語学留学は突然に

一狩野木曜日

異国の地へ

目を覚ますと私は暗闇の中にいた。
この暗闇の理由が、目隠しをしているからという事が分かった私は目隠しを取った。
すると、私の目に広がったのは、青緑の清々しい色をした草。周りでは、大地の匂いがムンムンと漂っている。
どこなのだろうか、ここは。
そう思い私は、口元のガムテープを取って360°周りを見渡してみた。
どうやら私は、草むらに寝ていたようだ。
何故だ。なぜ私はこんな汚い草むらに寝ているのだろうか。
確か、私は拐われていた気がするのだが、結局あの誘拐犯たちは私を途中で捨てたのだろうか。
どちらにせよ、立ち上がってみないことには話が進まない。なので私は重い体をゆっくりと動かして立ち上がっていった。
立ち上がる途中で身体中が痛んだが、なんとか我慢した。
立ち上がってからもう一度、周りを見渡してみると先程よりもはっきりと鮮明に景色が見えてきた。
だが、その景色は私の記憶に全くもって刻まれていない初めて見る景色であった。
空はどんよりとした灰色をしている。この灰色が、雲から由来して来たものでは無いということはすぐに分かった。
この灰色は多分、火山灰の灰色だろう。
そんなことを思いながら、草むらから抜け出した。抜け出した瞬間に広がる世界はまず、殺風景であった。
田舎にも程がある。
真ん中に通っている黒いアスファルトと、ポツポツと立っている侘しい木造の一戸建て以外、私の目線には目立ったものは映らなかった。
後、この標識。
私の目の前に立っているこの標識を
ろうか。
頭をめぐらせて考えていると、ふと私の横を車が通り過ぎた。その車はホコリを撒き散らしながら移動していたのだが、よく見てみるとその車は外国の車であった。
そう言いきれる理由の1つにナンバープレートが英語表記だということが言える。そうなると、ますます謎が深まった。そして、私の頭にはひとつの可能性が浮かんだ。
それは、ここがアメリカだという可能性。
いきさつは不明だが、あの誘拐犯たちは私をアメリカまで連れ去ったのかもしれない。
正直言ってその可能性は、私の中では8割方くらい当たっていると思っている。
なぜなら、そうでなければこの目の前の風景に説明が付かないからだ。確かに、アメリカってこんな感じだったのかもしれない。
そんなアメリカンな空気を思いっきり吸い込んだが、少し吸い込みすぎたみたいでむせてしまった。
一旦息を落ち着かせて、もう一度思考を整理することにした。
私は今、多分アメリカにいる。

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