オーストラリア!自由気ままにぐるっとバイク旅
第24話:人ほど怖いものはない。
11月17日 晴 674キロ
→devilsmarbles →threeways→renner springs(camping site)
野宿するときの注意。何かあったとき、すぐ助けを求めることができるように、道路からわかる所がよい。ハズレ。正解は、何もないように道路から目立たぬところがよい。身を持ってそれを体験した一夜となる。
ひとりの野宿では、日が落ちてからは火を使うようなことは決してしない。だが、この日は二人とあって、多少薪の火が残っていてもいいかという軽い気持ちでいたのがそもそもの間違いだった。事件は、日がどっぷりと暮れ、酒もなくなったので、いつもより少し遅くテントに潜り込んでから起こった。それでもまだ子供の寝るような時間なのだが。単独での野宿では、夜明けとともに起き、太陽が沈むと一日が終わる生活が定番となる。その夜も相変わらず暑苦しく、なかなか寝つけなくいた。すると、この野宿地に、来るはずのない車が一台猛烈なスピードでやってくる音がするではないか。しまった!危機一髪。僕らが野営するテントは、普通に幹線道を走っている分にはわからないほど離れているはずなのに。その車はテントのまん前に乗りつけると、そのヘッドライトをピカピカ点滅し、空ぶかしでエンジンをうならせた。まるで戦闘前の威嚇だ。応戦すべきか、まさか。金玉が縮み上がり、テントの外に顔を出すなんて到底できなかった。しばらくその状態が続いた後、車から人が降りてきて、大声でバンバンと鉄砲の撃ち真似をする声が聞こえてきた。男二人、わけのわからないことをわめきちらす。生きた心地がしないとはこのことだ。というか、マジ殺される思った。となりの彼もテントから外に出れないでいる様子だった。テントの入り口まで数歩の距離まで迫っている。ただ殺されるのを待つよりも、交戦した方がいいのか。殺られる前に殺ってしまえ!。それは映画の中での話し、実際は最後の最後まで相手とは面を合わせたくはなかった。唯一の武器、手持ちの折りたたみナイフの歯を出して、息を潜め、身構える。その悪魔の時間が過ぎ去るのにどれくらいかかっただろうか。幸いにも目を合わすような事態になることはなく、その場から男たちは離れていった。それでも安心できない。直接襲うのは止めて、車で激突し、テントもろとも踏み潰されたりはしないか。時間よ、早く速く過ぎろ!。
こうしてペンを執っているからには、幸い殺されもせず、何も被害はなかった。アイツらはただの酔っ払いで、僕たちをただからかっただけなのか。それとも、殺さないまでもケンカでも売りにきたのか。イヤ、そうなれば殺されていただろう。でも、命拾いしたものだ。車が立ち去ると、心臓が踊り狂い、ナイフをもっていた手の平から汗が溢れ出た。酔いも完全に吹っ飛んでいる。
彼らは、僕たちの薪の火を道から発見していたのだろう。嗚呼、人間とはほんっと恐いものだ。野生動物なんかより、よっぽどタチが悪い。旅で一番注意しなければならないこと、それは人間なのかもしれない。
テントから外に這い出した。夜空を仰ぐと、いつもと変わらない天の川が横たわっている。夜、天を見上げると南十字星を探すのがクセとなっていた。星が降ってくるわけでもないのに、口を開けるのもクセだった。生きている幸せを感ぜずにはいられない。
→devilsmarbles →threeways→renner springs(camping site)
野宿するときの注意。何かあったとき、すぐ助けを求めることができるように、道路からわかる所がよい。ハズレ。正解は、何もないように道路から目立たぬところがよい。身を持ってそれを体験した一夜となる。
ひとりの野宿では、日が落ちてからは火を使うようなことは決してしない。だが、この日は二人とあって、多少薪の火が残っていてもいいかという軽い気持ちでいたのがそもそもの間違いだった。事件は、日がどっぷりと暮れ、酒もなくなったので、いつもより少し遅くテントに潜り込んでから起こった。それでもまだ子供の寝るような時間なのだが。単独での野宿では、夜明けとともに起き、太陽が沈むと一日が終わる生活が定番となる。その夜も相変わらず暑苦しく、なかなか寝つけなくいた。すると、この野宿地に、来るはずのない車が一台猛烈なスピードでやってくる音がするではないか。しまった!危機一髪。僕らが野営するテントは、普通に幹線道を走っている分にはわからないほど離れているはずなのに。その車はテントのまん前に乗りつけると、そのヘッドライトをピカピカ点滅し、空ぶかしでエンジンをうならせた。まるで戦闘前の威嚇だ。応戦すべきか、まさか。金玉が縮み上がり、テントの外に顔を出すなんて到底できなかった。しばらくその状態が続いた後、車から人が降りてきて、大声でバンバンと鉄砲の撃ち真似をする声が聞こえてきた。男二人、わけのわからないことをわめきちらす。生きた心地がしないとはこのことだ。というか、マジ殺される思った。となりの彼もテントから外に出れないでいる様子だった。テントの入り口まで数歩の距離まで迫っている。ただ殺されるのを待つよりも、交戦した方がいいのか。殺られる前に殺ってしまえ!。それは映画の中での話し、実際は最後の最後まで相手とは面を合わせたくはなかった。唯一の武器、手持ちの折りたたみナイフの歯を出して、息を潜め、身構える。その悪魔の時間が過ぎ去るのにどれくらいかかっただろうか。幸いにも目を合わすような事態になることはなく、その場から男たちは離れていった。それでも安心できない。直接襲うのは止めて、車で激突し、テントもろとも踏み潰されたりはしないか。時間よ、早く速く過ぎろ!。
こうしてペンを執っているからには、幸い殺されもせず、何も被害はなかった。アイツらはただの酔っ払いで、僕たちをただからかっただけなのか。それとも、殺さないまでもケンカでも売りにきたのか。イヤ、そうなれば殺されていただろう。でも、命拾いしたものだ。車が立ち去ると、心臓が踊り狂い、ナイフをもっていた手の平から汗が溢れ出た。酔いも完全に吹っ飛んでいる。
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