異世界で魔王の配下になった件

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

毒入りワイン

ゲッティがワインを口にする。
「姉さんの言う通り、確かにおいしいワインです」
「でしょ。なのにこんなおいしいワインを飲まないなんてクルル、あんたどうかしてるわっ」
「はいはい。俺はどうかしてますよ」
模範的な高校生だった俺はアルコールなんて口にしたことはない。


「ミケ様は飲まれないのですか?」
ルッコラに訊かれたミケはその声を無視してワイングラスに顔を近づけすんすんと鼻を鳴らしていた。


「おい、ミケ。恥ずかしいからやめろ」
「ニャ~? なんかこのワイン変な臭いがするんですニャ」
そう言うとミケは舌を伸ばしてぺろっと一舐めしてみせた。


その瞬間――
「ニャー!!」
跳び上がり床を転がり回るミケ。喉を押さえてなんだか苦しそうに見える。


「なんだよ!? どうしたんだミケ!?」
「ニャニャニャー!?」
ぺっぺっと床に唾を吐く。
人間の姿でそんなことするなよ。


「一体どうしたんだミケ?」
肩で息をしながら振り向いたミケはこう叫んだ。


「このワイン毒が入っていますニャ!」

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