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《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。

執筆用bot E-021番 

5-3.1流なのは強化術だけじゃないんだ!

 このトラシュの森のダンジョンの上層ともなると、なかなか手ごわいモンスターが出現する。


 ゴブリンやコボルトならまだしも、ウェアウルフやらスプリガンなんかになってくると、新米冒険者はまず相手にできない。


 アルラウネなんかが出てきたら、熟練の冒険者でもそこそこ手こずることになる。


 まぁ、アルラウネは裸の少女の姿で誘惑してくる習性があるため、出て来てくれるだけなら、眼福眼福で済むのだが。


「いた」
 と、オレは前方を指差した。


 広間。


 巨大なカイトシールドをかぶるようにして、丸まっている生命体がいた。ふつうの人間なら、それは新種の亀かと思うことだろう。


 デコポンである。


 周囲には3匹のウェアウルフがいた。盾を小突いたりして不思議そうにしている。幸いにも人間と認識していないようだ。


「あれが、ナナシの仲間なの?」


「《炊き立て新米》パーティの一員だ」


「ずいぶんとフザけたパーティ名ね。すぐに助け出すわ」


 フザけた名前ということは、たしかにオレも、うなずかざるをえない。


「強化術は?」


「必要ないわよ。ウェアウルフ3匹ぐらい、一瞬で片付けてやるわ」


 勇者は通路から駆け抜けた。


 前傾姿勢となり、剣を抜く。払い切り。まずは1匹が上下に切断されていた。


 残り2匹が勇者の存在に気づいて、腕を振り上げた。
 その鋭利な爪がふりおろされる。


 勇者はその場で姿を消した。消えたように見えたというだけだ。
 ウェアウルフの背後に回っている。背中から斬りつけた。


 2匹ほぼ同時に、その場に倒れ伏した。
 ウェアウルフのカラダから血のかわりに、魔結晶がカランコロンと乾いた音をたてて、コボれ出ることになった。


「余裕ね。ドヤっ」
 と、勇者はオレのほうを振り向いてくる。


 まぁ、たしかに見事な手際である。が、素直にホめてやる気にはなれない。ひとたびホめてしまえば、付け上がった態度に出るに違いないのだ。これ以上、勇者を増長させないことこそが、世界のためである。


 瞬間。
 壁面から蔓がムチのようにしなって、勇者にむかって伸びてきた。


「危ねェッ」


 強化術。劫火の纏衣まとい


 勇者のカラダを包むようにして、漆黒の炎が燃え上がった。伸びてきた蔓に燃え移って、その場に焼け落ちていた。


「強化術だけは、相変わらず1流ね」


「オレが1流なのは、強化術だけじゃねェ。顔と性格と人望とカリスマ性と芸術的才能と……」


「来るわよ」
 と、勇者がオレの言葉をさえぎった。


 壁面。少女がひとり出てきた。頭には桜色の花を咲かせて、手足の先端が蔓になっている。そして背中からは大量の木の枝が生えていた。
 アルラウネだ。


「くそぅ。もう誘惑してくれるつもりはなさそうだな。誘惑されたかったのに」


 誘惑してくるさいには、人とソックリの姿をしているのだ。


「なにを言ってンのよ、このヘンタイ。さっさと片付けるわよ」


「了解」


 駿馬の馬蹄。
 業火の刀剣。


 強化術を付与する。


 勇者。刀剣を脇に構えて、踏み込んだ。
 豪快ななぎ払い。
 赤い斬撃が、空間をいろどった。


 アルラウネは大きく後ろに跳びずさって、それをかわした。アルラウネの背中から生えている枝が、勇者に襲いかかる。


 勇者はそれをマッタク意に介することなく、アルラウネに突っ込んだ。


 枝が、勇者を貫いた。が、それは幻影。オレの強化術によって、生み出された幻である。勇者はすでに幻影よりも数歩先にいた。


 アルラウネを上段から斬りつけた。


 一刀両断。
 アルラウネは断末魔とともに大きな火柱をたてていた。


「はい、終わり――っと」
 と、勇者は何事もなかったかのように、剣を鞘におさめていた。


「怖かったのじゃー。助けてくれて、ありがとうなのじゃー」
 と、盾から顔をのぞかせてデコポンは、勇者に跳びついていた。


「よしよし」
 と、勇者は、デコポンをなだめていた。


 オレもチョットは助力したつもりなんだけどなぁ。


 まぁ良いや。そのあいだにオレは、回収できるだけの魔結晶を回収しておくことにした。


 勇者に譲るつもりはない。


 これだけあれば今日は食いつなげるはずだ。


 幸いと言っても良いのか、あの大食いのマグロが腹をくだして寝込んでいる。おかげですこし貯めることが出来そうだ。

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