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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

16-1.幼馴染みなんだし、信用してほしい!

「冗談はさておき、マジメに推理しようじゃないか。オレが犯人じゃないことは、わかってるんだろ」


 依然――ダンジョンの中である。


 いったい、いつまで、こんな薄暗くて、ジメジメしていて、血なまぐさい場所にいなくてはならないのか。


 べつにモンスターを倒すでもないのに、こんなダンジョンに長居してる冒険者なんて、そうそういないだろう、と思う。


 まぁ、冒険者ってのは、トンチンカンなヤツが多いから、他にもいるかもしれんが。


 モンスターを倒すためでもなくせに、ダンジョンの中に居続けた時間の記録とかで、何か受賞できないかしら。不名誉でしかないな!


 いやいや。あわてて頭をふる。


 今は余計なことを考えている場合ではないのだ。


「でも、ここで起きてるのは私と、あんたの2人しかいないじゃない」


「マジでオレが犯人だと思ってるわけじゃないだろ」


「そっちこそ、どうなのよ」


「勇者が犯人だとは思ってねェよ」


 そして誰もいなくなるような状況にはならない。


 非常に残念なことに、勇者がどういう人間か、オレはよく知っている。こんなことをするヤツではない。


 勇者に殺意があるなら、もっと正々堂々とボコボコにしていくことだろう。


 そして逆もしかり、勇者もまたオレを信用してくれているのだ。
 幼馴染の腐れ縁というヤツである。


「じゃあ、あんたが犯人じゃない」


「え? マジで言ってんの?」


「なんで冗談を言う必要があるのよ」


 あれれー。
 幼馴染の腐れ縁は、どうしちゃったのかなー。


 オレと勇者は、「追放されし者と、追放した者」。やはり理解しあえぬ者同士だというのか。


 ならば良かろう。


 オレの灰色の脳細胞が覚醒するときである。容姿端麗、世界最強だけでなく、このオレが頭脳明晰であることも見せなければならないとは。


 あぁ……。ハーレム無双系の星のもとに生まれてきてしまった者の宿命である。


「オレにひとつ推理があるんだが」


「なによ」


「次々、冒険者が眠らされているわけだが、ひとりだけ奇妙な眠り方をしたヤツがいた」


「あんた?」
 と、勇者は首をかしげた。


「いや、オレは起きてるが」


「奇妙だって言うから」


 うん。
 オレは奇妙じゃないけどね。すっごく正常だけどね。


「いいか。よく考えてみろ。みんな眠らされたわけだが、眠らされた瞬間を目撃したことはあるか?」


「眠らされた瞬間って、睡魔スリープの魔法が使われた瞬間ってこと?」


「ああ」


「見てないわよ。見てたら、いまごろ犯人だってわかるでしょ」


「そうなんだよ。みんな誰も目撃していないときに、眠らされてるんだ」


「それがなに?」


「このなかに1人だけ、オレたちの見てる前で寝たヤツがいた。あたかも睡魔スリープの魔法にかけられたかのように、周りに見せてな」


 こういう場合、被害者のなかに犯人がまぎれ込んでいるパターンが多いのだ。手垢にまみれた手法である。


「誰よ」


「あいつだよ」


 オレが指さした先――クロコである。


 たった1人、オレたちの目の前で睡魔スリープにかけられたかのように見せて、眠りに落ちたヤツである。


「よくわかりましたね」
 と、クロコは目を閉ざしたまま、くすくすと笑ってそう言った。


 あ、あれ?
 もしかして、当たっちゃったんですかね。


「お前が、犯人だったのか」


「ええ。最後は、勇者とナナシさんで殺し合ってくれるかと思ったんですけどね」
 と、クロコは立ち上がった。


「なんで、こんなことを?」


