オーストラリア!自由気ままにぐるっとバイク旅

ノベルバユーザー526355

第27話:インディ・ジョーンズ

11月18日 晴 588キロ
→mataranka→katherine(YH)
その日は、次には駒は進めず、疲れもあり、キャサリンのユースに投宿した。ワニがいるような河で泳いだ後だ。汚いのか綺麗なのかはっきりしない。だからシャワーを浴びたかった。バイクの荷を解いていると、地元の若者たちが寄って来た。薄汚いどこから来たともしれない僕に興味を引かれたらしい。すぐに意気投合、『今から近くの小川に遊びに行くから、お前もいっしょにどうだ。びっくりするぞ』と誘われる。悪いヤツらではなさそうだ。断る理由もない。
草むらが生い茂る細い小道を分け入った。そこは、ガイドブックになぞ決して載っていない超穴場スポット、地元の人さえ知らないかもしれない。鬱蒼としたジャングルチックな森も中を流れる小さな小川。気泡を含みそれでも透き通った水がたんたんと湛え、木洩れ陽が夕方の角度で乱反射していた。ふとトムソーヤのイメージが浮かんできた。でも、ただの綺麗な川だけではなかった。地元のヤツらに続き、枝から垂れるツタにつかまって、川にダイブ。びっくりして、一瞬、溺れそうになった。なんと温泉が川底から湧き出ていた。温泉というよりも、流れる温水プールというところか。それからみんなでターザンごっこ。ひたすら手放しに楽しい。そう言えば、幼少時代の『遊び』の感覚も、こんなだったかな。
その夜、久々に古い友達のことを思い出した。今夜は屋根もあり、明かりもある。今日の興奮冷めやらぬ思いを絵葉書にしたためた。
『タータラッター・タラター♪。ここでは毎日がインディ・ジョーンズ(昔のハリウッド映画)です。』と。

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