高校生達の非日常〜アーティファクトが異世界からきたそうです〜

kurokuro

Episode.0




 「…ん…もう朝か。 さっさと起きるか…」

 今日は4月29日。高校生になって2度目のゴールデンウィーク。 

 高校生になるまでは実家で暮らしていたが、妹が自分の部屋が欲しいと言い出したので家を追い出されてしまった。

 「はぁ、本当に俺の親って妹にだけは甘いよな…」

 独り言を言いつつ、顔を洗い、目を覚ます。

 「そういえば今日は、家に来いって言われてたな。 ご飯にでも連れて行ってくれんのかな」

 来いと言われた時間までは、まだかなりの時間がある。

 「昼飯でも食いに行くか」

 近くに安くて美味い店があってよかった。 あの店があるおかげで俺はいつでも美味しいご飯を食べることができる。 

 家から10分ぐらい歩くと、【Fact】という店がある。 色々な料理があるので、いつも食べたい物を悩んでしまう。

 「いらっしゃいませ~!」

 店に入り席まで案内され、メニューを選び店員を呼ぶと、見覚えのある顔のテンインが来た。

 「ご注文はなんでしょうか?」
 「ハンバーグセットをお願いします」
 「かしこまりました」

 あの子はここでバイトをしているクラスメイトの三井 沙弥香(みつい さやか)。 とても可愛く真面目で礼儀正しいので、生徒からも教師からも好かれている。

 頼んだ料理が来るまでスマホをいじっていると、気になる記事があった。

(突如人が空を飛んだ? なんだよこれ)

 動画もあったので見ようとしたが、料理が来てしまった。

(帰ってから見るか)

 そう思い、頼んだハンバーグセットを食べ始めた。
 
 


 「ありがとうございました~!」

 会計をして店を出た。 これから何をしようか考えたが、特に何も思いつかなかったので自分の家に帰ることにした。

 家に着き、さっそく人が空を飛んだという記事を見ようと思ったが消されてしまっていた。

 「なんだよ、ちょっと気になってたのに…」

 そう悪態をついても無くなってしまったものはしょうがない。

 「metubeの動画でも見て時間潰すか」

 動画を見て時間をつぶしていると、妹から電話がかかってきた。

 『お兄ちゃん今どこいんの?』
 『まだ家』
 『りょーかい! 今日は焼肉食べに行くみたいだからお腹空かしておきな〜』
 『わかったよ。 用件はそれだけか?』
 『もうちょっと可愛い妹様との電話を楽しんだらどう?』
 『可愛い妹がほしかったな〜…』
 『今日会ったら覚えておけよバカにぃに。 んじゃ、早く家まで来てね〜』
 『はいよ〜』

 妹の名前は西園 真夏(にしぞの まな)。元気だけが取り柄な奴だ。

 「さてと、そろそろ行くか!」

 そして、家を出て実家に向かった。

 


 実家の最寄りの駅まで着いたので、妹にレインを送ったが返って来ない。

 いつも無駄に既読が速いくせにこういうときに限って気付いてないのか?

 まぁいいかと諦め、実家に向かって歩いていると、何故だかわからないがとてつもなく嫌な予感がした。

 (嫌な予感がする時って本当に自分にとって嫌なことが起きるよなぁ)

 そんなことを考えていると実家に着いたので鍵を空け、家の中にに入った。

 「ただいまー」

 返事が返ってこない。

 ん? 誰もいないのか? 

 もしかして先に行ったのか? そう思いながらリビングに入ると、知らない女がいた。

 「あはっ! だれきみ? もしかしてここの家の人? あははっ! ごめんね? 皆殺しちゃった☆」

 この女は誰だ?

 そう思った瞬間、女が目の前から消えた。

 「!?」
 「びっくりしちゃった?」

 気が付くと、女は俺の背後にいた。

 「ふふ、良い反応だけど、混乱しちゃってるせいでもったいないなぁ。 じゃあね」

 ドスッ

 嫌な音が背中からした。

 なんだ? 俺は何をされたんだ? そう思い背中に集中すると、激痛が全身を襲った。

 「あああああああああああああああ!!」
 「あぁ、いい悲鳴だね? もっと聞きたくなっちゃう♡」

 ドスッ

 背後にいたはずの女が、今度は目の前にいた。 そして俺の腹を包丁で刺していた。

 「ぐ、あ、あああああああああああ!!!!」
 「あはは! いいねいいね! 次はどこを切ろうかじゃな!?」

 俺は名前も顔も知らない女に刺され続けた。

 そして、薄れゆく意識の中で、家族を見つけた。

 母親、父親、妹の3人の生首が机の上に乗ってこちらを見ていた。 その顔は恐怖に怯えているような表情をしていた。

 (バカ野郎、なんでこんな目にあうんだよ…)

 俺の意識は、ここで暗闇の中へと落ちてしまった。



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