異世界で魔王の配下になった件
ヨミに相談
「アマナ、あれでよかったのか?」
「まあ、結果オーライでしょ。あれで姉さんたちも少しはおとなしくなるだろうし」
アリーべとデルチのペットは俺が痛めつけてやったからしばらくは動けないだろう。
俺は料理をたらふく食べ芝生に寝ているミケをほっぺたを引っ張って起こす。
「もう食べられませんニャ~」
「バカ言ってないで起きろ」
「……ふニャ! クルル様……」
「ミケ、城に帰ろう」
「はいニャ。わかりましたニャ」
重そうに起き上がるミケ。
「お前たちはどうするんだ?」
「せっかく実家に帰ってきたので今日は泊って帰ります」
とゲッティ。
「そうね、姉さんたちの悔しがる顔ももっと見ておきたいしね」
「そうか。じゃあ俺たちは先に帰ってるからな」
「あ、クルル」
帰ろうとしてアマナに呼び止められる。
「なんだ?」
「……ありがと」
「何がだ?」
「っ……知らないっ!」
豪邸に入っていってしまった。
「クルルさん。姉さんが勇気を振り絞ってお礼を言ったのにあれはないですよ」
「そうですニャ。クルル様は女心がまるでわかってないですニャ」
一人と一匹から責められる。
アマナに感謝されるようなことなんてしたかなぁ……。
「はぁ……クルル様、お城に帰るから背中に乗ってくださいニャ」
呆れた様子のミケが言う。
「それでは出発しますニャ!」
かけ声とともに意気揚々と駆け出したミケだったが料理を食べ過ぎたせいか城に帰るのに来る時の倍の時間がかかってしまった。
一夜明けた次の日、いつものように俺の部屋で熟睡していたミケを起こさないようにそっと部屋を出ると俺はヨミの研究室へと向かった。
ヨミはこの城で唯一俺以外の人間であり、不思議な道具が作れる人間でもある。
ヨミになら俺が異世界から来たことを話しても大丈夫そうな気がする。
俺は階段を下り薄暗い地下へと足を運ぶ。
そして研究室の前に着いた。
ドアをノックする。
「ヨミ、いるか? クルルだけど」
「……」
返事はない。
おかしいな。
ヨミはあまり研究室から出ないはずなのだが。
「ど、どうかしましたか?」
「うおっと……」
背後からヨミに声をかけられ思わず声が出る。
「……ご、ごめんなさい。脅かすつもりはなかったんですけど」
「いや、ヨミは悪くないから気にしないで」
俺はばくばくする心臓を落ち着かせながら話す。
「ちょっとお前に話があってさ、少し時間いいか?」
「は、はい、大丈夫です」
研究室に招き入れられると手近にあった椅子に腰掛けた。
ヨミはいつも通り白衣姿で前髪は下ろしている。
表情はよくわからない。
「信じられないと思うけどさ……」
前置きして、
「俺は別の世界からこの世界にやってきたんだ」
「……は、はい、そうですか」
「え……信じてくれるの?」
「は、はい」
小さくうなずく。
拍子抜けだった。こんな簡単に信じてもらえるとは。
「じゃあさ、その別の世界に帰る方法ってわからないかな?」
「……か、帰りたいんですか?」
「え、そりゃあまあ」
「……こ、この世界は嫌いですか?」
小さな口を小さく動かして喋るヨミ。
「いや、嫌いじゃないけど俺の本来いるべき世界はここじゃないからさ」
「……そ、そうですか。ほ、保証は出来ないですけど元の世界に帰れる装置を作ってみたいと思います」
「本当か、それは助かるよ。ありがとう。ヨミも困ったことがあったらなんでも相談してくれ」
「は、はい、わかりました」
俺は礼を言うとヨミの研究室を出た。
なんだ、こんなことなら初めからヨミに相談すればよかった。
……元の世界に帰れる希望が出てきたぞ。
と嬉しい気分も束の間、翌日勇者たちが魔王城に総攻撃をしかけてきた。
