最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第291話 特別な依頼

「はい。ではたしかにお預かりいたしますね」


俺は冒険者ギルドに入るとさっきみつけたばかりの指輪をリムルさんに手渡した。


「それではこちらが報酬の銀貨五枚になります。ご確認ください」
「ありがとうございます」


銀貨五枚を受け取った俺はリムルさんに訊ねる。


「あの、すみません。F級の依頼がもうそれだけしかなかったんですけど俺ってほかに依頼を受けたい場合はどうすればいいんですかね?」
「そうですね。その場合は新しい依頼が入ってくるのを待つしかないんですけれど……」
「あー、そうなんですか」


それだとちょっと困ったことになる。
俺の所持金は金貨一枚に銀貨九枚しかない。
それだけでは一日分の宿代と食事代にしかならない。


するとリムルさんは少し声をひそめて俺を手招きした。


「サクラ様、ちょっとよろしいですか」
「? なんですか?」
俺は耳を傾ける。


「実は今C級以上の冒険者様にお声がけしている依頼があるのですがそちらを引き受けてみますか?」
「え? でも俺、F級ですよ」
「はい。ですがサクラ様は今朝ほどA級の冒険者様であるゴレイラ様を返り討ちになさいましたよね」


ゴレイラ?
……あー、今朝絡んできたスキンヘッドの男か。


「あの様子を見た限りではサクラ様には充分この依頼を引き受けることが出来る実力があると思われます」
「いいんですか? 俺がその依頼受けても」
「本当はいけないことなのですが今回だけ特別ということにいたします」
リムルさんは小さく微笑んだ。


「ありがとうございます……ちなみにそれってどんな依頼なんですか?」
「ゴブリン退治です」
「ゴブリンですか?」


ゴブリンクラスの魔物を倒すのにC級以上の冒険者が必要なのだろうか?
俺の疑問を察してかリムルさんが返す。


「ただのゴブリン退治ではありません。ここベスパの町から約五十キロ北に行ったところにあるセイレーンの町の近くの洞窟の中にゴブリンの巣があることが最近になってわかったんです。その洞窟内にはただのゴブリンだけではなくホブゴブリンやゴブリンソーサラーがひそんでいるようなんです」


リムルさんは続けて、
「もしかしたらキングゴブリンがいる可能性もあります。ゴブリンの群れがいつセイレーンの町を襲わないとも限りませんのでチームを組んでこちらから攻撃を仕掛けることになりました。もうすでにセイレーンの町にはC級以上の冒険者様が何十人と集まっているはずです。なのでサクラ様にも是非ともその戦いに参加していただきたいんです」
俺の耳元でささやいた。


「報酬は参加者様全員に金貨十枚となっております。どういたしますか?」
「金貨十枚ですかっ? やりますっ」
俺は報酬の額を聞いて思わず声を上げる。
今の俺にとって金貨十枚は大金だ。


「それでは今すぐセイレーンの町に向かってください。明日の朝、夜明けとともにゴブリンの巣を叩く計画になっていますので」
「わかりました」


うなずいた俺はこのあとセイレーンの町の詳しい場所の地図をリムルさんから貰って冒険者ギルドをあとにした。




☆ ☆ ☆




「さて、じゃあ早速セイレーンの町に……って待てよ。そういえばビアンキたちがもし俺がこの町を出る時は伝言を残しておいてほしいって言ってたな」


うーん……面倒だが無視するとあとでローレルが何をするかわからないからな。
……仕方ない、三人の泊まっている超高級旅館とやらに出向くとするか。


「たしか名前はムーンフェイスだったか……」


俺は道行く人にムーンフェイスという旅館の場所を教えてもらうとその旅館へと足を運ぶ。


そしてフロント係に言伝を頼もうとしたその時だった。


「あれっ? なんであんたがここにいるのっ?」
「勇者様っ?」
後方から聞き覚えのある声がした。
もちろんその声の主はローレルたちだった。


「なんだ、もしかしてもうこの町を出るつもりなのか?」
エライザが俺を見て口を開く。


「ああ。ちょっと新しい依頼で今からセイレーンの町ってところに行ってくる」
「セイレーン? もしかしてゴブリン退治か?」
「そうだけど……なんでエライザが知ってるんだ?」
「それはこっちのセリフだ。たしかあの依頼はC級以上の冒険者だけだったはずだが」
「そうよっ。あたしたちもその依頼頼まれたから覚えてるわっ」
ローレルが続いた。


「ん? もしかしてお前たちも引き受けたのか?」
「バカ言わないでよっ。A級の冒険者からしたら金貨十枚なんて大したことないわっ。近場での依頼ならともかくわざわざ遠く離れたセイレーンの町まで行く気になんかなれないわよっ」
手をひらひらと振りながらつまらなそうにローレルが言う。


「勇者様はどうしてその依頼を? まだF級ですよね?」
「まあそうなんだけど、冒険者ギルドのリムルさんが特別にって紹介してくれたんだ」
「そうでしたか。リムルさんが」
「ああ。だからちょっとこれから町を出るけどな」
「わかりました。私たちはこの町で待っていますので勇者様は勇者として恥じない行動をとってきてくださいね」


勇者として恥じない行動というものがどういうものかよくわからないが、
「……一応努力するよ」
ビアンキの手前そう答えておいた。


「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
「せいぜい頑張ってねぇ~」
「報酬分の働きはして来いよ」


こうしてビアンキとローレルとエライザに見送られた俺はセイレーンの町へと旅立つのだった。

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