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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

12-2.王女さまでしたか。……王女さまァ?

「んしゃんしゃッ」
「バクバク」
「んぐんぐッ」


 屋敷の食堂。
 長机のうえに、白いテーブルクロスが敷かれている。
 そのうえにクッキーが並べられていた。 


 依頼主の女性が焼いてくれたのだ。


 それを片っ端から、マグロたちは貪るように食っていた。礼儀知らずを通り越して、もはや節操がない。
 同席しているオレまで同類だと思われてはかなわない。オレは2、3枚だけいただくことに留めておいた。


「みなさん、よく食べるのですね」


 さいわいなことにドンビキされるようなことはなく、女性はむしろ嬉しそうに笑っていた。


 笑うと頬がすこし赤くなるところも可憐だ。結婚しましょう、と切り出したい。しかしオレの備え盛った謙虚さが、それを邪魔してしまう。


「あ……えっと……その……」
 上手く言葉が出て来ない。


「どうかされましたか?」


「あ、いえ。しかし庭の手入れだけで、3万ポロムだなんて、ずいぶんと破格ですね。何か事情があるのなら、お聞きしますよ」


「もしかして、足りませんでしたか? 相場がどれほどなのか、わからないもので」


「いえ。充分すぎるぐらいです」


 少女の美しさに見とれて、つい率直な感想を述べてしまった。
 相場がわからないのならば、もう少し吊り上げれば良かった。
 こういう時に、持ち前の性格の好さが出てしまうのだ。まったくオレってヤツは。


「こうして見ているかぎり、あなたがたは悪い人ではなさそうですね」


「ええ。品行方正で、善良で有名なパーティですからね。まぁ、チョット取り乱してしまうところもあるみたいですが」


 うめぇぇぇッ、と3人は焼き菓子を食べ続けている。


 この3人には遠慮というものがないのだろうか。人間として、大切ななにかが欠落しているに違いない。すこしはオレを見習ってもらいたい。


「あなたがたは、どうして私の依頼を受けてくださったのですか?」


「あんた、そりゃ支払いが良い……ゲフッ」


 対面に座っているネニが余計なことを言おうとしたので、机の下で脛を蹴っておいてやった。


「そりゃあ、オレたち冒険者は、困っている人がいたら放っておけないんですよ。人の役に立ちたいと常日頃から思っているんです」


「まぁ、ご立派なのですね」


「いえいえ。たいしたことではありませんよ」


 耳を澄ませば、好感度の上がる音が聞こえてきそうだ。


「実は私、このナロン王国の第一王女をしております。ブルベリア・ナロンと申します」


「ああ。そうでしたか。王女さまですか……。って、王女さまァァッ」


 マグロたちも咳き込んでいた。


 なるほど。
 このあふれ出る気品は、王女がゆえに発せられるものだったか。マグロが見たことがあると言っていたのも納得だ。


「申し訳ありません。驚かせてしまいましたね」 と、ブルベリア王女さまは、イタズラっぽく肩をすくめていた。


「ど、どうして王女さまが、こんなところに? っていうか、どうして冒険者なんかに庭の手入れを頼んだんです?」


 謎だ。
 人手なら、有り余ってることだろう。


「実は……身内から命を狙われているのです」


 ブルベリア王女さまは暗澹とした表情で、そう切り出した。


 ブルベリア王女は、何者かから命を狙われている。ここ数日、気も休まらない生活を送っていた、ということだった。
 そこで人目をしのんで、こうして別宅で休養をとっているらしい。


 誰を信用すれば良いのかわからないので、完全なる部外者である冒険者を雇おうと決めた、のだそうだ。


「それで、庭イジリの依頼をさせていただきました。その様子を見て、信用できる人か、確かめようとかと思いまして。ホントウは庭の手入れではなくて、私の身辺警護を頼みたいのです」


「じゃあ、オレたちは信用に値する、ということでしょうか?」


「荒れくれているわけではないですし、なにより私の命を狙うような人たちでは、なさそうですから」


 さすが王女。
 ちゃんとした教育を受けた人には、ヤッパリ立派な人間が見抜けるわけだ。


「身辺警護ですか。ええ。お任せください。ただチョット場合によっては、追加の魔結晶をいただくことになるとは思いますが」


 王女の顔がパッと晴れた。


「わぁ。良い人たちで助かりました。魔結晶のことなら心配ありません。いくらでも出しますよ」

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