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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

8-2.人員補充したんですか。そーですか!

 なんだって、こんな大事なときに、お前はいつもいつもッ。


 憤懣やるかたないのだが、そんなことを口に出せば、「なにを怒ってるのよ?」と不審に思われかねない。ゆえ、オレは平静を装おうことにした。


「奇遇だな。いったい何の用だ? さてはオレにパーティに『戻って来て欲しい』と言いにきたのか?」


「はぁ? ンなわけないでしょーが。ってか、なんであんたが、こんなところにいるのよッ」
 と、勇者は1歩後ずさっていた。


「ノックしてきたのは、そっちだろうが。驚きたいのは、こっちのほうなんだが?」


「部屋には、ほかに誰かいるの?」


「いいや。ほかのヤツは買い出しに行ってる」


 眠っている女の子とふたりきりだった――なんてこの勇者に知られたら、「女の子を襲おうとしてたんでしょ」と、あらぬ疑いをかけられかねない。それはチョットばかりメンドウだ。


「じゃあ、部屋に入らせなさいよ」


「いや。話ぐらい廊下でいいだろ」


「なんか怪しい気配を感じるけど、まぁ良いわ。長話をするつもりはないし」


 廊下に出ることにした。ここは2階。木造の通路がつづいている。オレは部屋のトビラを後ろ手で閉めた。トビラに背を向けるようにして立った。


「で、オレになんの用事だ?」


 さっさと用件を伝えてもらいたい。迅速に戻れば、もう1度ネニのおっぱいに挑戦トライすることが出来るかもしれない。


「惨殺事件のことで、調査中なのよ」


「惨殺事件?」


 思いのほか物騒な言葉が飛び出してきたものだから、オレはチッとばかり驚かされた。


「知らないの?」
 と、反問された。


「知らなくて悪かったな」


「あんたはいっつも不用心なんだから。あのね。この都市スバレイではここ数日、人が襲われる惨殺事件が起きてるのよ」


「それは物騒だな」


「傷跡から見て、どうも人の仕業ではないらしいのよね。モンスターの仕業なんじゃないかって」


「モンスターが、ダンジョンから出るなんて珍しいこともあるもんだな」


 モンスターというのは、侵入者への対策のためにダンジョンが生み出すものだ。
 だから基本的には、モンスターはダンジョンから出て来ないし、外にいる人間を襲ったりはしない。
 出て来られたりしたら、もはや戦争である。


「まだ、ハッキリとはわからないのだけれどね。ギルドから調査依頼をされて、こうして事件のあった付近にいる人たちに、片っ端から話を聞いて回ってるのよ。ヒキコモリ調査ってヤツ?」


「聞きこみ調査な」


 そうよ、それそれ――と勇者はブロンドのモミアゲを耳にかけて見せた。


「そしたら、あんたが出て来てビックリしたの」


 無差別に聞きこんでいたのであって、べつにオレがいると知ってノックしたわけではないようだ。


「そうかい。……ってことは、このあたりで事件があったのか?」


「この辺りって言うか、そこよ、そこ」


 勇者は廊下を付き合あたりまで進んで、そこにあった窓から外を指差した。覗きこんだ。裏路地が見て取れる。近くっていうか、目の前である。


「げッ。こんな近くかよ」


 マグロたちは大丈夫だろうか。
 いまは人の通りも多しい、心配ないだろう。しかし、さっさと別の宿に移ったほうが良いかもしれない。厄介事に巻き込まれるのはゴメンだ。


 オレと勇者はふたりして窓に顔を寄せていたので、おのずと互いの距離が近くになっていた。


 目が合う。
 やわらかそうな桜色の唇が、すぐ近くにあって狼狽えてしまった。


「か、顔が近いわよ!」
 と、勇者は後ろに跳びずさっていた。


「それはこっちのセリフだ。窓の外を見ろって言ったのは、お前だろうが!」


「ンなこと言ってないわよ。そこで事件があった、って教えてあげただけじゃないの」


「教えられたら、覗くに決まってんだろうがッ」


「ウルサイわね。だいたいあんたは、なんでも意地を張りすぎなのよ」


「はぁ? 意地張りなのは、そっちだろうが」


「『パーティに戻らせてください』って、素直に私に頭を下げれば、すぐにパーティに戻してあげようと思ってたのに、まさかホントに出て行くなんて、バカじゃないの!」


「そっちこそ、戻って来て欲しいんなら、『戻って来てください』って頭を下げれば良いだろッ」


 勇者の顔が赤くなった。


「べ、べつに、戻って来て欲しいなんて、思っちゃいないわよッ。あんたみたいな役立たずが戻って来たところで、お荷物になるだけなんだから」


「あーっ、オレのことお荷物って言ったなッ。見てろよ。マジでオレは《炊き立て新米》を一流のパーティにするんだからな。勇者の称号も奪ってやるからな。後で『戻って来てください』って頭を下げても、戻ってやらねェからな」


「私のほうこそ、あとで『戻らせてください』って、頭を下げても許してあげないから!」


 グヌヌ。
 顔を突き合わせてのにらみ合いである。
 やはりコイツとは、馬が合わない。


 そうそう、もう君は必要ないんですよ――と、割り込む声があった。


 白銀の髪をした男が、オレと勇者のあいだに割り込んできた。髪をアシメに伸ばして、左半分の顔を隠していた。


「なんだ、てめェ」


「つい先日この都市で、勇者パーティに勧誘されて、新たなに参入させてもらうことになった強化術師ですよ」


「オレの後釜か。なんだ。結局、強化術師かよ」


 この都市で勧誘されたということは、入ったのはここ数日のあいだだろう。


 思えば、人員補充するのはトウゼンのことである。が、今まで考えたことがなかった。
 これでホントウにオレは、勇者パーティから用なしになったのだ。そう思うと、胸を刺されたような感覚を受けた。
 悲しくなるってことは、まだどこか戻るべき場所があると、そんなことを無意識に思っていたのかもしれない。


「あなたと一緒にしないでもらいたい。あなたの冒険者ランクは、Fでしょう」


「強化術師は評価されないからな」


「オレは、これですよ」
 と、銀髪男は腰にたずさえているプレートを見せつけてきた。アダマンタイトのプレート。Aランク冒険者の証である。
 ちなみにオレはそのプレートを持っていない。Fランクには支給されないという悲しい現実である。


「強化術師じゃなかったのかよ」


「強化術師ですよ。だが、前衛もできるんですよ。いわば、あなたの上位互換ですよ。ナナシ先輩」


「そうかい。そりゃ努力家なことだ。まぁ、勇者パーティとしてガンバってくれ。オレにはもう関係のねェ話だ」


「オレはゴルドです。いずれ勇者パーティの一員として名を馳せることになるでしょうから、覚えておいてください」


 銀髪男――ゴルドは、勇者の肩に手を回して抱き寄せるようにした。


 銀髪の癖にゴルドとは、これいかに。


 勇者は名残惜しそうに振り向いたが、そのまま立ち去って行った。

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