「ボクは、『魔物教』のひとりなんですよ。今回の祭典で優れた冒険者たちを、一掃してやろうと目論んだんですがね」


『魔物教』……
 どこかで聞いた名だなぁ。あ、思い出した。そう言えば、ブルベのパンツを盗んだ、あの騒動に関わっていたとか聞いている。


 たしかモンスターの保護のため、冒険者を敵視してるとかいう、変な宗教団体だ。


「祭典を中止にしようとしてた連中だな」


「ええ。ブルベリア王女を脅迫して、祭典を注意に追い込むことは失敗しました。だから、冒険者たちをここで抹殺する計画に移行したんですよ」


「強化術師じゃなかったのかよ」


「多少は強化術も使えますが、それは偽りです。こうなれば仕方ありませんね。ボクのチカラをお見せしますよ」


 クロコはそう言うと、魔法をとなえた。するとクロコの全身が黒々とした鎧に覆われたのだった。


 カッコウ良い。
 二足歩行のカブトムシみたいだ。


「その材質……」


 階段をふさいでいる箱と、おそらくは同じ材質である。


「そう。これがボクの極めた魔法のチカラですよ。暗黒鉱石を生み出し、自在にそのチカラを変化させることが出来る。階段をふさいだのもボクですよ」


 ずいぶんといい能力である。
 ってか――。


「なんで《勇者パーティ》に新規参入するヤツは、いつも悪役なんだよ。お前、人を見る目なさすぎんだろッ」


 ゴルドに続いて、これで2回目である。


「まだ2回目じゃない! 毎回毎回、変なヤツを入れてるみたいに、言わないでちょーだい」


「いや。2回も変なヤツ入れてたら、もう充分、人を見る目がないかと思うがッ」


「私に言われても仕方ないでしょーがッ。そんなこと言ったら、《勇者パーティ》に空き枠を作った、あんたが悪いんでしょーがッ」


 無視しないでもらえますかね――と、クロコがつづける。


「おふたりは、ずいぶんと仲が良いみたいですが、ここで死んでもらうことにしますよ」


「はぁ? 誰が仲が良いって?」
 と、オレ。


「勘違いもはなはだしいわ」
 と、勇者。


 声が重なった。


「『魔物教』の教義にかけて、冒険者である、あなたがたには死んでいただきますよ」


 前傾姿勢となったクロコが、疾駆してきた。


「ナナシィ」
「承知」


 勇者は大きく踏み込んで、クロコと衝突するように疾駆した。オレは後ろに回る。


 獰猛なる精神。破壊の筋力。金剛鎧。聖女の祝福。神々の抱擁。駿馬の奇跡。駿馬の馬蹄。死神の接吻、蛇蝎の匍匐……。


 強化術を付与していく。


 七色の輝きが薄く膜を張るようにして勇者に付与された。


 勇者とクロコが衝突する。一方でクロコは、その暗黒鉱石とやらを剣の形に変化させていた。


 勇者のロングソードと、クロコの暗黒剣がツバぜりあった。


「天ッ!」
 と、勇者が裂帛の声を発する。


 これは勇者とオレの相言葉みたいなもんだ。勇者の合図に合わせて、強化術をさらに付与する。


「天使の飛翔」


 勇者の背中から白い翼が生えてくる。翼をはためかせて、クロコの頭上へと浮かび上がった。


「なにッ。まだこれほどの強化術を隠していたなんてッ」
 と、クロコがあからさまに狼狽していた。


「ふふふっ。強化術のみを極めし、このオレを侮ってもらっては困る。隠してたわけじゃないのさ」


 オレの強化術に耐えうるだけの強靭な肉体を持つ者なんて、そうそういないのだ。


 筋肉だけの話ではない。その精神力や、相性の問題もある。チョット強化術を付与しただけで、ふつうの人間は筋肉痛を起こすことになる。


 しかし、オレとの強化術に最高の相性を持った者が、ひとりだけいる。


 それが――。


「天空割りッ」
 勇者である。


 大上段からの一閃。

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