「まあ、結果オーライでしょ。あれで姉さんたちも少しはおとなしくなるだろうし」
アリーべとデルチのペットは俺が痛めつけてやったからしばらくは動けないだろう。
俺は料理をたらふく食べ芝生に寝ているミケをほっぺたを引っ張って起こす。
「もう食べられませんニャ~」
「バカ言ってないで起きろ」
「……ふニャ! クルル様……」
「ミケ、城に帰ろう」
「はいニャ。わかりましたニャ」
重そうに起き上がるミケ。
「お前たちはどうするんだ?」
「せっかく実家に帰ってきたので今日は泊って帰ります」
とゲッティ。
「そうね、姉さんたちの悔しがる顔ももっと見ておきたいしね」
「そうか。じゃあ俺たちは先に帰ってるからな」
「あ、クルル」
帰ろうとしてアマナに呼び止められる。
「なんだ?」
「……ありがと」
「何がだ?」
「っ……知らないっ!」
豪邸に入っていってしまった。
「クルルさん。姉さんが勇気を振り絞ってお礼を言ったのにあれはないですよ」
「そうですニャ。クルル様は女心がまるでわかってないですニャ」
一人と一匹から責められる。
アマナに感謝されるようなことなんてしたかなぁ……。
「はぁ……クルル様、お城に帰るから背中に乗ってくださいニャ」
呆れた様子のミケが言う。
「それでは出発しますニャ!」
かけ声とともに意気揚々と駆け出したミケだったが料理を食べ過ぎたせいか城に帰るのに来る時の倍の時間がかかってしまった。
一夜明けた次の日、いつものように俺の部屋で熟睡していたミケを起こさないようにそっと部屋を出ると俺はヨミの研究室へと向かった。
ヨミはこの城で唯一俺以外の人間であり、不思議な道具が作れる人間でもある。
ヨミになら俺が異世界から来たことを話しても大丈夫そうな気がする。
俺は階段を下り薄暗い地下へと足を運ぶ。
そして研究室の前に着いた。
ドアをノックする。
「ヨミ、いるか? クルルだけど」
「……」
返事はない。
おかしいな。
ヨミはあまり研究室から出ないはずなのだが。
「ど、どうかしましたか?」
「うおっと……」
背後からヨミに声をかけられ思わず声が出る。
「……ご、ごめんなさい。脅かすつもりはなかったんですけど」
「いや、ヨミは悪くないから気にしないで」
俺はばくばくする心臓を落ち着かせながら話す。
「ちょっとお前に話があってさ、少し時間いいか?」
「は、はい、大丈夫です」
研究室に招き入れられると手近にあった椅子に腰掛けた。
ヨミはいつも通り白衣姿で前髪は下ろしている。
表情はよくわからない。
「信じられないと思うけどさ……」
前置きして、
「俺は別の世界からこの世界にやってきたんだ」
「……は、はい、そうですか」
「え……信じてくれるの?」
「は、はい」
小さくうなずく。
拍子抜けだった。こんな簡単に信じてもらえるとは。
「じゃあさ、その別の世界に帰る方法ってわからないかな?」
「……か、帰りたいんですか?」
「え、そりゃあまあ」
「……こ、この世界は嫌いですか?」
小さな口を小さく動かして喋るヨミ。
「いや、嫌いじゃないけど俺の本来いるべき世界はここじゃないからさ」
「……そ、そうですか。ほ、保証は出来ないですけど元の世界に帰れる装置を作ってみたいと思います」
「本当か、それは助かるよ。ありがとう。ヨミも困ったことがあったらなんでも相談してくれ」
「は、はい、わかりました」
俺は礼を言うとヨミの研究室を出た。
なんだ、こんなことなら初めからヨミに相談すればよかった。
……元の世界に帰れる希望が出てきたぞ。
と嬉しい気分も束の間、翌日勇者たちが魔王城に総攻撃をしかけてきた。
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