跡巡りというのは少ない)となりがちだが、決して観光地として取り上げられることの少ない「おらが村」の博物館などに足を運ぶと、意外に町の観光地を歩いているだけでは分からない掘りだしモノにぶつかる事が多い。一見退屈そうだが、そこには大なり小なり町自慢が揃っているわけだから、元から期待が少ない分感動も大きかったりする。それに、そういったところには訪れる人もまばらなので、ただなんとはなしに静粛な空間に身を置き、展示物を眺めてブラブラしているだけでも、不思議なことに旅で疲れた体が癒され、また旅を続けようという活力がどこからともなくみなぎってきたりするものだ。そう言った意味で博物館・美術館は、行く宛てのない旅をする今の僕にとっては、のんびりできる『我が家』的存在となっていた。また、それらを見物した後は、面白いことに、見物前とは町の様子も違って見えるのだ。
ミュージアム・アートギャラリーを出て、芝生の手入れの行き届いた人気のない公園の木陰で少し寝た。どこでも寝れるのが僕の特技だ。いつの間にやら木陰にも陽が差し、汗がにじみ目を覚ます。空いた腹が鳴いたので、町の港に出かけた。これも旅のコツのひとつとして身にことだが、腹が空いたら、市場・港の屋台に行けば、レストランに入るよりも、その土地々々のうまいものが安く食べられる。ダーウィンの港では、オーストラリアでは幻の魚といわれる地元の近海魚バラマンディを食す。大型の魚で、幻の珍味というだけあって形こそグロテスクであったが、そのイメージとは逆に味は案外淡白、身も締まっていてなかなかイケた。フライにしたものを食べたのだが、お頭付きの刺身にしてワサビ醤油で食べると、グルメぶる日本人にはウケるかもしれない。外国を旅していると思うのだが、日本人ほどゲテモノ好きが多い人種はいない。よくよく考えると、ごく普通にウニやナマコを生で食べちゃうのだから我々は。
メシ食って腹が満たされると、日頃のイヤなこと・辛いことを忘れ、ヘコみかけた心も幸せに満たされるものだ。特に最近はそう感じる。だから、不安があるときなどは、とりあえず食べることにしている。そうすると、気持ちに余裕ができ、食後だと物事が楽観的に考えられたりする。さあ、バラマンディ食って腹もいっぱいになって心身とも満たされたことだから、さらに太陽を追っかけて、西に向かおうか。真深のオーストラリア、全く知らない西部へと気持ちがかき立てられ絶頂に達していた。今日も絶好調 !

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