最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第242話 陣川広成という男

「死者っ……!?」
「はい。残念ですが」
「ど、どういうことだっ? さっき言ってた今田和彦って奴の仕業かっ?」
「いえ、違います。今田和彦は今朝早く捕まえましたから」
神代は言う。


「だったらっ……?」
「犯人の名前は陣川広成。宮園健作からダモクレスの剣という武器とダメージキャンセラーという防具を買った人間です」
「ダモクレスの剣……ダメージキャンセラー……」


俺が宮園さんに作ってあげた武器や防具の中にそんな名前のものがあったことを覚えている。
たしかダモクレスの剣は即死効果のある一撃必殺の剣でダメージキャンセラーはその名の通り全ダメージをゼロにする腕輪だったはず。


「SSTは宮園健作のパソコンから武器や防具を買った相手を割り出して、買った人物が犯罪歴のある前科者とわかった家にだけ注意をうながす意味を込めて隊員が手分けして訪問していました。その矢先、つい今しがたですがSSTの隊員二人が陣川広成の家を訪れたところ隊員のうちの一人が返り討ちに合ってしまったのです」
「そんなっ……」
「陣川広成はそのまま逃走して現在は行方がわかっていません」
「……」
俺は言葉が出なかった。


「警察は陣川広成の公開捜査はしばらく見送る方針のようです」
「どうして……?」
「追い詰めたら何をするかわからないからです。逃げ場がないと知ったら手当たり次第に人を殺す可能性がありますから」
「……」


「佐倉さんにはさらに聞きたくないことかもしれませんが伝えておくことがまだあります」
神代は続ける。
「宮園健作から佐倉さんが作った武器や防具を買った前科者が陣川広成以外にも複数いました。そしてその者たちもまた訪問したSSTの隊員に暴力を振るって逃げ出しました。その人数は七人です」
「七人……」
「現在SSTは陣川広成を含めた計八人を全力で追っています」


まいった……。
俺が小金稼ぎで生成魔法を使ったことがきっかけでそんなことになっていただなんて……。


「……俺のせいだな」
つぶやいてから神代を見る。
「神代……俺もSSTに入りたい。入ってそいつらを捕まえる。どうすれば入れる?」
「ふふっ……佐倉さんならきっとそう言うと思ってもうすでに金子さんから上の方に伝えてもらっています。あとは簡単な試験をパスすればすぐにSSTに入れますよ」
と神代。


さらにここで海道が口を開いた。
「神代は簡単って言ったが十人に一人しか受からねぇ試験だからなっ。佐倉、覚悟しとけよっ」
「あ、ああ。わかった」


続けて長澤と水川も俺に声をかけてくる。
「佐倉ならきっと受かるわよっ。っていうか別にあんたが責任感じることないわよ、悪いのは犯罪者たちなんだからっ」
「そ、そうですよっ。さ、佐倉さんは何も悪くありませんっ」
「ありがとう、長澤。水川」


とはいえやはり俺の軽率な行動が招いた結果でもある。
その八人はなんとしてでも捕まえなくてはな。


「では佐倉さん、早速試験を受けるためにSSTの本部に向かいましょうか」
神代が手を俺に向けた。


「一緒に行ってくれるのか?」
「はい、もちろんです。金子さんに推薦したのは僕ですからね」
神代は爽やかな笑みを浮かべる。


「ただ、キューンさんでしたか? はご遠慮願うことになります」
『え、なんでなのさ?』
「SSTのメンバーには魔物に親しい人を殺された人も少なくありません。キューンさんは魔物のようですから彼ら彼女らを刺激してしまう恐れがあります。ですのでキューンさんには申し訳ありませんが今回は佐倉さんだけということにしてほしいのです」
『え~、そんな~……ねぇマスター、おいらついていっちゃ駄目?』
捨てられた子犬のような目で俺を見上げるキューン。


「う、うーん……」
出来る限りキューンの思い通りにしてあげたいが今回ばかりは遊びじゃないからな。
俺にはそれなりの責任がある。


「……悪い、キューン。今回は家で待っていてくれないか」
『え~』
「すぐに片をつけて帰ってくるからさ」
『むぅ~……わかったよ。おいらおとなしく家で待ってるよ』
「ありがとうキューン。カニの缶詰め、好きなだけ食べてていいからな」


キューンは不承不承うなずいた。


「おれも行ってやりてぇところだが今日は土曜日だ。佐倉と違っておれたちは毎日暇してるわけじゃねぇからな、今日明日はSSTの活動で手一杯なんだ、悪ぃなっ」


海道が声を上げると長澤と水川も続く。


「そういうことだからあたしたちは一足先にそいつらを追うわっ。佐倉も試験に受かったら一緒にそいつら逮捕してやりましょうねっ」
「さ、佐倉さん頑張ってくださいっ。わ、わたし応援してますからっ」
「ああ。きっとその試験とやらに受かってみせるよっ」


少なくとも陣川広成という人物は俺がどうにかしないと寝覚めが悪い。
早いとこSSTに入ってそいつを逮捕してやる。


「さて、では佐倉さんそろそろ行きましょうか。SSTの本部のある東京へ」
「ああ、頼む。キューン、いい子でな」
『うん。マスターも頑張って』


こうして俺はキューンを家に残して神代とともに一路東京を目指すのだった。

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