最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

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第118話 長い砂のダンジョン地下三十階

長い砂のダンジョン地下三十階に下り立つと異様な雰囲気が漂っていた。
何があるというわけでもないのに自然と鳥肌が立ってしまうようなそんなうすら寒い感じがする。


そう感じたのは俺だけではなかったようで、
「……多分ここが最深階だと思う」
「ええ。フロアボスがどこかにいるはずね」
人志さんも綾子さんも今まで以上に気を引き締める。


「ボスをみつけたら戦うんですか?」
俺は一応訊いてみた。
さっきの階で二人はアダマンタイトを倒すことが出来なかったようだからおそらくそれよりも強いであろうフロアボスに勝てるとは思えなかったのだ。


だが、
「どんな魔物か一度手合わせしてみようと思っているんだ」
と人志さん。


「どういう魔物か戦ってみないとわからないし、せっかくここまで来たんだからね」
「わたしたちいざという時に備えてちゃんと帰還石は用意しているのよ」
そう言うと綾子さんは人志さんの背負っているリュックサックの中から帰還石を取り出して俺に見せてくる。


「帰還石の効果は一メートル以内だから佐倉くんもわたしたちからあんまり離れちゃ駄目だからね」
「わかりました」


二人の話からするとどうやらフロアボスを確実に倒してやろうという感じではなくとりあえず敵情視察だけでもといったところのようだ。


まあ魔物との相性もあるしアダマンタイトに勝てなかったからといってフロアボスにも絶対に勝てないとは限らないか。
ここは二人の意思を尊重しよう。




☆ ☆ ☆




「はあぁっ!」


ザシュッ。
『グエェーッ……!』


通路を曲がり鉢合わせした鬼面道士を今度はどこかに飛ばされる前に人志さんが斬りつけた。
不格好な体に斜めに傷が入る。


『ググェッ……』
それでも杖を振りかざそうとする鬼面道士に、
「スキル、発破魔法ランク5っ!」
綾子さんの魔法が炸裂し息の根を止めた。


消えゆく鬼面道士を見下ろしながら、
「綾子、これ食べておいて」
「ありがとっ」
綾子さんは人志さんから手渡された魔草でMPを回復させる。


「鬼面道士にだけは気をつけよう。鬼面道士自体はたいして強くはないけどばらばらにされると危険だからね」
「そうね、みつけたら優先して倒しましょう。あっそうだわ、帰還石は佐倉くんに持っててもらいましょうよ。それなら最悪どこかに飛ばされても佐倉くんだけは安全に地上に戻れるから」
「うん、それはいい考えだね」
「でしょ」


言うなり綾子さんは手にしていた帰還石を俺に渡そうとしてきた。


「佐倉くん、これ持っててちょうだい」
「いやいいですよ、そんな大事なもの。綾子さんが持っていてください」
俺は断るが、
「佐倉くんに預けていた方がわたしたちも安心なのよ」
と綾子さんもひかない。


「遠慮しなくていいんだよ」
人志さんも俺を見て優しく微笑んできた。
いえ、全然遠慮なんかじゃないんですけど……。


「俺はレベル99なので本当に大丈夫ですから」
「今さらそんな強がりはいいのよ」
「おれたちにレベルが低いことを隠す必要はないんだからね」
「いや、だから強がりとかじゃなくてですね、なんなら俺アダマンタイトも一人で倒せますし……」
「またまたぁ、嘘ばっかり~」
「嘘じゃないですって……」


力を見せつけるつもりは毛頭ないがいっそのこと二人の前で本当にアダマンタイトを倒してみせようか。
押し問答を終わらせるため本気でそう考えた時だった。


ガシャン……ガシャン……。


金属がこすれるような音が通路の奥から聞こえてきた。


「なんだ……?」


ガシャン……ガシャン……。


その異様な物音はゆっくりとこっちに近付いてきているようだった。


「もしかしてフロアボスなんじゃないの……?」


ガシャン……ガシャン……。


人志さんと綾子さんは武器を構えると通路の奥を注視する。
俺も二人に倣った。


ガシャン……ガシャン……ガシャン……。


今までに遭遇した魔物とは明らかに違うその音はやはり間違いなく近付いてきている。


「来てるわ、きっとフロアボスよ。佐倉くんはわたしたちの後ろにいてね」
「綾子、いつでも帰還石を投げられる準備をっ」
「ええ、わかってる」


ガシャン……ガシャン。


二人が会話を交わした直後暗がりから姿を見せたのは――鎧と盾を身につけた首のない騎士だった。

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