最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第251話 竹原家

「ご協力ありがとうございましたっ」
「失礼しました」


俺と竹原さんと神代はタワーマンションの五十三階の住人に話を聞いた。
すると今逃げ回っている六人とはなんの関係もないことがわかった。


部屋をあとにして立ち去る俺たち。
いつの間にか辺りはオレンジ色に染まっていた。


タワーマンションを出て車に乗り込むと、
「今日はこれくらいにしよう」
竹原さんが言う。


「明日は日曜日だから神代も佐倉も大丈夫だよなっ」
「はい、もちろんです」
「俺も大丈夫です。というか俺は学校に行っていないので残りの六人が捕まるまでは毎日SSTに参加できますよ」
「おおっ、やる気があるな佐倉。その意気だぞっ」
後ろを振り返り竹原さんがグーサインをしてみせた。


こういう時は自由な時間が沢山あってよかったと思える。


「お前たちは今日はどこに泊まるんだ?」
と竹原さんが訊いてくる。


「僕はいつも通りホテルに泊まりますけど、佐倉さんはどうしますか?」
「俺か? 俺はそうだなぁ……」


そういえば泊まる場所なんて考えていなかったぞ。
金も何泊もできるような大金は持ってきてはいない。


「うーん……この辺りにダンジョンあるかな?」
「え、ダンジョンですか? もしかして佐倉さん、ダンジョンで寝泊まりするつもりですか?」
「ああ、そうだけど」


俺にとっては野宿するよりダンジョンで寝る方が心地良い。
ダンジョンの中は意外と快適なのだ。


だがそんな俺に対して、
「おいおい、佐倉。お前ダンジョンなんかで寝るつもりなのかっ? どうかしてるぞっ」
竹原さんが注意してきた。


「おれがついていながら佐倉にそんなことさせるわけにはいかないだろうがっ」
「え、でも俺は別に平気ですけど……」
「そういう問題じゃないっ。同じSSTの仲間として、同じチームの仲間としてそんな扱いはさせられないっ」
竹原さんは熱く語る。


「と言われましても俺そんなにお金持ってきてないんですよね」
「でしたら僕と同じホテルに泊まりますか? お金は必要ありませんから」
「いや、それはいくらなんでも悪いって」


同い年にホテル代をおごってもらうなんて気が引ける。


「僕は全然構いませんけど」
「俺が構うんだよ」
「まあ、待てお前たちっ。ここは大人のおれが責任を持つっ」
そう言って竹原さんが胸を叩いた。


「佐倉、お前今日からうちに泊まれっ」
「はい?」
「うちは大して広くはないが一応一軒家だっ。お前を泊めてやるくらいのことは出来るっ」
「いやいや、いいですよっ。俺ダンジョンで寝ますからっ」


っていうか俺はその気になれば飛翔魔法を使って数十分で家に帰れるのだ。
わざわざ他人の家に泊まる必要などない。
ましてや今日会ったばかりの人の家に泊まるなど考えられない。
俺は人見知りなんだぞ。


「駄目だっ。大人として看過できないっ。おれの家に来いっ、いいなっ」
「え~……」
「食事のことを心配してるなら大丈夫だぞ。おれの嫁さんは料理上手だからなっ」
「え、奥さんいらっしゃるんですか?」
「ああ、それに四歳になる息子もいるぞっ」


おいおい、勘弁してくれよ。
それだったらまだ神代の世話になった方がましだ。


そう思い神代に目を向けるが神代はまたしても肩をすくめて微笑んでみせるのだった。




☆ ☆ ☆




途中のホテルで神代を降ろすと俺は竹原さんとともに竹原さんの車で竹原さんの家に向かっていた。


「あのう、俺いきなりお邪魔しても大丈夫ですか? 奥さんとお子さんびっくりするんじゃ……?」
俺は竹原さんの家族に気を遣う振りをして最後の悪あがきをしてみるが、
「ふん、気にするなっ。おれの嫁さんも息子もお客が来るとすごく喜ぶから平気だっ」
竹原さんは俺を逃がす気はないようだった。


まいったな……竹原さん一人でもきついのに奥さんと子どももいるなんて。
バックレようかなぁ、などと考えていると車が止まった。


「ここがおれの家だ。さあ降りた降りたっ」


俺は二階建ての一軒家の前で車から降ろされる。
そして、
「ほら遠慮するな、早く入れっ」
家に上がるよううながされた。


「は、はい。お邪魔します……」
逃げ場のない俺は仕方なく竹原さん家に入る。


「あなた、おかえりなさーい」
「パパ、おかえりー!」


竹原さんの奥さんと子どもが竹原さんを元気よく出迎えた。
子どもが竹原さんに飛びつく。


「おおーっ、ただいま茂ちゃんっ。茂ちゃんはいつも元気だなーっ」
「うんっ。ねえねえパパ、この人だ~れ?」
茂ちゃんと呼ばれた子どもが俺を指差し竹原さんに訊いた。


「ああ、このお兄ちゃんはな佐倉お兄ちゃんだっ。今日からうちで一緒に暮らすことになったんだ、よろしくねって。佐倉お兄ちゃんよろしくねって」
「佐倉お兄ちゃん?」
茂ちゃんは俺を見上げ首をかしげる。


「ほら佐倉、なんとか言えっ」
「あ、はい……えーっと茂ちゃん、俺は佐倉お兄ちゃんだよ、よ、よろしく」
「うんっ。わかった。佐倉お兄ちゃんよろしくねっ!」
茂ちゃんは俺を見て無邪気に笑った。
ほっとする俺。


だがまだ一人ぽかーんとしている人がいる。
それは竹原さんの奥さんだ。


「あなた、一緒に暮らすってどういうこと?」
奥さんは当然の反応をしてみせる。


「SSTの同僚の佐倉だよ。青森から出てきてるんだけどホテルに泊まる金がないっていうからうちに泊めてやることにしたんだ、いいだろ?」
竹原さんは奥さんに言うが、そんな簡単に見知らぬ人間をこころよく泊めてくれる人なんて――
「なーんだ、そうだったの。じゃあ佐倉くん上がって上がって」
竹原さんの奥さんは俺の予想に反して笑顔で俺を迎え入れてくれた。


「自分の家だと思って楽にしてねっ」
嫌な顔一つせず奥さんはただ突っ立っていた俺の肩をぽんと叩く。


「佐倉お兄ちゃん、遊ぼーっ!」
「佐倉、早く靴脱げよっ」
「あ、は、はい……」


自分の家だなどと思えるはずもなく俺は恐縮しっぱなしだった。

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