オーストラリア!自由気ままにぐるっとバイク旅
第19話:近くて遠いパワーストーンの長い一日
11月15日 晴 570キロ
→Yulara(CP)
アリススプリングスからエアーズロックまで、約500キロ。500キロなんて、オーストラリアの一周しようと計画している僕にとっては、角の店にタバコを買いに行く感覚に近かったが、このときばかりはさすがに遠かった。というよりもエアーズロックが待ち遠しかった。なんたって、周囲が8キロメーター・地面からの高さが350メーターの世界最大級の一枚岩だ。もうここまでくると、丘と言った方が近いかもしれない。想像は膨らむばかり。その頂上から見る360度の原野、いつも見ている地平線よりさらに遠くから登るご来光。こりゃ、行って登るしかないだろう、これは。
バイクでの道中、いつもは雲の行方を見ていることが多いのだが、このときばかりは視線は地平線を辿っていた。何も遮るものないはるか遠くの平原に突起物らしいものを見つけると、『おっ・ついに・あれか・ほお…』などとひとり口走ってはいたが、近づくに連れそれは唯の岩山であったりして、ガッカリさせられた。その裏切りを繰り返すこと数回、『いいかげんにせえよ』なんて誰に向けるでもない語気を上げていると、自ずと独り盛り上がりを見せる。
ついに、何もない地平線の彼方に存在威圧感を感じた。道は確かにその方向を目指している。見えない確信。ナチュラルパワーストーン、『エアーズロック』に間違いない。その外形をはっきりと目視できるようになりはじめてからも、なかなか近づいてこない。もどかしさ思いはしばし続いた。周りは何もない原野、だから遠くからでは比較するものがないので、その大きさがどれほどのものなのか、なかなか掴みにくい。近くまで行って自分と比べるしかない、自分で体感するしかない。
もう夕暮れ時、夕陽を浴びた一枚岩はどこまでも赤く、周りの世界までも深紅に染め上げていた。エアーズロックに続く一本道はまっすぐに僕の心と身体を赤い光源に導いている。背中に夕陽を背負い、バイクを走らせる。平原を走る夕陽を僕とバイクは受け止め、そこから代わりに影が、まるでエアーズロックの磁力にひっ張られるかように、行く手に長く延びていた。到着を待ちきれない僕の分身(影)が僕の身体を抜け出て一歩先を突き進んでいるかのように見える。バックミラーを覗きこむと、そのときの夕陽は昼間の太陽のようにまぶしく感じた。ハリウッドさながら、映画のワンシーンでも自分が演じている錯覚に陥ってしまう。今この瞬間の僕は、トムクルーズ並にカッコいいかも(ヘルメットで顔が見えないので)。
おおお、すげぇ。広大なオーストラリア大陸に正にふさわしい悠然とした風格を持つエアーズロックが、その偉大さを誇らしげにそびえたっていた。その麓まではまだ数キロあるはずだ。そこでバイクを止めて、夕陽を浴びるその雄姿に見入ってしまう。それは僕だけではなかった。周りには同じように、エアーズロックに魅せられた旅行者が立ち尽くしていた。神聖なる光りと沈黙が僕の心を満たしてくれる。この先に進むのは明日にしよう。今の心地を一晩抱いてみたかった。
→Yulara(CP)
アリススプリングスからエアーズロックまで、約500キロ。500キロなんて、オーストラリアの一周しようと計画している僕にとっては、角の店にタバコを買いに行く感覚に近かったが、このときばかりはさすがに遠かった。というよりもエアーズロックが待ち遠しかった。なんたって、周囲が8キロメーター・地面からの高さが350メーターの世界最大級の一枚岩だ。もうここまでくると、丘と言った方が近いかもしれない。想像は膨らむばかり。その頂上から見る360度の原野、いつも見ている地平線よりさらに遠くから登るご来光。こりゃ、行って登るしかないだろう、これは。
バイクでの道中、いつもは雲の行方を見ていることが多いのだが、このときばかりは視線は地平線を辿っていた。何も遮るものないはるか遠くの平原に突起物らしいものを見つけると、『おっ・ついに・あれか・ほお…』などとひとり口走ってはいたが、近づくに連れそれは唯の岩山であったりして、ガッカリさせられた。その裏切りを繰り返すこと数回、『いいかげんにせえよ』なんて誰に向けるでもない語気を上げていると、自ずと独り盛り上がりを見せる。
ついに、何もない地平線の彼方に存在威圧感を感じた。道は確かにその方向を目指している。見えない確信。ナチュラルパワーストーン、『エアーズロック』に間違いない。その外形をはっきりと目視できるようになりはじめてからも、なかなか近づいてこない。もどかしさ思いはしばし続いた。周りは何もない原野、だから遠くからでは比較するものがないので、その大きさがどれほどのものなのか、なかなか掴みにくい。近くまで行って自分と比べるしかない、自分で体感するしかない。
もう夕暮れ時、夕陽を浴びた一枚岩はどこまでも赤く、周りの世界までも深紅に染め上げていた。エアーズロックに続く一本道はまっすぐに僕の心と身体を赤い光源に導いている。背中に夕陽を背負い、バイクを走らせる。平原を走る夕陽を僕とバイクは受け止め、そこから代わりに影が、まるでエアーズロックの磁力にひっ張られるかように、行く手に長く延びていた。到着を待ちきれない僕の分身(影)が僕の身体を抜け出て一歩先を突き進んでいるかのように見える。バックミラーを覗きこむと、そのときの夕陽は昼間の太陽のようにまぶしく感じた。ハリウッドさながら、映画のワンシーンでも自分が演じている錯覚に陥ってしまう。今この瞬間の僕は、トムクルーズ並にカッコいいかも(ヘルメットで顔が見えないので)。
おおお、すげぇ。広大なオーストラリア大陸に正にふさわしい悠然とした風格を持つエアーズロックが、その偉大さを誇らしげにそびえたっていた。その麓まではまだ数キロあるはずだ。そこでバイクを止めて、夕陽を浴びるその雄姿に見入ってしまう。それは僕だけではなかった。周りには同じように、エアーズロックに魅せられた旅行者が立ち尽くしていた。神聖なる光りと沈黙が僕の心を満たしてくれる。この先に進むのは明日にしよう。今の心地を一晩抱いてみたかった。
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