最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第156話 読心魔法

「俺の心を読んでいる? どうやって……」
「それはもちろん魔法でですよ。わたしランク10の読心魔法が使えるのでかなり長い時間広範囲にわたって相手の心が読めるんです」
と高野は俺の言葉を受ける。


「さっきも言いましたけどわたし識別魔法も覚えていますから一緒のチームを組めば真琴さんの役に立つと思うんです」
「俺もさっき言ったように誰とも組むつもりはないんだ。だからお前がどんな魔法を覚えていようが関係ないよ」
「悪いな」と付け加えた。


「じゃあ、ほんと~にわたしとチームを組むつもりはないんですか?」
高野は俺の目を覗き込んでくらいついてくるが、
「ああ、ないね」
俺はきっぱりと断る。
別に高野が嫌だというわけではなく単純にソロがいいという理由でだが。


「そうですか……わかりました」
高野は落ち込んだようにうつむいた。


わかってくれたか。俺はそう思ったのだが――
「……どうしようかなぁ……」
ぼそぼそと何事かつぶやく高野。


「ん? なんだって?」
「真琴さん、わたし相手の心が読めるんですよ」
「ん? ああ、そうみたいだな」
俺にとってはそんなことどうでもいいが。


すると高野は顔を上げ少し言いよどみながらも口にする。


「あのですね、つまり……わたし、真琴さんのレベルが四万近いっていう秘密も知っているんです」
「…………ええっ!?」
一瞬理解するのに時間を要したが次の瞬間俺は思わず声を上げていた。


「あっ、勘違いしないでほしいんですけど別にわたし真琴さんを脅そうとかゆすろうなんて考えていませんよっ。ただその秘密を黙っているかわりに一緒に冒険ができたらいいなぁって思っているだけでっ……」
高野は顔の前で手を振りながら懸命に弁解しているがそういうのを世間一般では脅すと言うのではないだろうか。


「もし俺がお前とチームを組まなかったらどうするつもりだ?」
「べ、別にどうもしませんよっ」
「誰かに俺の秘密を喋ったりしないのか?」
「しませんってば、信じてくださいよ……でもわたし口が軽いのでもしかしたらついぽろっと言っちゃうかもしれませんけど……」
「脅してるじゃねぇか」


高野はハッとして、
「ち、違います違いますっ。わたし馬鹿なんです。勉強も出来ないし物覚えも悪いし計算とかも超苦手で、だから普通に就職するよりプレイヤーになった方がいいと思うんですっ」
早口で喋り出した。


「口が軽いのも昔からでよく友達に怒られたりしましたからっ」
「その割にはさっきの太田たちには読心魔法のこと黙ってられたじゃないか」
「だって彼らとはまだ出会ってから二、三日しか経ってないですもん」
と高野。
なんだ。てっきりもっと付き合いが深いのかと思っていたがそうではなかったのか。


「そうです、全然浅いですっ」
「俺の心の声を勝手に読むな」
「あ~、ごめんなさいっ。でもこれ発動中は勝手に聞こえちゃうんですよっ。もう少ししたら効果が消えますから我慢してくださいっ」


うーん、こいつ本当に俺の秘密をネタに脅す気はないのか?
ギャル? という人種と今まで接したことがないから考えていることがよくわからないぞ。


すべて正直に話しているようには見えるが別れて一人になった途端急にスマホをいじり出してSNSにあれこれつぶやきそうな気もするし……。


「なあ、お前は俺とチームを組んでどうしたいんだ?」
「わたしですか? それはもちろん一生分のお金を今のうちに稼いでおいて将来楽したいです。ついでにもっと稼げたら両親のために家を建てたりとかもしたいです」
高野は至極真面目な顔をして言う。
家出しているくせに両親のことは大切に考えているようだ。


「お前レベルいくつだっけ?」
「79です。ちなみに血液型はO型ですっ」
「訊いてねーよ」
レベル79か……まあまあ高いけど足手まといには変わりないしなぁ。


「わたしランク6の識別魔法使えますっ。透明になって忍び足を使えば魔物に襲われることもないので足手まといにもなりませんっ」
高野は手を上げて自己アピールしてみせる。


「絶対役に立ちますっ」
「……だとしても悪いけどやっぱりチームは組めない」
「そ、そうですか……」
しゅんとする高野。


「ただ、もし家出を辞めて家に帰るって言うのならこのダンジョンを俺がクリアするまでだけは一緒に行動してやってもいい」
「え、本当ですかっ?」
「ああ」


十五歳の少女を家出したままにしておくというのは家出経験者としてもやはり見過ごせない。


「……わかりました。このダンジョンを出たらとりあえず家に帰ります。それで両親とちゃんと話し合います」
「本当だな? 約束だぞ」
「はいっ。約束ですっ」


高野は小指を立てて差し出してくる。
俺は高野と指切りをした。


「じゃあ、とりあえずよろしくな」
「はい。あ、それとずっと言おうと思っていたんですけど、わたし彼氏以外からお前って呼ばれるのNGなんで高野か由香里でお願いしますね」
そう言って高野由香里は可愛らしく微笑むとちらりと八重歯を覗かせた。

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