最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第250話 透明状態の吉田

手錠をかけられた井川がパトカーに乗せられ連れていかれる。
もちろんグラビティリングは没収されていた。


「ふぅ~。一人捕まえたぞ」
「ええ。これで逃げているレアアイテム所持者はあと七人ですね」
「ああ」


俺が生成魔法で作り出し世に出回ってしまったレアアイテム。
そのレアアイテムでさらなる犯罪を起こしかねない八人を捕まえるべく俺はSSTの活動に参加していたのだった。


最初の一人を無事捕まえた俺は神代とともに井川が乗ったパトカーをみつめていた。
すると次なる指示が作戦指令室から竹原さんに伝えられる。


竹原さんはその指示を車の無線で受けると神代を見やった。


「おい、この近くの銭湯で女湯の扉が勝手に開くという奇妙なことが起こったらしい。吉田敬行の家はこの近所だから吉田敬行の可能性もある。神代、お前の出番だぞっ」
「はい、わかりました」


吉田敬行はたしか透明マスクを持っているはずの逃走者だ。
吉田が透明になっていても同じく透明になれる神代になら発見できるというわけだ。


「神代、佐倉、早く車に乗れっ。出動だっ」
「「はいっ」」


俺たちは菊田さんたちに別れを告げると竹原さんの車に乗り込んだ。
そして車を発進させると神代はその車内で透明になる。


「神代、お前は窓の外をよく見ていろよっ。吉田敬行をみつけたらすぐに教えろっ」
「わかりました」


こうして俺たちは問題のあった銭湯を起点にしてその周辺を車で探索し始めたのだった。




☆ ☆ ☆




「あっ、いましたよっ」
一時間ほど車を走らせていると神代が声を上げる。


「吉田かっ?」
「はい」
神代は吉田をみつけたようだった。


そこで竹原さんはすぐに車を停めると神代に「捕まえてこいっ!」と命令する。


「神代、俺も行こうか?」
「いえ、今回は僕に任せてください」
神代は俺の問いかけにそう答えると車を降りていった。
もちろんこの間神代はずっと透明なままだ。


吉田も神代も透明になっているのでどこでどんなやり取りがなされているのかまったく見当がつかないが次の瞬間――


「ぐあぁっ……いててててっ!」


おそらく吉田のものと思われる悲鳴が上がった。


神代が吉田のマスクを取ったようで吉田の姿があらわになる。
と吉田は腕を背中に回した状態でアスファルトに倒れていた。


直後神代の姿も見えてくる。


その神代は車に乗っている俺を見てにこりと微笑んだのだった。




☆ ☆ ☆




「これで二人目ですね」
と隣に座る神代が言う。


「ああ。サンキューな」
俺は返した。


応援で駆けつけた本職の警察官たちに吉田を預けた俺たちは竹原さんの車で次のレアアイテムのある場所へと車を走らせていた。


「神代よくやったぞっ。その前の佐倉もお手柄だったなっ」
竹原さんが車を運転しながら正面を向いたまま話す。


「ありがとうございます、竹原さん」
「どうも」
「このペースなら全員を挙げられる日も近いぞっ」
「「はい」」


逃走者はあと六人。
竹原さんの言葉通りになればいいのだが……。




しばらく車を走らせて着いた場所はタワーマンションだった。


「ここにレアアイテムがあるんですね」
「ああ、優太のスキルによるとそうらしいな」


車を降りた俺たちはタワーマンションを見上げながら会話する。


「さてと五十三階にあるようだからな。向かうとするかっ」
「はい」
竹原さんと神代がマンションに入ろうとするので、
「あの、ちょっと待ってください」
俺は竹原さんたちを呼び止めた。


「ん、どうした? 佐倉」
「佐倉さんどうかしましたか?」
「いや、どうやって入るんですか? ここ絶対オートロックですよね」
「あー、そうか」
と竹原さん。


だが神代は、
「ふふっ、大丈夫ですよ。ここなら入れます」
と余裕の表情。


「なんでだよ?」
「それはですね、ここのマンションのオーナーはうちだからですよ」
神代はさらっと言う。


「えっと、どういうことだ?」
「このマンションは僕の家の所有物件です」
「え……マジで?」


このあとよくよく話を聞くと神代の家は東京にタワーマンションなどの不動産物件をいくつも所有しているということだった。
金持ちだとは思っていたがまさかそこまでだったとは……底が知れない奴だ。

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