最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第132話 格闘大会

そしてあっという間に日曜日がきてしまった。


国主催の格闘大会当日の朝。というより早朝。
「佐倉ぁー! 準備できてるかー!」
チャイムも鳴らさず家の前で俺の名前を叫ぶ人間がいた。
海道だ。


「ん? 朝から元気な子だなぁ」
「真琴くん、お友達?」
「え、あ、まあ、うん……」
友達かどうかかなり微妙なところだが父さんと義母さんの手前一応肯定しておく。


「東京には一人で行くんじゃなかったのか?」
「うん、そのつもりだったんだけど……」
新聞を広げながら俺に視線を送ってくる父さんにそう返すと俺は食べかけのトーストを口の中に放り込んだ。


「ごめん、もう行くよ」
「あら、いってらっしゃい」
「なんかお土産買ってきてくれな~」
義母さんと父さんに見送られながら俺は玄関へと向かう。


靴を履き玄関ドアを開けたところで、
「よう佐倉! あんまり待たせるなよなっ」
青色の鎧を身にまとい大きな剣を持った海道が仁王立ちしていた。


「なんだ佐倉、その恰好は? やる気あんのかっ?」
「あるって」
上下黒のジャージに白いリストバンドを身につけ細長い刀を持った俺は海道を見上げる。
いつもは腰にぶら下げている不思議な袋も今日は自分の部屋に置いたままだ。


「防具がないじゃねぇか、防具がっ」
「防御力より素早さを重視したんだよ。それより俺、お前と一緒に東京に行く約束なんかしたか?」
そんな憶えはないのだが。


「してないぜ。でも別にいいだろっ」
「がはははっ」と大きな口を開けて笑う海道。
全然よくない。
俺は飛翔魔法で東京まで飛んでいくつもりだったのにこれでは新幹線代も時間も余計にかかるじゃないか。


「さっ、行こうぜ佐倉!」
そう言って海道は俺の背中をばしっと叩くと最寄り駅に向かって歩き出す。


「はぁ~……やれやれ」
俺は仕方なく意気揚々と歩く海道のあとを追った。




☆ ☆ ☆




列車を降りて東京駅に着く。
日曜日の昼間の東京駅は予想通り混雑していた。


「海道、お前格闘大会の場所わかってるんだろうな」
駅を出て人波をかき分け俺の先をずんずんと進んでいく海道に言葉を投げかける。


「もちろんだぜっ。いいからおれについてこいよっ」
海道は振り返らずに声を張り上げた。


「そうだ佐倉っ。言い忘れてたが今日の大会の優勝賞品はアルカディアだとよっ」
ご存じのテンションで言うが、
「アルカディア? なんだよそれ」
俺は初耳だ。


「小さくして持ち運ぶことが出来る豪邸らしいぜっ」
と海道。


さらに海道は続ける。
「買い取り価格は五千万円だってよ」
「五千万円っ!? マジかよっ……」
「ああ。おれは優勝したら速攻売るぜっ」
「五千万円か……」


俺は五千万円という言葉の響きに心が揺れ動くのを感じていた。




☆ ☆ ☆




格闘大会に参加するプレイヤーと思われる人たちの姿がちらほら視界に入ってくるようになると、
「着いたぜっ!」
俺たちは目的地の大きな公園にたどりついた。


その公園の広場に行くと石で出来た直径二十メートルほどの大きな円形状のリングが設置されていてその周りには剣やら盾やら鎧やらを身につけたプレイヤーたちが二、三百人ほど集まっている。


「へっ。こいつらみんな自分が優勝できると思ってるんだぜっ」
海道の挑発的な言葉に周りにいたプレイヤーたちが一斉にこっちを振り向いてにらみつけてくる。
「おい海道、声がでかいぞ」
だが海道と俺の姿を確認するなりみんな慌てて視線をそらした。
やはりプレイヤーの間では海道も俺も一目置かれた存在になっているようだ。


「つうかこんなうじゃうじゃいたんじゃ今日中に決着つけられねぇだろ、どうすんだっ?」
海道が独り言にしては大きすぎる声でそう口にした時、
「プレイヤーの皆さん、大変長らくお待たせいたしました!」
マイクを持った一人の男性がリングの上から声を発した。


そして、
「わたしは今日の格闘大会の司会進行を務めさせていただきます、川尻と申します! 早速ですが今から予選を行いたいと思います!」
自己紹介をするとともに予選の方法を説明し出す。


「予選方法は至ってシンプル、あちらに用意した機械で測定します!」


川尻さんが手で指し示した方向を見るとそこには大きなパンチングマシーンが運び込まれていた。

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