最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第283話 極楽の里

「で、エレナさんたちはどこに行ったんだ? 飯屋か? それとも宿屋か?」
サイチョウがすぐさま訊いてきた。


「さあな」
「おいおい、さあなってなんだよ。仲間なら行き先くらいわかってるんだろっ?」


サイチョウは俺がエレナさんたちと親しい仲間だと思っているのだった。
実際は少しの間行動をともにしただけなのだが。


「あー、そういえばなんか言ってたな。えーっと、たしか……キリング城? だったかな」
「キリング城っ!? 嘘だろっ!?」
「なんだサイチョウ、知ってるのか?」
「当たり前だっ……ていうかあんたは知らないのかっ? どこの田舎もんだよっ」


しょうがないだろ。
こちとら記憶を失っているんだから。


「田舎もんで悪かったな。それでキリング城って有名なのか?」
「ああ。いくらあんたでもこの世界が三つの国にわかれているのは知ってるよな?」
「ん、ああ。もちろん」
知らない。


「今おれたちがいるベスパはローアドス共和国の領土内の町だがこの世界にはほかにあと二つ、ライコウ大帝国とキリング王国があるだろ。キリング城っていうのはそのキリング王国にあるキリング王が住んでいる城のことだぞ」
「へー……なるほど」
「なるほどって、意味わかってるのか? キリング王国は独裁国家だろ。だからよそ者はおいそれとは入国できないんだ。それこそS級冒険者でもなきゃあな」


サイチョウは続ける。


「つまりおれらがエレナさんたちを追ってキリング城に行くことは不可能なんだよっ」
そう言い放つとサイチョウはがっくりと肩を落とした。


「くそっ……せっかくエレナさんたちとお近づきになれると思ったのにこれかよ」
「よくわからないがガイさんが急用が出来たとか言ってたからその用事が済めばまたこの町に戻ってくるんじゃないか?」
「そんな保証どこにあるよ」
なかば諦めの眼差しを俺に向けるサイチョウ。


「いや、保証はないけどさ」
「サクラ……あんたと一緒に同行するって話はやっぱなしにしてくれ」
「え、なし?」
「ああ。おれはあくまでエレナさんたちにおれのことを紹介してもらえると思ったから一時的にあんたに同行するって決めただけなんだ。でもキリング王国に行っちまったんじゃ追いかけることも出来ねぇ。待ってたってこの町に戻ってくる保証もねぇ」
「まあ、そうだな……」


「おれは男とチームを組む趣味はさらさらねぇんだ。そういうわけだから悪いなサクラ、さっきまでの話は全部忘れてくれ」
そう言うとサイチョウは気落ちした様子でとぼとぼと去っていく。




「なんだったんだ、あいつ……」


まるで俺がサイチョウとチームを組みたがっていたような言い方をされたことに俺はどこか釈然としない気持ちでその後ろ姿をただ見送るのだった。




☆ ☆ ☆




サイチョウと別れた俺はベスパの町を一通り歩いて回った。
そして日も暮れてきた頃俺は一軒の小さな宿屋に足を踏み入れた。


「いらっしゃい! ようこそ極楽の里へ」
恰幅のいい宿屋の女主人が出迎えてくれる。


「うちにお泊りかいっ?」
「えっと、一泊いくらですか?」
「うちは素泊まりで金貨一枚だよっ」
「金貨一枚……」


それは果たして高いのだろうか、安いのだろうか。
宿屋の相場がまったくわからないので決めかねていると、
「うちより安い宿屋はこの町にはないさねっ」
俺の顔を見て白い歯を見せる女主人。


「うちより見てくれのいい宿屋ならいくらでもあるけどどこも金貨五枚から十枚はふんだくられるからねっ。悪いことは言わないからうちに泊まっていきなよっ」


俺の所持金は金貨四枚と銀貨十枚。
この女性の言い分を信じるならばほかの宿屋では一泊できるかどうかも怪しいところか……。


「どうするね? お客さん」
「あー、じゃあはい、お願いします」
人懐っこい笑顔の女主人に半ば押し切られる形で俺は今日の宿屋を決めたのだった。




☆ ☆ ☆




「すみません。この町で安くて美味しいごはん屋さんってありますか?」


二階の部屋の様子を確認したあと俺は一階に戻って女主人に訊ねてみる。


「はいはい、安くて美味しいお食事ね。だったら猫猫亭が一番さね。ここから歩いて二分のところに大きな看板があるからすぐにわかるよっ」
「猫猫亭ですね、わかりました。ありがとうございます」
「はーい、いってらっしゃい」


お腹もすいていたので俺は早速教えてもらった猫猫亭とやらに出向くため夜の町へと繰り出すのだった。

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